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Lonely Liar  作者: Laugh
-Episodeβ-
206/344

-Chapter04-

「へぇ、こんなところにファミレスなんてあったんだ」

 朔は物珍しそうにファミレスを眺める。彼はこういう所に縁がなかったのだろうか? 家が裕福でなかったり、親の料理がファミレスより上手だったりするのかもしれない。

「朔君、知らなかったの? ずっと住んでるのに?」

 怜と朔のやりとりを眺めながら、俺は席に着く。皆メニューを見て注文を選んでいるようだ。

「私はコーヒーでも頼もうかな」

 杣は適当にメニューを眺めたのち、パタンとメニュー表を閉じて言った。朔へのおごりなのでまぁ何を頼んだっていいのだが、俺としては杣にはもっと注文をしてもらいたかった。なんとなく遠慮されているような気がしたからだ。

「別に飲み物だけじゃなくてもいいんだけどな……」

 そんな気持ちが言葉に表れてしまって、俺は慌てて笑顔でごまかす。

「えーと、イチゴパフェと、チョコケーキと、バニラアイスと、あとこのトロピカルフルーツパフェと……」

 対照的に怜は俺の財布のことなどお構いなしに注文をどんどん追加してくる。杣がこれぐらいならいいんだが……それにしても彼女、自由奔放すぎないだろうか。

「さて、メニューは決まったか? 朔は……ハンバーグのライスとサラダのセットか。俺はナポリタンで、杣がコーヒー。優奈ちゃんは、お子様カレーでいいんだよね? んで、怜は……あ、あの、もう少し減らしてくれないかな?」

 俺はみんなにメニューを聞いて回る。朔を呼び捨てにしたのは、彼とはどこか親近感のような、親しみのようなものを感じたからだ。怜を呼び捨てにしたのは……ちょっとした過ちだったが、むしろこれでよかったかもしれない。

「えー。じゃあしょうがないから、いちごパフェ、バニラアイスをやめて、もう一つトロピカルパフェを頼もうかな」

 怜は妥協しているように見せかけて、さらに欲張った価格を提示してきた。トロピカルパフェって……たしかこの店で一番高くて大きいデザートだった気がするんだが……。

「あ、あははは……とりあえず怜はトロピカルパフェ一つかな」

 さすがに彼女が注文したもの全ては頼めないので、とりあえず彼女が欲しそうなものだけは選んでおくことにした。全員の注文が確定したので、俺は注文のボタンを押す。そこから店員が来るまでの間、

「迅、彼女のこと……どう思う?」

 杣から質問を受けた。俺は少し考えてから、

「怜のことだよな? まぁ、ちょっと自由すぎる気はするけど、いい人なんじゃないかな。朔が自転車に轢かれたときも最終的に朔のことを心配してたし」

 そんな答えを返した。すると杣は俺から視線を外し、怜の方を見て、

「だと、よかったんだけどね……」

 と、よく分からないことを言った。夏休みに入ってから、俺は杣のことが急に分からなくなった気がする。そんなことを考えていると店員が来たので、俺はあらかじめ注文の内容を書いておいたメモにそって注文を述べていく。聞いた順に注文をし、最後に怜の注文をする際に、

「トロピカルパフェ百人前!」

 突然怜がそんなことを言った。トロピカルパフェ百人前って……大富豪じゃあるまいし、そんなの買ったら俺が破産するぞ。

「い、いや冗談です。注文はさっきのトロピカルパフェ――」

「百人前」

「――で十分です……って、間に入れないでくれ!」

 訂正しようとすると、怜はうまくその間に混ざり込んで高額な注文をしようとしてくる。

「えっと、このメモに書いてある通り……あ! 大量に注文が書き足されているだと!?」

 いつの間にそんな芸当をやってのけたのか、俺のメモには大量のパフェが追加されていた。

「くそっ! 彼女の注文はあれです!」

「トロピカル」

「――ごパフェを」

「一億人」

「――ん前……おい!」

 俺はいつの間にか声を大にして叫んでいた。周りの客からの視線が怖いので、俺は周りに何度か謝罪しながらゆっくりと席に着く。とりあえず店員は俺の味方のようで、注文を繰り返す際にはトロピカルパフェ一人前だった。怜が小さく舌打ちをしたのは、きっと気のせいじゃない。

「朔くぅん、迅がトロピカルパフェを一個しか注文してくれないよぅ」

 怜がトロピカルパフェを一つしか頼めなかったことへの不満を朔に話す。そのやりとりの中で朔が溜め息を吐いたところで、店員がトレーを持ってきてくれた。どうやら優奈ちゃんの注文したお子様カレーが出来たらしい。彼女は嬉しそうにそれを眺めると、うさぎのぬいぐるみの中から、妙なものを取り出した。ネギ……だろうか? それを一体どうするというのだ?

「ネギ? 何って、このカレーに盛るんだよ?」

 朔と優奈ちゃんの会話を聞いていると、どうやらネギをカレーに盛るらしい。隠し味、というやつだろうか? 俺はそんなことを考えながらことの顛末を眺めていた。

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