公開、ジャージ仮面(仮) 5
教室の扉の前で、真由は、一息ついた。
ー凄く遠かった、、。ー
気分的にはなんともないが、体の方は、かなりの疲れが残っているらしく、ここまで来るのに結構な苦労をしたのだ。
>肉体的な疲労の軽減を追加。
カラコロと、重そうに扉を開け、教室に入り、自分の席に向かう途中、鈴美の声が掛かった。
「珍しいわね。真由の方が、わたしより遅いなんて。」
「あはは。いろいろあって、体が重くて。家を出た時間は、いつもとかわらないんだけどね。」
ピン、ときた鈴美が、ニヤリ。
「もしかして、体力測定が良くなかったから、頑張っちゃった?」
「まっ、まぁ、そんなところかな。ちょっと、頑張り過ぎたみたいでさ。」
渋そうな苦笑を浮かべる真由に、大げさに肩を上げる鈴美。
「まっ。頑張るのはいいと思うけど、やり過ぎは良くないと思うよ。それに、急にちょこっとやったぐらいじゃあ、体力はつかないよ。」
「ほんとそれ。痛感してる。」
「それよりバイトで、地道に鍛えようね。」
「それはちょっと違わない?」
「そう?でも、、、。」
「朝から悪いが、少し、話を聞いてもらいたい。」
教室に、聞き覚えのない女性の声が、突然、響いた。
真由と鈴美も、会話を切って、思わず壇上に目を向ける。
壇上には、赤いラインの入った制服を着る女生徒が立っていた。
ー昨日の二人?じゃない、と、思うけど、、、。ー
スラリとした体形で、背は高め、短くした髪に、整った、少しきつい印象のある顔立ちをしている。
「私は、三年の神崎 時雨だ。もしかしたら知っている人もいるかもしれないが、よろしく頼む。」
真由と鈴美は、そろって、目を大きくした。
「えっ?あの人が、、、。」
「空手の大会で、何度か優勝してる、とかって。」
「それで、ここで話をさせてもらっている要件だが、、、。」
神崎が話を進める中、元から関係ないと判断している二人は、目線を合わせ。
「もっと、マッチョな人かと思ってた。」
「先日、放課後において、私の友人二人が二人の男に絡まれる事態が発生したらしいのだが、、。」
「わたしも、、。全然、綺麗な人だったんだね。」
BGMとして聞き流しているだけでなく、想像と、現実の彼女の姿のギャップに驚いている二人に、神崎の言葉は全く理解できてない。
「その際に、この学校の一年生のジャージを着た女の子に助けられた、と、連絡があったのだ。」
「人は見かけによらない、そのままねぇ。」
「かなりの強さだったことから、私の後輩ではないかと思ったらしく、礼を言いたいから探してくれ、と、言うことだったが、、、。」
「こーゆー人、いるんだねぇ。」
横目に神崎を眺めながら、小声で話していた二人は、同時にため息をついた。
「私には全く思い当たりが無いため、教室を回って確認しているのだが、誰か、思い当たる人はいないか?」
区切って、教室を見回す神崎。
「まっ。私達には、全く縁のない人よね。」
「後。その彼女が、自分のことを、、、。」
「幸い、だけどねー。」
「ジャージ仮面、と。言っていたらしい。」
ガタン。
真由が、いきなり机に突っ伏した。
ーストラーーイク!ー
「ちょっ。ちょっと、真由!」
驚いて、真由の肩をゆする鈴美。
気がついた神崎が、
「もしかして、何か知っているのか?」
壇上から、二人に向かって歩き出す。
「いっ、いぇ。私たちは、全く、、!まっ、真由、ちょっと。」
「ふぇ?」
切羽詰まった鈴美の声に、半落ちしていた真由が顔を上げ、近づく神崎に気がついた。
ー見つかった?!ー
「えっ。えっ。えっ?」
跳ねるように飛び起きて、後ずさる真由。
「真由が、大きい音出すから、、!」
「あっ!」
ーバレたわけじゃないのね。ー
「朝から騒がしてすまないが、知っていることがあるなら、教えて欲しい。」
すこーし、安心した真由だったが、既に、二人の前に神崎が立っていた。
あたふたと、鈴美が、
「すっ、すいません、私達、本当に、何も知らないです。ただ、名前が微妙過ぎて、、、。」
ーぐっ!ー
「そっ、そうです。すいません。微妙過ぎて、膝から力が抜けちゃいまして、、!」
ーわっ、わたしだって、変だと思ってるんだからーー!ー
真由も、必死にあわせる。
「たっ。確かに、友人を助けてもらった手前言い難いが、名前は、、。」
ー死んだ。ー
崩れ落ちそうになるのを、真由は、何とか堪えた。
「コホン。」
神崎が、誤魔化すように咳を一つして、肩を竦め、
「そうだ。もう一つ、彼女について確認できることがある。」
話題を切り替える。
「はぁ。」
「なんでしょう?」
ー名前だけで十分なんですけどーー!ー
真由の、頭の中の叫びが聞こえるはずもなく、話を続ける神崎。
「その彼女だが、腕を骨折、もしくは、それに近い怪我をしている可能性が高い。だから、今日は、学校を休む可能性が高い。もしくは、腕に怪我をした状態で来るとか。もし、そういった誰かが、この教室にいたら、私に教えて欲しい。頼めないか?」
「えっと。」
「そのー。」
ー骨折も何にも、無傷です。って、言えるわけないでしょ!ー
鈴美は迷って、真由は、本音を言いそうになり、首を傾げる二人に、真剣な表情で神崎。
「大丈夫だ。純粋に、礼を言いたいだけで、決闘とかを申し込むとかはない。信じて欲しい。」
「まぁ。」
「それなら、、、。」
ー決闘。無理だから!ー
「そっ、そうか。では、頼んだ。楽しみしている。」
そう言った神崎は、二人に背を向けると、
「申し訳ないが、他の皆も、彼女について何か気がついたら教えて欲しい。よろしく頼む。」
軽く頭を下げ、
「では、頼んだ。」
二人に向き直ると、片手を上げ、神崎は、教室を出ていった。
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