違和感
「死ねオラァッ!!」
町から離れると悪魔が現れ出したが、その全てをバケモノが蹴散らしていた。報酬があると知ってやる気も一入である。少年は近づいてきた悪魔に『聖水』をぶん投げるだけで良かった。
町からずっとバケモノは人間の姿をしている。マクアに正体を晒すわけにはいかないからだ。依頼主とは言え、信用をする要素も明かす義理もない。
また、単純に意味がないからでもある。バケモノは人間の姿でも身体能力が高く、魔法も使えるのだ。数で圧されていた前の戦場で人化を解いたのは十全に力を振るうためだったが、雑魚しかいない今は人間の状態でも十分なのだ。
「す、すごいですね…お二人とも強い……」
マクアの称賛の声に少年は冷静に告げる。
「あんたも戦えるんじゃないの?誘拐犯の悪魔を追い返してきたんでしょ?」
「それはそうなんですが……俺の能力は一発勝負で、コミを助け出すのに力を残しておきたくて…すみません、頼んでる側が働かなくて」
「依頼主としては別段間違った態度じゃねーだろ」
「うっわ違和感…」
「ア?」
悪魔を肉片に変えたバケモノが突如として会話に加わる。お菓子をねだるような子供っぽいところや脳筋的なところばかり見ているせいか、理知的な発言をしているバケモノはどうも慣れなかった。
「それにしても、あんたに言われた方に向かってるけど、本当に合ってるの?依頼主はあんただから別に良いけど」
「拐われたコミの居場所は伝言役から聞きました」
「信用できるの?」
「あくまで、あいつの狙いは俺なので…。それに、あいつの使い魔は嘘が吐けないんです。造ったときに主人に虚偽の報告をしないように設定したら、誰にでも本当のことを言うようになったって……」
「詳しいね」
「…何年もいがみ合ってますから。まさか、こんな強行手段に出るとは思いませんでしたけどね。コミを巻き込むなんて……!今まで見逃してやったのに……!!」
怒りに燃えるマクアを冷めた目で眺める少年。
そして案内通り、三人は寂れた廃墟に辿り着いた。
何かがおかしい




