公開、ジャージ仮面(仮) 2
「寝ろ!」
いきなり、真由に向かって男が木刀を振り下ろした。
「あっ!」
「きゃ!」
「ちょ!」
二人の女子学生と真由の声が重なる。
無造作で、全く容赦がなく振り下ろされる木刀。
真由には、能力上昇により、少しだけゆっくりに見えていた。
だが。
何もしなければ、その木刀が描く軌道の先にいる自分に当たる。
「やめっ!!」
真由は、木刀を振り払うべく、腕を上げた。
腕が、木刀とぶつかり、
バギッッッ!
鈍い音が通りに響き、
「なっ!」
木刀を振り下ろした男の目が見開かれる。
そして。
クルクルと回りながら飛んで行った、折れた木刀の先が地面に落ちる。
「いったーーーい!!!」
次に、真由の声が通りに響いた。
>痛覚を、受けたダメージ内に補正を追加
「折れた?」
「えっ?」
「ほんと?」
木刀の折れ端を持つ男は、驚愕で停止、もう一人の男と、女子学生の困惑した状態で止まった。
そんな中、真由は、一人、涙目になりながら動いて、木刀の折れ端をもつ男に詰め寄った。
「ちょっと、いきなり木刀で殴りかかるなんて、どんな性格してるの?!怪我でもしたらどうするの?!わたし、もの凄く痛かったんだよ!!」
「なんだ?こいつは?」
折れ端を持つ男が、真由の勢いに押されるように下がり、そこに、もう一人の男がついた。
「おい、やるぞ。」
「わかった。」
それなりに構えてつく男に、折れ端を持つ男も、折れ端を捨て、構える。
二人の男は、真由を挟むように立った。
本気で勝負をかけるつもりだ。
だが、真由だけがその意味がわからず、声を上げている。
「ちょっと!聞いてるの?!」
「行くぞ!」
「おう!」
二人の男は、真由の声を無視して、それなりに連携のとれた動きで、同時に、真由に殴りかかる。
が。
能力上昇で、二人の動きが少しだけゆっくりに見えている真由には、それなりの連携では、別々に攻撃しているのと同じだった。
「あぶなっ!」
自覚もへったくれもなく、あっさりと避けてしまう。
「こいつ。」
「ちっ。」
「また、いきなり。話を聞く気はないの!」
更に踏み込み、拳を突き出す二人。
「もぉ!!話を聞きなさい!!」
避ける真由。
「うわっ。」
「凄い。」
むこうから聞こえる女子学生の呟きは無視で、避ける動作を少し繰り返したところで、真由が動き、女子学生と、男達の間に立った。
「もおぉぉぉ!!いくら温厚なわたしでも、限度があるんだから!覚悟してよ!!」
「「、、、。」」
真由が離れた為に、様子をうかがうように止まった男達は、無言で動いた。
当然、人なんて殴ったことのない真由だったが、二人の内、真由に近く木刀を持っていた男が、少しだけ早く拳を伸ばしてくのを見ながら、
ーどう言っても無駄ね。やるしかないわ!ー
覚悟を決めた。
そして、
「必殺!パーンチ!」
>能力上昇。
>肉体強化。
>制御補助。
真由の、素人丸出しへっぴり腰パンチが、つむじ風を纏うスピードで木刀を持っていた男の胸にあたる。
>ダメージコントロール作動。
「ぐへっ!」
衝撃で上腕を逸らされ、もう一人の男に向かって、倒れこんでいく。
「ちっ。」
もう一人の男は舌打ちをしながら、いったん拳を止め、倒れこむ男を避けると、真由に肉薄、もう一度、拳を突き出す。
真由は、
「必殺!キーーック!」
>能力上昇。
>肉体強化。
>制御補助。
同じく、素人丸出しのキックが、もう一人の男の鳩尾へ、土煙とともに突き刺さる。
>ダメージコントロール作動。
「あぐっ!」
もう一人の男は、くの字になりながら、数歩下がって座り込んだ。
「てっ、てめぇ。」
ギリギリ座り込んでいた木刀を持っていた男が、歯ぎしりしながら真由を見上げる。
真由が、
「まだやるの。今度は、もっと酷い目にあわせるわよ!」
二人の男を、無意識に睨みつけると、もう一人の男が、木刀を持っていた男に走り寄る。
「行くぞ。」
「わかった。」
木刀を持っていた男が立ち上がり、もう一人の男が真由を睨む。
「覚えてろ。」
二人の男は、捨て台詞とともに立ち去った。
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