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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
221/344

-Chapter19-

「これで弥奈さんの用事は終わったかな? じゃあ次は杣の用事だよな」

 俺はアクセサリー店から出て、杣に彼女の用事を聞く。

「そう? じゃあ駅に行くつもりなんだけど」

 彼女は言いながら、俺と弥奈に手を差し伸べてくる。

「駅? あそこには何もなかったような気がするんだけど……」

 そんなところに何の用事なのか、と俺は首を傾げて彼女に聞いてみる。

「ええ、まぁ……駄目なのかな?」

 そう聞かれ、俺は慌てて首を振る。別に駄目ではない。俺は彼女の手を取る。

「え? な、何を……」

 弥奈はこれから何をするのか戸惑っているようだった。

「ん、杣は影の魔法で移動が出来るんだ」

 俺は弥奈に魔法の説明をする。

「移動……瞬間移動、です、か?」

 弥奈は杣の魔法に疑問を持っているようだった。とりあえず一度見てもらうのがいいだろうと思って、俺は弥奈に手を差し出す。すると彼女は俯いて、

「よ、よろしく、お、お願いします……」

 そう言いながら、俺の手を取った。

「ん、じゃあ行くよ」

 彼女がそう言うと同時に、彼女の影が広がり、俺たちを飲み込んでいく。一瞬弥奈の顔に驚きの色が見えたが、その姿が一瞬影中に消え、次の瞬間には俺は駅にいた。

「え、え?」

 弥奈は今何が起こったのか分かっていないようだった。

「これ……瞬間移動……じゃないし……」

 弥奈は今起こった現象について考えているようだ。何の魔法か考えているのだろうか? そんなことを考えていると、

「ちょっと失礼」

 たまたま駅の入り口を塞いでいた俺に、杣は声を掛けて俺の横を通ろうとした。俺は退いて、杣に道を譲る。

「――で、杣は何をするんだ?」

 俺が彼女に聞くと、

「ん、まぁ……ちょっとした野暮用があってね」

 彼女はそう言いながら、無人の駅に置かれたパンフレットをいくつか取り、中身を見る。せっかくなので俺もそれを見ると、

「――何だ、これ?」

 そこに書かれた時刻表に、俺は違和感を覚えた。見た感じはただの時刻表。むしろこの時刻表自体におかしい点などどこにもない。……が。

「この時刻だと、今は列車が来ているはずだよな……?」

 しかし駅には、列車の姿などどこにもない。遅れているという連絡も流れていない。まるで列車など来ないかのような……。

「……そうだね」

 杣は俺の方から顔を背けて言った。彼女はそれを確認するためにここに来たのだろうか? ……いや、それなら電車の到着する時間の間にここに到着する必要があり、その旨を伝える筈だ。杣はそんな行動をする素振りはなかったし、何か他の目的があるのだろうか?

「少し、早かったかな……?」

 杣は少し悩んでいるようだった。何について悩んでいるのか分からないが、おそらく今の用事について話しているのだろう。

「あ、あの、何をしているんですか……?」

 駅の外で待っていた弥奈が、俺たちの行動が遅いのが気になったのか入口の方から俺たちを覗き見て話しかけてきた。

「いや、もう終わった所だよ。……でも、これからの予定とかは特にないんじゃなかったかな? まぁ、私は予定がないから、他の予定があるならそれをやるのがいいんだろうけど」

 杣はそう言いながら、駅の外へ歩いて行った。……俺はやってこない電車と、杣がこの駅に来た理由について考えながら、駅の外に出る。

「――ん?」

 駅の外に出ると、ふと妙な影が視界の端に映ったような気がした。今のは何だ? 人の形をしていたような、だが人ではなかったような……。

「じ、迅さん、今の……!」

 ふと、弥奈が声を上げる。どうやら彼女も同じようなものを見たらしい。一体何者なんだろう、あれは……。幽霊? いや、さすがにそれは非科学的だな。

「そういえば、まだ用事があったような気もする」

 あの妙な影は見えなかったのか、杣は別の用事を思い出した。

「あ、あの、杣さん……今……」

 弥奈は先ほど起こった事情を説明しようとする。が、その前に杣は、

「ごめん、これはちょっと急ぎの用事だから」

 と言って、手を差し伸べてくる。急ぎの用事……ならばむしろそちらを覚えていそうなものだが……まぁ今思いだしたのだろう。

「じゃあ、先に用事を済ませたほうがいいんじゃないか?」

 俺はそう弥奈に言う。弥奈は彼女に伝えるべきだと思っていたようだが、押しが弱いのか何も言わずにそっと手を差し伸べる。

「ん、じゃあ行くよ」

 杣が弥奈の手を取り、その後俺の手をとる。弥奈が何故か残念そうな顔をしていたが、それはどうしてなのだろうか? そう思いながら影に飲み込まれていくような感覚に身を任せる。そして目を開くと、そこはまた商店街。彼女もどこかで買い物をするのだろうか?

「……ここで買い物をするのを忘れてたんだけど、買い物してもいいかな?」

 そう言いながら杣が指差したのは日常雑貨品を取り扱うスーパーのような店のようだった。俺は頷き、移動の感覚に慣れていない弥奈と一緒にスーパーの中に入っていった。

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