公開、ジャージ仮面(仮) 3
二人の男が路地の向こうに見えなくなると、真由が、肩を落とす。
>解除。
ずんっと、真由の体が重くなる。
ーえ?滅茶苦茶、体が重いんですけど。ー
>能力変動による、違和感の緩和を追加。
「あのっ。」
体の重さに、今にも座り込みたかった真由だが、後ろから声をかけられ振り向いた。
それは、男達に声をかけられていた女子学生達だった。
見ると、赤いラインの入った自分と同じ制服。
ーげっ。同じ学校の三年生だ!ー
「助けてくれて、ありがとう。」
軽く頭を下げながら近づく二人の女子学生。
真由も、あわせて下がる。
「いっ。いぇ。大事が無くて、よかったですね。」
「その。あなた、、、。」
「あ!じゃあ、わたし急ぎますんで!」
女子学生達の、何かに気が付いた様子に、思わず背を向けて走り出そうとする真由。
だが。
ー遅っ!ー
途端に、真由を止めようと手を上げた女子学生達に振り向いた真由は、
「これにて解決!」
>能力上昇。
>肉体強化。
>制御補助。
「「へっ?」」
走り出したと思ったら、振り向き、意味はわかるが、今?と、言う内容の声を上げた真由に、呆然とする女子学生達。
真由は、その二人に再び背を向けて、軽くなった体で走り出した。
ーとりあえず、見られないように移動して、解除しないと。ー
単純に、ジャージ姿に、ピンクのアイマスクで、通りを移動していれば、明らかに不審者。
>退避時補助を追加。
真由は、適当な勘に頼りながら、表通りの近くでわかりにくい影に身を潜めた。
「解除。」
制服に。
はぁぁぁぁ、、、。
何かが抜けたように、壁に背をつくと、今、自分がしてきた事が、真由の脳裏を抜けてゆく。
ーわたし、今、かなり危ないことしたよね。ー
はぁぁぁぁ、、、。
なんとなく、木刀があたった腕を撫でる。
ー痛くない。ー
袖をめくって確認する必要もない程に、何ともない。
記憶では、かなりの激痛と、折れ飛ぶ木刀あり、普通なら骨折は間違いない。
が。
無傷。
殴りかかってくる男、二人の拳を、かすることもなく躱し、攻撃した。
勿論、真由は、パンチやキックの訓練なんぞしたことがないばかりか、人を攻撃したことすら初めて。
それなのに、男の戦意を、一撃で刈り取った。
普通は、不可能。
ーどう見ても、異常だよねー。ー
はぁぁぁぁ、、、。
そのまま、暫く、うつむき加減に壁に背をあてて、止まる。
少しして。
ーまぁ、でも。そうそう、こんなことないだろうし。ー
木刀があたった腕を上げ、手を動かしてみる。
「普通にしている限りは問題なさそうだし、いっか。」
真由は、表通り出ると、歩き出した。
「そう言えば、飲み物、買ってないや。早く帰ろ。」
早足になった。
帰った真由が、ダイニングルームに顔を出すと、座っていた由香里が振り向いた。
「お帰り。真由。」
「ただいま。」
「今日は珍しくゆっくりね。鈴美ちゃんと話でもしてた?」
ーちょっと、喧嘩を、、、。ー
ぎりぎりで気が付き、あわわ、と口を押えた。
「どうしたの?」
微妙に奇妙な動きをしている真由に、由香里が、不思議そうに声を掛ける。
「なっ、なんでもないよ。鈴美はバイトだったから、図書室に行ってたの。」
「あらあら。それはつまり、次のテストは期待しても?」
丸くなった目が、すぐに期待に輝く眼差しになる由香里。
「あ、赤点は脱したいなーって。」
そこは、素直に答えてしまう真由。
由香里の期待が、苦笑にかわる。
「それはそれで、大事ね。頑張ってね。」
「うん。頑張るね。」
「そうそう、わからなかったら、おかーさんに聞いてね。多分、、、。」
由香里の目が他を向いた。
「多分、、、答えれると思うから、、、。」
「あっ。大丈夫。大丈夫。とりあえず、今日の分はわかったから。」
「それなら、いいんだけど。」
由香里が、ホッとした表情で座りなおす。
「あっ、でも。勉強だけじゃなくても、何でも聞いてね。おかーさん、頑張って答えるから。」
「うん。お願い。」
「あっ。あとね。」
区切った由香里は、よくする、真由でも驚く可愛い仕草で、頬をかいた。
「おかーさん。ハンバーグ食べたいなーって、いろいろ買って来たんだけど、、、。」
真由も、思いっきりの笑顔をで。
「ん。ハンバーグね。美味しいのつくるね。」
「よろしくね!おかーさん、全力で手伝うから。」
「ん。じゃあ、ちょっと着換えてくる。」
「おかーさん、適当に準備するから。」
「ん!」
真由は、自分の部屋に戻ると、カバンだけおろして、
「変身。」
ジャージ姿。
勿論、靴は無し。
踵を返して、部屋を出ると、ダイニングルームへ。
由香里が、
「はや、、、。」
目を丸くして、真由を凝視した。
「えっ?何?」
真由も、由香里の様子に立ち止まる。
「ちょっ。ちょっと待ってね。」
由香里は、片掌を前に出し、もう片手の人差し指を、気難しい表情の額にあてた。
「んっ、と。その。」
少し俯いていた顔を上げ、手を顎に移す由香里。
真由は、何事?と、由香里を眺める。
「あのね。おかーさん、真由の趣味にはあんまりいろいろ言いたくないんだけど、、、。その、、、。」
言いにくそうに、目線を泳がせ、
「ピンクのマスクはどうかと、思うんだけど、、、。」
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