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あの二人をいつも一緒にしているあなたは?

 髙は俺に何を寛ぎ始めた等の言葉を投げなかったが、水野と俺と楊の状況全てを解った上での台詞を俺に突き付けた。


「水野は純子ちゃんの為に小物を色々片付けちゃったみたいですねぇ。うちも娘がハイハイするようになる前に室内環境を整えなきゃなあ。あ、百目鬼さん、その座椅子はオムツ替え専用だったらしいですよ。汚れていませんか?」


 俺はにやにや笑う男の目線から顔を背け、室内の二つあるドアのうち寝室のはずのドアに向かうことにして腰を上げた。


「あなたは陰険ですよね。佐藤と水野をいつでも相棒のままに纏めているのは、普通以上に美しい彼女達をデコイに使っているからでしょう。目立つからこそ二人一緒で、嫌われるのも妬まれるのも二人一緒、ということだ。」


「本当に百目鬼さんは僕には意地悪だ。あの子達がやんちゃだから纏めているだけですよ。」


「そうですかね。組織で一番怖いのは組織の綻びでは無いですか?彼女達に嫉妬した誰かが綻びとなるのが確実に想定されるのならば、それを見逃しようがない状態で管理したいと思うのが管理者だ。オマケに彼女達は動きが破壊的で派手だから、あなたや楊の少々の無理も隠す事が出来る。」


「あなたは。悲しいなぁ、僕をそんなにも信用していなかったのですね。でも、かわさんと僕を一緒に見ているなんて、ひどいなぁ。」


「あいつは物凄い嘘つきですからね。」


「そうですね。本当の事を伝えて相手を悲しませたくないからって、嘘ばっかり言っていますね。純子を水野と佐藤で引き取って育てられるわけがない。犬猫じゃないんだから、人間の子供を簡単に引き取ることは出来ません。親権のない子供を勝手に育てれば誘拐であり監禁です。まぁ、佐藤は解っていて水野と泥を被る覚悟だったのでしょうけどね。」


「あいつは葉子さんを純子の未成年後見に仕立てて監護権を請求させたのですよね。弁護士資格を持つというだけでなく、松野グループという巨大企業の女王様だ。そんな彼女の庇護に入ることを否定することこそ純子への虐待だ。愛を餌に女王様を顎で使うなんて、あいつは本当に酷い男だ。」


「かわさんばっかり褒めないでよ。保護者責任遺棄罪で純子の祖父母を脅すよう頼まれて実行した僕の苦労も労って下さいよ。僕はあの時ほどハードワークは無かったですよ。」


「そうですね。今回も楊の為に偽物の映像まで作ってあいつの心までも守ろうとしている。楊はあんなに嘘つきなのに、どうしてあんなに騙され易いのでしょうね。」


「映像?ですか?僕と宮辺で創作したのはメッセージだけですよ。」


「そうだったのですか。黄色い砂だらけの場所に水野達がいる映像ですが、あなたではないと?」


 髙は無表情ながら両目にチラリと喜色を浮かべると、すぐに踵を返して居間を横切って水野の寝室であるドアを開けた。

 髙こそ守るべき部下の失踪の結果に脅えていたのかも知れないと考えながら、俺は彼が開け放ったドアの向こうへと視線を転じた。


 通販で売っている四角いソファを二つ並べて作るベッドがドアの隙間から覗き、ベッドにヘッドボードが無い代わりに突っ張り式のパーティーションが設置してあるところまで見て取れた。

 そして、俺がその光景に歯噛みしたのは、そこに水野の部屋には置いておきたく無いものがぶら下っていたからである。

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