第二十四話
ロキシーのお店で椅子を借りてゆっくりと考えている。
まるで心当たりが無いわ……
でも、そういえば……
「ロキシー、あなたって魔王の事を知っているのかしら?」
「魔王……その呼び方は私共には馴染みがありませんが……察しはついているとは存じますが、私は魔王、我々にとっては新王様の配下だった過去が御座います」
「やっぱりそうなのね。
異形の姿へと変貌した人達の中にロキシーと似た様な姿の人も居たからそうだと思った。
気を悪くさせちゃったかしら?」
「その様な事は御座いません。
最後にアイラ様の名を呟かれた……つまり、アイラ様が新王様が時々呟かれていた待ち望んでいた御方なのですね」
「その話、詳しく聞かせて貰える?」
「聞かれて答えられる程の事は何もありません。
ただ、新王様は時折呟かれていたのです。
遠い未来に私の全てがやってくる。
どうでもいい記憶は全て忘れ、その存在だけが我の支えとなり、僕を辛うじて人間だった者として歯止めをかけてくれている。
っと言うような事を……」
「やっぱり心当たりが無いわね……」
可能性として考えられるのは……サブちゃん?
私と一緒に死んだわけだし、転生していてもおかしくは無い……
でも、全然性格が違うのよね。
サブちゃんならあの年でも、きっと母親をどうにかして救っているだろうし……
遠い未来に……か。
魔王が未来を見る力を持っていて、これから私が魔王の望む何かしらの行動を起こす?
もしくは、魔王を復活させるとか?
うん、そっちの方が可能性は高いかもしれない。
となると、魔王は何を望んでいたのか?
最後に直接会って言うべき言葉だとか言って「ごめんね、愛しているよ……アイラ」って言ってたから私と出会う未来は見ていないんだろうし、あれが本当に魔王の最後だったって事かしら?
もしかしたら、魔王を復活させた私が死んじゃうとかあるかもしれないけど……
私に直接会って謝る?
愛していると伝えたかった?
引っかかるわね!
愛しているって言葉的に、やっぱり魔王は私の事を知っている人?
私に謝らなきゃならない人……?
嫌だわ……
そんなわけ……
でも、やっぱりそう。
『ごめんね、と言うのが難しい』
あの物語のタイトル……この時点で気が付いても良かったかしら……
ムカツクムカツクムカツク!
絶対そうよ!
あの男だわ!
私が前世で最初に捨てた男!
そして、唯一絶対に許さないと決めた相手!
生まれ変わってもどうしようもないクズのままだったのね!
でも……ちょっとだけ、ほんの少しだけ見直したかしら……
少しは強くなろうとしていたのね。
複雑な気持ちよ……どうしていいのか、何を考えたらいいのかわからない……
「アイラ様、顔色が優れない様ですが……」
「気にしないで、心当たりがあったの。
でも、ちょっと感情をコントロール出来ない……かもしれない」
「温かい飲み物をご用意します。
少し、落ち着きましょう」
「ありがとう、助かるわ」
魔王は……前世で私を育てた父親。
本当にどうしようもないクズで、周りの人間に迷惑ばかりかけていたロクデナシ!
そのくせ気持ちのうえでは過保護で、人の神経を逆なでする事に特化した様な性格の人!
何をするにも自分の目の前に地雷を置いて、次の瞬間にはためらいもなくその地雷を踏み抜くような見ているだけでうんざりするような馬鹿。
それが私の育ての親。
この世界でも変わらず私を愛していてくれて、世界に厄災を振りまいている。
いい加減にして欲しいわ。
生まれ変わってなお、息子に迷惑かけるなんてだなんて相変わらずとんでもない父親ね!
まあ、今思い返すと、すごく反面教師として優秀な父親だったと思うわ。
尊敬は出来ないけど……許す事くらいは出来るかもしれない。
あいつの事になるとちょっと感情的になっちゃうし、気持ちを切り替えちゃいましょう!
「ロキシー、今日は付き合ってくれてありがとう。
帰る前に私が頂いた原石について聞かせて貰えるかしら?」
「分かりました。
では、こちらの原石から」
ロキシーは二つの原石の一つ目から説明してくれる。
こっちは魔法剣士系の原石ね!
双剣の魔剣士。
二刀流と魔法剣の才能が芽生えた!
どんなスタイルに持っていくかは私しだいだけど、二刀流の防御力の高さを生かしつつ、魔法剣によって攻撃力も高めるって感じかしら?
まあ、才能が芽生えたといっても、扱わなければ上達はしないわけだし、帰ってから早速二刀流スタイルに切り替えていくつもり!
もう一つの原石は、精霊魔法の原石。
元々魔法使いはマジカルデュレイションって言う大気中に漂うマナを体質を変えて自分の魔力へと変換する魔法があるんだけど、精霊との契約する事によって、体質を変化させなくても精霊から魔力を回復し続けて貰えるみたい。
でも、まずは精霊と契約を結ばなきゃいけない。
精霊にも色々なタイプがいて、出会う事が出来ても契約出来ない可能性もあるし、魔力回復の見込めない精霊も多くいる。
契約自体にもメリットとデメリットがあるみたいだし、契約の結ぶ交渉は慎重に進めなければいけないみたい。
今の所魔力が尽きるような事は無いし、アモンドから教えてもらったマジカルデュレイションもあるから、今の所は精霊無しでも大丈夫そうだし、ゆっくりでもいいわね。
「ありがとう。
大切に磨き上げるわね!」
「ええ、またの御来店、お待ちしております」
ロキシーに見送られ、ラルバ男爵の屋敷へと戻ってきた。
ん-……まだお昼過ぎね。
随分長くいたはずだけど、あっちに行っている間だけこっちの時間は止まっている、もしくは時間の流れが遅くなっているのかしら?
あら? 誰かが私の部屋のドアをノックしている。
「どうぞ」と言って招き入れると、アモンドが部屋の中へと入って来た。
「ラルバ男爵がお呼びです、仮面を着けて応接室へ来てくれと頼まれました」
「仮面をつけて……つまりそれって」
「ええ、おそらくヴァルボアの使者がやって来たかと」
「面白そうね。
ラルバ男爵がどうやって私達を守ってくれるのか見せてもらいましょう」
「命に係わると言うのに呑気ですね。
逃げる事すら出来ない事は分かっておりますが、もしもの場合は死力を尽くし、お守りします」
「アモンドがそこまでする必要は無いのよ?
でも、ありがと。
もしもの場合は私も最後まで抗わせて貰うわね」
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