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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
219/344

-Chapter17-

「で、では……」

 弥奈は控えめにそう言うと、カウンターからでて、まるで何かに祈るかのように両手を組んだ。すると、彼女の両手から、シャボン玉のようなものが出てきた。

「綺麗だな、これ」

 俺が素直な感想を口にすると、彼女は少し俯いた。その間にもシャボン玉は少しずつ大きさを増していき、弥奈を飲み込んで、その後次第に俺たちまでも飲み込もうとしていた。

「うわわ、危な――あれ?」

 朔はこのシャボン玉を少し怖がっていたようだが、飲み込まれたところで特に何の影響もなく、俺はこれから何が起こるのだろうか、と疑問に思っていた。

「じゃあ――いきます」

 図書室全体をシャボン玉が覆ってから、弥奈はそんなことを言った。すると、地面から何かが浮上してくるのが見える。……これはガラスか?

「何これ……ガラスが浮いてる?」

 舞が戸惑いの声を上げる。ガラスは次第に窓の方へ寄って行き、まるで意思を持つ生き物のように、ガラスの決まった位置へ戻って行く。それはまるで、時間が逆行しているかのようで――。

「これ……時間が戻ってないか?」

 俺はとんでもないことに気付き、つい声を洩らす。時間を操る魔法なんて、あっただろうか? ……いや、俺の知る限りそんな魔法は存在しないはずだ。まさか、彼女は……。

「す、すごいよ弥奈ちゃん! もしかして一週間前まで時間を戻せたりするの?」

 ふと、怜が彼女の魔法を興味津々な様子で質問してきた。

「いえ、一日分だけ……。それに、戻せるのは、無生物だけで、生きてるものは、戻せないです」

 弥奈はさりげなく怜が弥奈のことをちゃん付けで呼んでいることはあまり気にしないで、そう答えた。時間を戻す――と怜は言ったが、時間が戻っているのはおそらくこのシャボン玉の中だけだ。しかもすべての時間が戻るというなら、ここにいたはずのあの少年がここに戻っていないのはおかしい。

「時を戻す、というより操る魔法、か?」

 俺がそう言うと、弥奈は戸惑いながらも、

「え、えっと、まぁ、それに近い、です」

 言葉を選びながら答えてくれた。それに近い――つまり時を操るだけではないということか?

「とりあえずありがとう。じゃ、今から簡単な作戦会議をするんだけど」

 舞は図書室の黒板に簡単な図を書きながら作戦会議を始めた。作戦会議――おそらくあの少年に対する作戦会議だろうか?

「私の予想だと、あいつはまた私たちを襲ってくるわ。不必要に思えるかもしれないけど、これからは暫くまとまって行動した方がいいかもしれない。でも、これだけの人数が団体行動をすると、必ず一人は孤立する人間が出てくる」

 彼女は図に書かれた丸を使って説明を始めた。丸が一つ多いのは、一体なぜだろうと考えていると、

「そこで、私の方で一人護衛を呼んで、三人と四人で行動しようと思うの」

 彼女がその理由を説明してくれた。なるほど、確かにまとまって行動するのはいい考えだと思う。彼女の呼ぶ護衛が誰なのかは割と気になるが。……あまり知らない人と行動するのはあまり気が進まないのだが……ふと朔の方を見ると、疑問の表情を浮かべていた。そういえば、朔の魔法は何なのだろう。俺は一度も彼が魔法を使った所を見たことがない。

「連絡手段がなさそうだ、って思ったからよ。とくにあんた、携帯電話とか持ってなさそうだし」

 そんな疑問を舞が彼の表情から読み取ったのか、彼女は少し面倒そうに言う。ふと杣の方を見ると、杣はどこかつらそうな表情をしていた。

 「じゃあ俺が携帯電話持ってるから、俺、杣、朔、怜さんの四人と、舞さん、弥奈さんの二人で別れるのはどうだ?」

 俺は人数をこちらが多めにして、護衛の人を舞達の方へ回してもらえないか提案をしてみる。……杣の表情から考えると、その護衛の人には何か嫌な予感がするのだ。

「いえ、それだと人数の少ない私たちが狙われる可能性が高いわ。出来れば三人三人がいいんだけど、あんたたち、そういう関係でしょ? 引き離しにくいのよ」

 舞は溜め息を吐いて言う。朔と怜はまぁそうだとしても――俺と杣も確かにそういう関係ではあるものの、なんだか彼女は俺を避けているような気がする。引き離しても何の問題もないとは思うが……主に俺以外には。ふと、俺の出した提案を聞いてかどうかは分からないが、弥奈は少し涙目になっていた。もしかして、誰かと離れるのが嫌なのか?

「そ、そうだ、弥奈さんは携帯電話とか……持ってないか。じゃあ、俺、杣、弥奈さんと、朔、怜さん、舞さんとかは?」

 俺は杣の護衛に関する不安のようなものと、弥奈の泣きそうな表情から、なるべく全員が満足できるよう必死で他の案を探す。

「――そうね。まぁ、いいわ」

 俺の提案に根負けしたのか、舞は俺の提案に乗ってくれた。

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