喉元過ぎれば?
「飴美味し~~~~~~~~!!!!!」
飴玉を舐めて満面の笑みを浮かべるバケモノを、呆れたように見る少年。迫害一歩手前どころか片足を突っ込んでいたにも関わらず、随分とご機嫌な様子だった。
「アンタ、記憶力どうなってんだ?」
「ン?」
「さっきのことだよ。クソほど不愉快だったろ?」
民衆に囲まれ、罵声を投げ掛けられた。何より救世主と仰いでおきながら、途端に手のひらを返す様は少年の苛立ちを募らせた。
「別に?」
「ハ?」
「あんな雑魚ども、すぐ殺せるだろ?」
本当に、たまに、稀に、バケモノは悪魔らしいことを言う。
「お菓子も持ってなさそうだったしな」
いつも通りのバケモノの判断基準は幼児以下だった。
「…とりあえず、アンタが来たのはこっちの方向からで合ってるよね?」
お菓子を食べているときのバケモノは無視しようと心に決めた少年だった。賢明な判断である。
「ン、多分」
「多分って…アンタ自身のことだろ?」
「覚えてねーもんは覚えてねーよ。キレたときに記憶がぶっ飛んだのが悪い」
「それが良く分からないんだよ。キレたって言うなら、何か怒りの矛先があるはずだよね?心当たりとかない?」
「アー、それこそさっき、あの悪魔?魔物?と一緒にすんなって思ったのがある…のか…?」
「曖昧だなぁ…。本当に大丈夫?」
当然、その「大丈夫?」とはバケモノを案じたわけではなく、「記憶を取り戻すことができるのか」という点に掛かっている。
少年は溜め息を吐いた。何しろ一応の復讐相手がこんなにもポンコツなのだ。少年が根に持つタイプでなかったら情が湧いていたかもしれない。あいにくと、現実は恨み辛みの八つ当たりを仕掛け続けている。
「あんまバクバク食べてると、町に着く前になくなるよ」
「……!」
とはいえ、当面少年は大きい幼児のお世話をしなければならないらしい。
そもそも熱がらないバケモノと熱さを忘れない少年




