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鶴姫と景虎の国盗り経営録 ──戦国の怪物たちを円卓に集めたら資本で世界を取りに行った件  作者: みなと
第6章 信長・天下編 ~戦国の終わり、八洲商会の誕生と世界の始まり~

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89/90

89 八洲商会 設立建白書(定款)

ここまでお読みいただき、本当にありがとうございます。

この第89話でお届けするのは、景虎たちが戦国の世に残した遺産「設立建白書(定款)」です。


★本日、最終話、第90話も同時公開いたしました。是非、このまま最後のページまでご覧ください。

 八洲商会 設立建白書(定款)


一 商号

八洲商会(United Yashima Company / UYC)



二 目的

 本商会は、日の本八洲の総力を結集し、八洲の富と民を守り、不当なる外圧を排して対等なる万国交易を確立することで、海の果て、世界の極みまで「義」と「富」を拡張することを目的とし、以下の事業を完遂する。


二の一 資本による静謐

 土地の奪い合いを「株」と「権利」の競争へ昇華させ、永劫の平和を商いによって実現する。

 民が安んじて暮らせる「実業の国」を建設する。


二の二 開放交易の確立

 本商会の規律に服する者には、身分を問わず公平なる交易の場を提供する。

 特定の権力による独占ではなく、本商会の規律に従う者には、誰にでも門戸が開かれた公平かつ安全な交易の場を提供する。


二の三 経済主権の奪還

 八洲の海運を掌握し、銀の流出、人身売買、硝石の不当高値を阻止する。

 外つ国に買い叩かれるのではなく、適正な価格での取引の場を創出する。



三  統治機構

三の一 最高決定機関:投資主会(通称:円卓会議)

 商会の所有者たる五大発起人によって構成され、一人一票の議決権を有する。

 投資主会構成員:上杉輝虎、北条氏康、武田晴信、織田信長、上杉三郎景虎

 議長:上杉輝虎

 権限:

 ・株式の譲渡承認:株式の売却・譲渡は自由とするが、その承認には円卓会議の全会一致を要する。

 ・増資の判断:新規発行株による資金調達、及び新株主の受け入れは円卓会議の決議事項とする。

 ・相互監視制:各出資者は、互いの帳簿、蔵、及び積み荷を随時検分する不可侵の権利を有する。

 ・出資者の優先権利

  ・織田信長:新規事業への優先投資権

  ・武田晴信:配当分配権利率

  ・上杉輝虎・北条氏康:共同統治領の提供に基づく特別拒否権

  ・上杉三郎景虎: 全事業の構想、及び商会の経営全般を統括権


三の二 経営陣(代表権)

・代表執行権者(会頭):上杉輝虎

・副代表執行権者(総纏):上杉三郎景虎


三の三 監督・監査機能

・大顧問:北条幻庵

 経営の正当性を監視し、紛争発生時の最終裁定を下す。

・法務監査:山吉豊守

 定款及び「義」への抵触、並びに契約不履行を審査する。

・財務監査:直江景綱

 財務諸表の健全性を監査する。



四、 監督・実務執行

業務執行役:織田信忠、北条氏政、武田勝頼、上杉顕景

・各部門(財務、物流、開拓、法務)の実務を担う。

・業務執行差止権:上記四名の連名による申し立てがある場合、代表権(会頭、総纏)の独断専行に対し、その業務執行を一時停止させる権利を有する。



五、 人事原則(実力主義)

・出自、国籍、信教、男女を問わず、才ある者を登用し、その能力を以て八洲の礎とする。

・門閥や血筋は一切の価値を持たない。ただ「実」を以て評価し、八洲のみならず異国、異教、女人の別なく、商会の利に資する者には相応の地位と富を約束する。能力と実力のある者を等しく登用し、八洲の知恵として活用すること。



六、 罰則

・本契約は、血の誓いよりも重い。

・背きし者は、全株を没収し、八洲のあらゆる港、道、市場から永遠に追放される。



七、 附則

 人は死し、地は移ろう。然れど本商会の株(権利)は契約ある限り永劫に続くものと心得よ。


 元亀四年十二月一日


 署名:

(織田信長 印)

(武田晴信 印)

(北条氏康 印)

(上杉輝虎 印)

(上杉三郎景虎 印)


「……これで、俺たちが死んでも『八洲商会』という商会は止まらない。たとえ上杉や北条の血が絶えても、株を握る者が、この規律を引き継ぐ。俺たちの船のメインマストの下に埋めておいてくれ。これこそが、俺たちが世界に出るための、最強の武器だ」

「……旦那様。これ、後の世の人間が見たら、『戦国大名が民主主義と株式会社を同時に発明した』って、歴史の教科書がひっくり返りますよ」

「……ひっくり返ればいいさ。その方が、面白いだろ?」

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