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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
212/344

-Chapter10-

「うーん、誰かいたような……?」

 とりあえず周りの人たちをなるべく安全な場所に誘導してから、再びあの時感じた気配について考えてみる。あの視線は俺だけを見ていたわけではなかったと思うが……魔法を解きかけていたので、あまりはっきりとは分からなかったが、何かを探しているように思えた。こんなことなら最後まで集中を切らさずに魔法を纏い続けていればよかった。近くに誰かいるかどうかぐらいなら、簡単に気配を探ることが出来る。しかし、今からそれをやっても、視線の主は逃げてしまっているに違いない。

「やっぱり駄目ね。肩慣らしにもならない」

 上空から、そんな声が聞こえてきた。見上げると、道路の片側の上空に涼しい顔をした赤い髪の少女が浮かんでいた。反対側には、肩で息をしている少年の姿がある。彼は空に浮かんでいる訳ではなく、建物の屋根に立っているようだった。

「グゥ……クソがっ……! てめぇ、一体全体どうして俺の攻撃の軌道を完全に読み切ってやがる……!?」

少年は苛立ちを隠せないようだった。彼は傷こそ負っていないものの、疲労はかなりのものらしい。

「まぁここで放置するとなかなか厄介だから……ここで片づけようかしら?」

 ふと、少女の周りに火の玉のようなものがいくつも円を描いて生じ始めた。まさかあれをあの少年に打ち込むのか?

「――カッ! そんな単純な攻撃でやられるわけねーだろーが!」

 彼はそう言うと、急に竜巻のようなものを周囲に発生させた。砂埃が辺りに散らばり、視界が悪化する。

「……はぁ。逃げるのだけは一級品ね」

 ポニーテールの少女の声が、砂埃の中から聞こえてきた。さすがにこの状況で炎は使わないよな? そんなことしたら間違いなく爆発が起こるぞ。

「――なぁ、君」

 砂埃がある程度消えた後で、俺は赤髪の少女に尋ねる。

「何? えぇと……杣と一緒にいた人」

 彼女は俺のことをあまり覚えていないようだった。俺もあまり彼女のことを知らないからまぁいいんだけど。

「俺は迅だ……それで、俺も君の名前を聞いておきたいと思って」

 俺がそう言うと、彼女は少し溜め息のようなものを漏らした。

「――舞よ。まぁ、別に覚えなくてもいいわ」

 あまり興味がないといった雰囲気で、彼女――舞は名乗った。

「ん? そ、そうか……なぁ舞、杣とは知り合いなのか?」

 俺が聞くと、彼女は全く別のことに関心を持ったみたいで、

「あんたのその人を呼び捨てにするラインって、すごく興味深いわよね……ん、杣との関係? 別に大したことないから、気にしなくていいわ」

 少しだけ妙なことを呟いてから、俺の質問に答えた。呼び捨てはあんまり考えずに、その人の雰囲気に合わせて名前を呼んでいるだけなのだが……彼女はどこに興味を持ったのだろうか?

「さて、私はもう戻るから」

 彼女はそう言うと、炎を噴射させて上空を飛んで行った。炎の威力がかなりあるからなのか、彼女はあっという間に小さくなって見えなくなった。俺はそんな舞を呆然と見送ってから、家に帰ることにした。

「おかえり、ご飯できてるわよ」

 母さんが、精魂込めて作ってくれた夕食を俺は二、三度おかわりし、俺は自分の部屋に戻る。

「ふぅ……」

 なんだかこの数日は、頭が混乱するような出来事ばかり起こったな。杣との会話に違和感を感じたり、原因不明の事故は起こるし、そのときに出会った少女は無茶苦茶だし……。その日のうちに変な場所に連れてこられて、舞と出会ったり。その翌日には弥奈さんと出会って、その後で謎の少年と少女の戦闘に遭遇したり。

「こうして考えてみると、この数日は本当に忙しかったな」

 俺は深く溜息を吐いて、ベッドに寝転がる。一気に疲労が襲ってきたのか、俺はすぐに瞼を閉じ、眠りについた。

 翌日、俺は昼ごろに目を覚ました。随分疲れていたみたいだ。俺は寝ぼけ眼を擦りながら下に降りる。すると、杣が先に朝食を食べていた。

「お邪魔してるよ」

 杣は軽い挨拶を言うと、箸を置いて台所に向かっていた。どうやら朝食はもう食べたらしい。……あれ? その朝食って、俺のじゃないか? そう思いながら杣の食べていた食器を眺めると、

「あぁ、これは私が作ったものだから。迅の分は冷蔵庫の中に」

 と、丁寧に俺の朝食の場所を教えてくれた。俺は杣にお礼を言ってから、冷蔵庫の中の朝食を取り出す。冷たくてもおいしく食べれるような料理が並んでいた。

「さて、少し話があるんだけど」

 俺が朝食を食べ終えると、杣が話をしてきた。俺が食器を洗っていた顔を杣の方に向けると、

「今日、朔君の家に行こうと思ってるんだけど」

 そんなことを提案してきた。……まさか、また侵入するのか? おれが訝しげにそんなことを聞くと、

「いえ、今回は普通に」

 杣が訂正するように言ったので、俺はとりあえず一安心する。そして俺は、朔の家に行く準備をした。

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