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高3の夏、親友がギターを始めたら、僕らの人生が変わり始めた件 ―Guitar Kids Rhapsody―  作者: 御樹本 正輝


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2/8

2 千思万考

ヒデキが寮内を駆け回って、CDを集めてきた。

「どの曲やるか決めようぜ」

CDを手に取りながらカズヤが不審そうに訊く。

「これ、なんて読むん? びーぜっと?」

「ば~か、B'zだよ。ビーズ。知らないの?」

「誰? ベトナム人?」


「ゲリラでやるから、極力知ってる曲を選んだ方がいいぜ」

とカズヤが提案し、シングル曲を中心に選曲を始めた。

「ってお前、曲知らねぇじゃん」

「知らない」

「俺も全部弾けるわけじゃない」

「歌知らないヴォーカルと初心者のギタリスト、終わってんな、このユニット」


「30分の空き時間と言っても、フルには使えないから20分ぐらいのリストにするか」

とカズヤが曲名と時間を書き出す。ヒデキは横で見ているだけだ。

「派手なギター・ソロのある曲とかあった方がいいんだろ?」

「この曲とか、盛り上がって観客とコール&レスポンスが成立するといいけど、冒険だな」

「つーか、ビーズって有名なの?」

「お、この曲聞いたことあんな」

カズヤはぶつくさと言いながらラインナップを組み立てていく。


挿絵(By みてみん)


「ちなみに日付はいつだっけ?」カズヤが訊く。

「10月5日、土曜日の午後3時だ」

「へぇ……それは面白い」

「何が?」

「秘密」

カズヤはそう言って、何かを企んでいるようにニヤリと笑った。



「お前、歌えんの?」今さらのようにヒデキが訊く。

「さあ?」とカズヤはとぼける。

「こんな感じでどう?」とカズヤはCDを入れ替えながら順番に流す。全5曲の構成だ。

「OK。じゃ、練習すっか」とヒデキはギターを抱えた。しかしカズヤは諭すように言った。

「いや、無理だろ」

「ん?」

「俺たち二人で、このビーズをやるのは無理だよ」

「なんで?」

「もう一人必要なヤツがいる」

「誰?」

「キーボードが必要だ。林がいなきゃムリだ」

「あいつ、そんなに上手いの?」

「腕じゃない。ライヴを成立させるには、あいつが絶対に必要なんだ。だから呼んできて」

「えっ、今?」

カズヤに言われ、ヒデキは1年生の林を部屋に呼び出した。

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