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店主の回答(前編)


「おまたせしました!あいすびーるとれもねーどです!」


マリネが頭に乗せた盆に飲み物を置いて運んで来る。


「ありがとうマリネ!」


「ありがとう」


「どういたしまして!にひひ」


マリネはまだ生え揃って無い白い歯を覗かせながら、厨房の方へと引っ込んで行った。


ヨシムネはレモネードを啜る。


(頭がスッキリする!)


「んぐんぐんぐ…」


「ぷはー!!昼間からのビールは最高ですねぇ!!」


キャロラインはアイスビールを一気飲みして、ジョッキを掲げる。


「それでさ、キャロ」


「?」


彼女は口にビールの泡を付けながら、きょとんとした顔でこちらを見てくる。


「オークのトンカツ以外にはどんな生き物が料理にされるの?」


「ダラン帝国貴族の間ではレッサードラゴンの揚げ物やステーキなんかが高級料理として重宝されるらしいですね」


「噂にはゴブリンの脳味噌を食べる人も居るとか…」


「ゴブリンの脳味噌!?」


「ええ。滅多に居ませんからね、天然モノのゴブリンは」


「えっ?多いイメージあるけど…」


「ヨシムネ様はまだやっぱり子供で世間知らずですねぇ」


キャロラインがにこりと笑う。


「昔、何百年前か知らないですけどゴブリンは悪性の病気で激減したんですよ」


「悪性?」


「ええ。他の動物や人間達にまで流行しましたから」


(黒死病みたいなものかな?)


「人間やエルフやドワーフを初めとした種族は魔法技術と魔法工学を駆使し、早めに対策したお陰で被害は少なく済みましたが…」


「オークのトンカツ大盛り二つお待ち!」


話を遮るように料理が運ばれてくる。


「お!きたきた来ましたよー!」


(イメージと違って凄い良い匂いだ…!)


「盛り合わせの野菜はお代わり自由だ!さあ食べろ食べろ!」


「ホイ!特製ソースだ!」


店主にそう言われてキャロはソースをしこたま野菜とカツにかけると、がっつき始めた。


「さぁ、坊主も食べな!」


「はい!」


ヨシムネ様はオークのカツに食らいつく。


適度に締まった赤身から肉汁と脂が溢れ出す。


更に弾力があり、噛む毎に身体の底からパワーが溢れ出し、顎の力が強くなっていく気がしてくる。


そして、キャベツを口に放り込む。


「おっ!分かっているじゃねぇか。カツばかりだと胸ヤケするからな。こうして適度に野菜を挟むのが通ってもんだ」


店主は嬉しそうに笑う。


「ん~~~!!美味しい!!」


キャロラインは笑顔で更にカツを口の中に放り込む。


「もう最高!」


カツと野菜をビールで流し込み、キャロラインはグッドポーズを取る。


「良かった良かった。キャロラインが嬉しいなら何よりだよ」


「後、すいません。店主さんに一つ質問があるんですがよろしいでしょうか?」


「ああ。いいぜ!何でも質問しな!坊主!」


「この仕事を続けて何年になりますか?」


「う~ん…そうだな…もうかれこれ30年近くになるな。何せ子供の頃から働いて居たしな!」


「失礼な質問かもしれないですけど、おじいさんになってもこの仕事を続けたいと思いますか?」


「坊主!」


「それは愚問だぜ!俺は死ぬまでこの仕事を続ける積もりだ!俺はこの仕事を楽しんでも居るからな!」


「!…そうなんですね。回答ありがとうございました!」


「おう!それにしてもその年齢にしちゃあしっかりしているぜ。俺が子供の頃は如何に摘まみ食いをするかしか考えて無かったぞ」


「はは…」


「おとうさん!あたらしいちゅうもんはいったよ!!」


マリネが叫ぶ。


「おう!すまねぇな!これで失礼させて貰うぜ!」


そう言って店主は厨房に引っ込んで行った。



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