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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
218/344

-Chapter16-

「――カッ! お遊びはこれでお終いだぜ!」

 この声は、商店街で聞いたような――。

「さ、朔君、あいつ!」

 俺が声を出すより早く、怜がドアの方を指差して言った。彼女も彼と知り合いなのだろうか? 俺がそう疑問に思っていると、

「あん? てめぇは……丁度いいぜ、お前の女の魔法対策が完了したんだ、あの手が通じないってことを、見せつけてやるよ!」

 あの少年も彼女のことを知っていたのか、彼女を挑発するような言葉を言う。俺のことはもう眼中にないのか。彼は素早く移動し、怜の真後ろに移動していた。彼を正面から見ていたなら、彼は瞬間移動したかのように見えるだろうが……少し離れた位置から、しかも全く警戒されずにいた俺は、彼の動きが完全に分かった。とりあえずこのままでは怜が危ない。俺は魔法を纏うと、彼女を助けるべく、彼の後ろに回って彼に打撃をお見舞いすることにした。

「うグッ!?」

 少年は苦痛の叫び声を上げ、その場によろめく。彼はすぐさま体勢を立て直し、風を纏ってドアの近くに移動した。ふと見ると、そこにいたのは怜ではなく、朔が怜を突き飛ばしたような形で立っていた。どうやら彼は怜を庇ったらしい。

「ふぅ、危ない。大丈夫か、朔?」

さすがだな、と俺はそう思いながら、朔に笑いかけた。ふと、入口の方から少年の愚痴のような声が聞こえてくる。

「クソッ、次から次へと……!」

 少年の言いたいことはもっともであるが、そもそも俺の存在に気付いていなかったのは彼なのだから、仕方ないような気がする。その後、彼はその場から逃げるように立ち去って行った。

「――終わり、ました?」

 ふと、フードを被りなおした少女が俺たちの様子を確認するかのようにカウンターから顔を覗かせて言う。

「まぁ、一応は」

 杣は冷静に事実を弥奈に伝えた。すると彼女はほっとしたかのように胸を撫で下ろし、周囲の散らばった書類などを集め始めた。

「一体何があったの?」

 朔は舞に事情を聞く。杣も事情を知っていそうだが舞の方がよく事情を知っていると判断したのだろう。

「私に聞かれても、まだ状況が飲み込めてないわ。あいつは誰かを探してるみたいだったけど……。情報を教えろって言ってきたから、私は何も知らないって答えた瞬間に、襲ってきたのよ。詳しいことは分からないけど、頭のネジがいかれてることは間違いないわね」

 舞は肩をすくめて答えていた。俺としては、彼はそこまで頭がおかしいとは思わないが……人にはそれぞれ考え方というものがあるのだろう。

「で、ここからが推測なんだけど……あいつが探してたのって、多分あんたじゃないの? 正確には、あんたの隣にいる彼女……えっと、名前は?」

 ふと、舞が怜の方を指差して言う。……怜を探していた?

「空野、怜です!」

「名字変わってない!?」

 朔と怜は、あんなことがあったにもかかわらず普段通りだ。いや、怜が朔を巻き込んで普段通りになっているような気がする。

「えっと、彼女は、佐原、怜っていう名前で――」

 朔は舞に説明をし直そうとする。が、その途中で舞に遮られ、

「あ、いや別にいいのよ、名字とか。判別が付けばそれでいいの」

 舞はそんなことを言った。少し彼女の表情に何か諦めのようなものが見えたのは気のせいだろうか?

「むー! そんなことないよ! えっと……赤髪ポニーの人!」

 見た目の情報のみで彼女のことを判断していそうな怜が、舞に反論する。

「舞よ。別にあんたたちに強要してる訳じゃないからいいじゃない? それよりも今後のことを考えるべきよ」

 舞は少し面倒そうに言った。そのときちらと杣の方を見たのに気付いたのは、もしかして俺と杣だけなのか? そんなことを考えていると、

「このガラス……なんとかならないの?」

 地面に散らばったガラスのせいで、舞は移動を妨げられていた。朔が何かを思いついたようだったが、それを言う前に、

「あの、ガラスなら……私が、なんとか、します」

 少女が、途切れ途切れながらもそんなことを言った。――そんなとき、舞からアイコンタクトが送られてくる。――初対面のふりをしろ? よく分からない指示だったが、杣が小さく頷いていたので、俺も従うことにする。

「ふぅん。そういえば、まだそこの二人の名前も聞いてないわね」

 舞は少しわざとらしく言う。とりあえず俺は一歩前に出て、

「俺は上岡迅だぜ。隣にいるのが、俺の彼女の杣」

と言った。演技がばれていないか心配だが、どうやらばれてはいないらしい。

「わ、私は、えっと……弥奈、です」

 その後、フードを被った少女も名乗った。……ん? なんだ、今少しだけ妙な感覚が……デジャヴか?

「じゃあ弥奈さんにお願いしようかしら」

 俺がそんなことを疑問に思っているうちに、舞はガラス片のある場所からさっと退いた。

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