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第十話

 (ひたい)に放った一撃は軽く手を添えられる様な素振りで(かわ)され、シャルールは持て余した右手に持ったレイピアで何処を攻撃出来るのかを視線だけで教えてくれる。

 私は思わず距離を取り、あまりの実力差に驚愕する。



 胸を借りるつもりではいたけど、攻撃を当てるくらいなら出来ると思ってた。

 でも、全然駄目ね。

 彼女は人よりも上の次元で戦っている。

 人の領域にいる私には理解すら出来ないわ。



 でも……面白い。

 静かに高鳴っていく高揚感。

 あの時の試合の時を思い出すわ。



 周囲の音が消えて、景色も何もかもが消えて……

 対峙した相手の呼吸と、その姿だけが私の目に映っていた……



 体の力が抜けて研ぎ澄まされていく。

 何故だか分からないけど、あの時以上の力が出せる気がするわ。

 


 私の目に映るのはシャルールのみ。

 剣先を振った所でシャルールの呼吸に微塵も淀みが生まれない。

 普通は極僅かでも反応すれば呼吸に乱れがみられるものだけど、流石は剣聖って事かしら?



 私が攻撃に移った瞬間ですら、まるで乱れが感じられない。



 これなら我慢勝負よ!

 微かに攻撃の届くギリギリで私も動きを止め、呼吸が乱れない様に意識を集中させる。



 視線だけで今どこを攻撃できるのかをシャルールは教えてくれているけど、そんなのに私は反応しないわ。

 僅かでも緊張をしたら、そこを打ち抜かれたも同然。



 こんな感覚は初めて、シャルールから放たれる数多(あまた)の剣筋が私の体を突き抜けていく。

 けど、それは本物では無い。

 必ず本物の一撃を放ってくる。



 その一撃にだけ私は対応すればいい。



 シャルールの手が動き、顔に突き立てていた木剣を下げる。

 本物のレイピアの剣先が私の鼻先から髪の毛一本程空けた場所を掠めた。



 次の瞬間、私の顔を狙って突いて来る!

 それを本物と見極め、大上段に構えた木剣を背に寝かせる様にして潜り込みシャルールの手が戻る前に腕を振り下ろす!



 空振り?



 あら?

 木剣の刀身が無くなってるわ……



 「やはり私の目に狂いは無いかった。 カイン殿、私が攻撃をさせれたぞ? 見えたか?」

 「まるで見えませんでした……アイラ様の動きも気が付いたら木剣を振り切った後でしたね」



 「ダリシアはどうだ? ――そうか」

 



 ダリシアは顔を歪ませて涙ぐんでいた。

 なんか……妙な感じね。

 居心地が悪いわぁ……



 「アイラ様は一対一に特化した剣術の経験がある様だ。 それだけに限れば私の領域に踏み込んでいると言っても差し支えは無い。 ダリシアが涙ぐんでいるのは気にしないで頂きたい。 彼女は私の次に強い女剣士としての自覚があったが、今それを打ち破られた気分なのだろう。 実際に戦えばダリシアに軍配はあがるがアイラ様はまだ十歳の少女。 すぐに自分が打ち破られる日が訪れるのだと、恐れているのだろう」

 「シャルールは大袈裟ね。 貴方がその気なら私が前は立つ事すら許されないんじゃないかしら?」


 

 「それを正確に理解しているのは余程の手練れである事の証拠に御座います。 それに、無自覚なのかもしれないが、魔法で身体能力を上げ、私の領域にまで踏み込んで来た。 無駄に筋力を鍛えずに魔力を高めた方が身体能力は向上するかと思われます。 剣術に関しては私が直接お教えいたしましょう」

 「魔法を使っていたの?」



 そう言えば、なんとなく心当たりがあるわね。

 身に危険が迫った時なんかは魔法で身体能力を高めたりしていたのかしら?



 「使っておりました。 私の一撃が木剣を断ち切って居なければアイラ様の攻撃は私を掠めていたでしょう」

 「ああ、あれでも当てれなかったのね! 当たらないのが分かっていたから躱さなかっただけってわけね!」



 「その通り。 今日の所はこれまでにしておきましょう」



 シャルールとダリシアは馬車に乗り込んで行ってしまった。



 「カインの目にはどう映ってたのかしら?」

 「全く何が起こったのか見えなかったよ。 見えたのはアイラ様が木剣を振り切った後だったのかな?」



 「そうなのね。 あっ――」



 一歩踏み出すと力が抜けて転んでしまった!

 それに……立てない……立ち上がろうとすると腰がガクガクして力が入らないわね……

 それに、すごく疲れちゃってる。

 戦いに集中しすぎて魔法とか使っちゃってたみたいだし、反動ってやつかしら?



 カインが察してお姫様抱っこをして部屋まで運び、ベッドの上に寝かせてくれた。



 「ありがとう、カイン。 これって魔力が尽きたからこうなっちゃったのかしら?」

 「そうだね……気分が悪くなったりしていないかな?」



 「全然平気よ?」

 「それなら魔力が尽きたと言う訳では無いと思うよ。 魔力切れを起こした人は体調を崩すみたいだから。 今度魔法の講師も用意して貰う様にダリアに頼んでおくから、その方に今の症状を聞いてみるといいかもしれない」



 「助かるわ。 カインは魔法を使えるのかしら?」

 「簡単なものしか使えないよ。 部屋を明るくする魔法とか、精神を安定させる為の魔法くらいだね」



 魔法って、ステッキを振って色々な奇跡が起こったりするイメージだったけど、ちょっと違うようね。

 使える人は結構いるみたいだけど、どんな魔法が使えるのか教えて貰うのが楽しみね!



 透視する魔法とか使えたら……んもぅ! 何を考えてるのかしら私ったら!

 でも、ロマンがあるわ!

 子供の頃は魔法少女なんかにも憧れたし、誰かに変身する魔法とかもあったわね。



 早く魔法の先生来てくれないかしら?

 

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