深夜馬車大国なの?やっべぇ国来ちまったなぁ、おい(後編)
ウメガエモチだけじゃないんですね、博多の餅って
博多行ったら通りもんと辛子明太子買っとけば、大体間違いがないです
北九州市の港は寂しい事になっているので、もう少し頭使って頑張って欲しい
デカすぎるくらいなんだしもっと船よべ
赤穂の塩と博多の塩
どっちが魚のうま味を引き出せるんだろうか
個人的には博多の塩
ヨシムネが道ばたで虹色の物体を吐いている頃、アマネは背伸びをして空を眺めていた。
「こんなにゆっくり夜空をながめたのは初めてかも…」
アマネは満足げに焚火にあたりながら、コーヒーを啜った。
「アマネさんは野外で休憩した事が余りないんですか?」
キャロラインが側で薪を火にくべながら、質問した。
「ええ。お母さんはあまり街…から出してくれなかったから…」
「そうなんですか…なら、今回の旅はスゴく新鮮なんじゃないですか?」
「うん。家の中に居るより、こっちで夜空を見つめる方が合ってる」
アマネは笑顔をキャロラインに向けた。
(やはりアマネには笑顔が一番ですね)
キャロラインも微笑み返した。
そこへ出す者を出し切ったヨシムネと彼の背中をさすっていたアナトが戻って来た。
「皆…ごめん…馬車に慣れて無くて…」
「いえ、ここまで乗り物酔いが酷いとは想定外でした…!」
アナトが眼鏡をクイっと上げた。
「なんかこう…乗り物酔いが治まる魔導とか無いかな?」
その言葉を聞いて、アナトが唸り出す。
「ん~…錬金術師や薬師ならそういう薬を作れますが…」
「資格が必要なんですよね、人体に投与する魔導薬を作るには…」
「それじゃあ頑張るしかないかぁ…」
「慣れるまでは遠くでも見てるしかありませんかねぇ…」
アナトは顎に手を当てて、困った表情をした。
御者はウマダにもたれ掛かっていびきをかいている。
ウマダは迷惑そうにしながらも、ひたすら草をむさぼっていた。
アマネがヨシムネに近づいて来て、彼の両肩を持ち胸を張らせた。
「こういう時はなん回か深呼吸すればいいの。はい、スーッと…」
ヨシムネは促されるまま、深呼吸した。
胸の気持ち悪さが引き、胃が少しだけ落ち着いてくる。
「御者さんやウマダももう少しだけ休みたいみたいだし、あと10分ぐらいは休憩しましょ?」
「時間はだいじょうぶですか?アナト先生」
「…はい!大丈夫ですよ!あらかじめ余裕を持った旅行計画を立てていますので!」
アナトはニコニコしながら答えた。
「…なんかこういうの、いいですねぇ…」
そして、彼女がふと呟いた。
「先生は1人旅が多かったと聞いてますが…」
キャロラインがアナトに問いかけた。
「ええ。船旅なら周りにだれか居ますが、馬車も使わない場所を1人で旅した時は大変でしたよ」
「うっかりワイバーンのナワバリに入ってしまった時は大変でしたね…」
「関所で所持品を取り上げられそうになった時はそれはもう…」
(やっぱり暴走機関車なんじゃないか?この人…)
ヨシムネは胸をさすりながら、思った。
「だから…皆様と旅をするのは、私としても凄く安心するんです」
「皆得意な分野は違いますけど、頼りになりますから♡」
アナトは嬉しそうに微笑んだ。
その笑顔にヨシムネは一瞬だけドキッとしてしまった。
(むー…)
キャロラインが表情の緩んだヨシムネを見て、顔を膨らます。
彼女はヨシムネの後ろから抱き着き、胸をさすった。
「どうしたの?キャロライン」
「お胸をさすってあげています」
「ヨシムネ様…もっと私を頼りにして下さい。体調が悪い時は遠慮なく仰って頂ければ…」
「…ごめんね。キャロ。僕はどうしても抱え込んでしまうタイプみたいなんだ」
「…存じております。だからこそ心配なのです」
「ありがとう、キャロ」
草を食べ終わったウマダが御者を軽く跳ね飛ばし、御者の眼を覚まさせた。
「あ~…皆さん。申し訳ございません…!あと数分で出発できまぁす!」
「だってさ。キャロ。行こう」
「…はい!」
ヨシムネ達は火を消し、道具を仕舞うと馬車に乗り込んで行った。
ヨシムネはスッキリしたのか、数時間経つと馬車の中でゆっくりと眠りに落ちる事が出来た。
翌朝。馬車の中。
「…ムネ様。起きてください。そろそろ朝食の時間ですよ」
キャロラインがヨシムネを揺り起こす。
「ふわあぁあ~…今どれくらい?」
「この時期の日の昇り方からして…大体7時前ぐらいかと」
アナトが答えた。
「…すっごく寝たなぁ…」
「快眠だったわよ」
アマネがクスクスと笑った。
「今どの辺り?」
「アコソルト市ですね。塩の生産で有名な街です」
「塩かぁ…近くに川があれば魚を採って塩焼きなんか良いかなぁと思うけど…」
「川ですか?もう直ぐ行けばありますよ」
御者が振り返って答えた。
「川で採った魚で塩焼き!?おいしそう!」
アマネが自分の両頬をさすった。
ヨシムネの眼が光る。
「アナト先生…魚の塩焼きとくれば…アレ持ってきてますよね…」
「ふふ…無論ですよ!ヨシムネ様!魚の塩焼きとくればアレ《・・》しかありませんからね!」
アナトの眼鏡が光った。
「アレ《・・》…?」
アマネが首を傾げた。
「アマネ様。魚を焼いてからのお楽しみですよ。ふふっ」
キャロラインが、彼女に微笑みかけた。
なんかこういうまったりした雰囲気の旅も良いなぁ…
ただウマダは思ったより賢い生き物になり申した




