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第二十話

 まだ霧が残る川の畔に朝日が射し始めた頃に目が覚めた。

 毛布も無いし、焚火の温かさのお陰で眠れたけど、朝一番はやっぱり寒いわね。

 白い息を吐き出しながら寝て冷たくなった体を摩り、太陽の温かさを求めて立ち上がる。



 「アイラ様、お目覚めですか?」

 「あら、その顔……少しは眠れたのかしら?」



 「一晩中火の番をしておりました。

  しかし、問題ありません!

  ラルバ男爵の元へ参りましょう」



 アモンドったら、いかにも規則正しい生活を送ってそうなのに、一晩中起きて目にくまが出来ているわね。

 でもラルバ男爵の屋敷まではあともう少し!

 頑張ってね! アモンド!



 私を先に馬に乗せ、その後ろから抱きかかえる様にアモンドも馬に同乗する。

 「アイラ様、失礼致します」っとなんだが緊張しているみたいね。

 ここへ来るまでは平然としていたのに、我に返っちゃったのか、よそよそしくなっちゃったわ。

 それに、あーでもない、こーでもないと何か試行錯誤しているみたい……


 「何してるの?」

 「いえ! 自分は……その、どうにか御身体に触れない様にと……」



 「一周回って失礼よ! こういう時にはそういうの、気にしなくてもいいのよ。

  ガンガンリードして頼もしい所を見せなさい」

 「で……では!」



 アモンドは力強く手綱を握り、馬を走らせる。

 この川の畔まで走って来たよりもずっと速度を落としているけど、いい乗り心地だわ。

 上を見上げるとアモンドと目が合う。



 顔が赤く染まり、気まずい雰囲気を漂わせながらアモンドは視線を前へと反らす。

 一晩中寄り添っていたのに、まだ慣れないのかしら?

 初心(うぶ)なのもあるけど、身分の違いとかもあるし、やっぱり気兼ねなくとはいかないものなのかしら?



 アモンドがドギマギしている様を見ながら、ようやくラルバ男爵の屋敷へと辿り着いた。

 ここまで来たら安心!

 というわけでもないわね。



 ラルバ男爵が協力してくれるのかも分からないけど、とりあえず話て見ない事には始まらないわ。

 屋敷のドアをノックしようと目の前に立つと、まだ叩いていないドアが開かれた。



 「お久しぶりで御座います。

  アイラ様、ラルバ男爵に御用で御座いますか?」

 「お久しぶりね、ネム。

  ラルバ男爵に頼みたい事があって来たの。

  あなたの目なら、もう事情は察しているのかしら?」



 「流石にそこまでは把握しておりませんよ。

  アイラ様の頼みであればきっと良いお返事をして頂けると思います」



 ネムはそう言ってラルバ団者くの私室へと私達を案内してくれた。



 「ようこそ、我が屋敷へ。

  ネムからアイラ様がこちらへ向かっていると聞いて耳を疑いましたが、本当に来て下さったのですね。

  私に何か御用があって来たのですかな?」



 歓迎してくれている事には感謝するけど、相変わらず危険な香りのする男ね。

 どことなく余裕ぶっていて、腹の底では何を考えているのか分からない感じ?

 雰囲気あるわね!


 

 ミステリアスで油断ならない男。

 うん、こういう言葉が当てはまる。

 最初に会った時からそんな感じがしたけど、再び会った今でもその雰囲気は変わらない。


 

 「ええ、まずは状況の説明を……どうしたの?

  アモンド?」



 アモンドは私の一歩前へと出て警戒心を高めているみたい。

 何があったのかしら?



 「ラルバ男爵とは……あなたの事だったのですね……」

 「あら? 二人はお知り合いなのかしら?」



 「アイラ様、この方はヴァルボアの幹部の一人。

  カーディナルクリムゾンと呼ばれる方です」

 「それだと事情は話せなくなっちゃうのかしら?」



 アモンドは無言のまま魔力を溜めている。

 魔法を使って私を守ろうとしているんでしょうけど、無駄ね。

 だってここにはネムがいるんですもの。

 逃げるにしても戦うにしても私達二人じゃ勝ち目は無い。



 それなら腹を割って話し合うしかない。



 「アモンド、私が話をしているの。

  無礼は許さないわ」

 「アイラ様! しかし……」

 


 「はっはっは、アモンド、そう私を警戒しないで欲しい。

  アイラ様、事情が話せない。

  という事は、ヴァルボア絡みの厄介事に巻き来れてしまったと言う事でしょうか?

  アモンド、君がここへアイラ様をお連れして来たと言う事を踏まえると……

  大方察しはつく。

  アイラ様、ご安心下さい。

  私はあなたに協力させて頂きます」

 「信用させて貰うわ、ラルバ男爵。

  それはそうと、アモンドはどうしてラルバ男爵がヴァルボアの幹部だと言う事を知らなかったのかしら?」



 「ヴァルボアの一部の幹部は基本的に通称でしか呼ばれる事はありません。

  カーディナルクリムゾンこと、ラルバ男爵殿を信用するのは危険かと思います。

  自分が初めて会った時、師匠はこう言いました。

  カーディナルクリムゾンは性格が悪い、首を切断しても信用するなと」

 「死んでも死なないってより、ラルバ男爵の全てを信用してはいけないって事だと思うんだけど、私は彼を信じるわ。

  そう決めたのよ。

  ネム、ヨズの実のジュースを頂けるかしら?」

 「畏まりました。

  すぐにお持ち致しましょう」



 ネムは私達に一礼して、ヨズの実のジュースを用意しに部屋を出て行った。

 アモンドはまだ警戒したままね。

 ネムを見送ったラルバ男爵が口を開く。 



 「流石はアイラ様、アモンドの師、ディープホライズンと違って器が大きくていらっしゃる。

  最初の話しに戻りますが、アイラ様は魔女と断定されたと言うわけでしょうか?」

 「いいえ、正確には断定される予定って所かしら?」



 「成程、バーンアストライド公爵殿はその事を?」

 「アモンドが事情は話してくれたみたいね」



 「それならば何か打つ手を用意されている間、ここでアイラ様を匿えばよろしい。

  と言うわけですか?」

 「その通りよ。

  私達もただ待っているだけじゃなくて、何か対策は練るともりだけどね」



 「わかりました。

  屋敷は自由にお使い下さい。

  それと、ネム。

  二人分の仮面も持ってきてくれ」

 「あら? 仮面を被って生活しなければならないのかしら?」


 

 「いえ、ヴァルボアの手先がここへ訪ねて来た時だけ装着して頂ければ問題ありません。

  仮面を着けている者は私の配下の証になりますので、正体がばれていても仮面さえつけていれば私がお守りする事が出来ます。

  勿論、その時限りのですが」

 「そう……仮面を着けると操られる……なんて事はないのよね?」



 「ご心配には及びません。

  仮面によってなんらかの被害を与えるなど出来ませんので」

 


 「理解したわ」と返事をした後、ネムがヨズの実のジュースと仮面を二つ用意して部屋へと入って来た。

 大きさは違うけど、仮面はネムがつけているものと同じね。



 その後はヨズの実のジュースを飲みながら、ラルバ男爵との会話を楽しんだ後、ネムにベッドの置かれた自由に使っていい部屋へと案内された。

 当然だけどアモンドとは別の部屋ね。



 これからしばらくは隠匿(いんとく)生活だし、一日いちにちが長くなるわね。

 ただお世話して貰うのも悪いし、少しくらい仕事をさせて貰おうかしら?



 「何かお仕事があったら手伝うから、その時は声を掛けてね」っと部屋の中で一人呟くと、しばらくしてコンコンとドアのノックが鳴り響いた。

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