表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/80

70話 どちらも完璧ではないのだから

キャラ数が予想以上に増えて、ごっちゃになっていると思うので書きます‼


セイラン:主人公

カイゼル:準主人公?

ライナス:セイランの一応護衛(人の心を読む魔法をもつ)

ドミニク:カイゼルの護衛

ベルトルド:カイゼルの護衛

ミック:カイゼルの友人兼側近候補(霧の魔法をもつ)

イバン:側近候補(水人形の魔法をもつ)

ウィリアム:現王太子(ドラゴンの魔法をもつ)

リリアン:偽聖女(洗脳の魔法をもつ)


グレン(端役):貧民街の現統率者(セイランの下)


※カイゼル視点です‼

「……あ、その…………相談、というか提案になるのかな、嫌だったら断ってくれていいんだけど……セイラン、俺の護衛をしてくれないかな??朝から晩まで一緒の専属の護衛として……」


あぁ、最悪だ。

俺、カイゼル・ハイドラントは自分に嫌気がさしていた。


もう俺は彼女を守る側に立てたと思っていた。

でも、そうじゃなかった。


「ごめん、こんな頼み事して……。セイランのおかげで悪女の加護は広がっているけれど俺達は変わらず聖女と接触出来ていない。


ケビンとの約束まであと4か月、時間が無いんだ。だから俺を囮に使いたい。

学園の中じゃベルトルド達は入れないし、俺がもっと強ければこんなこと頼まなかったんだけど……本当にごめん」


言っていて、自分で情けなくなってくる。

今度はセイランを守れる、そう思っていたのに守って欲しいだなんて情けない。


でもベルトルド達には悪いが、やっぱりセイランは別格で強い。

今俺が死ぬわけにいかないことを考えると、囮として学園に復学するためにはセイランに守ってもらうのが一番良い。


良いんだけど……。


俺は恐る恐る伏せていた顔を上げた。

セイランはきっと呆れている、そんな顔を直視なんてしたくないけど顔を見ないわけにも……。


???


顔を上げてみるとセイランは黄金の瞳をキラキラさせて俺を見ていた。


可愛い……じゃなくて‼


「あの、セイラン??嫌だったら断ってくれても……」

「あら!嫌ではなくってよ‼ねぇ?カイゼル?それよりも明日貧民街を一緒に散策しないかしら??」


「へ⁉あ、うん⁉」


彼女には珍しく、甘えた様な耳をくすぐる声につい返事を返してしまった。

いや、デートは嬉しいけど……。


「じゃ、明日は学園も無いから8時に迎えに来るわ‼」


言うと共にセイランは窓から飛び降りてしまった。


「ちょ、セイラン⁉」

「コーディ‼追ってくれ‼見送り!」

「承知した!」


急いでコーディを出して、いつもの様に見送り兼護衛につかせる。

セイランは強い、だけど今回のことにしろそれを過信している節があるからもっと慎重に動いて欲しいと思う。


それなのに俺は自分の護衛を頼むなんて……。


「チグハグだなぁ」


最近彼女は意識をしていないみたいだが時々甘えてくれるようになった。

何も言わずに俺に寄りかかり、幸せそうにしているだけで俺も幸せになる。


嬉しそうにしている彼女が可愛くて、愛しくて仕方が無い。

サラサラの白い髪、白い肌、長いまつげに黄金の瞳、気持ちよさそうに緩んでいる顔を見ると思わずキスしたくなる。


流石にあまり行き過ぎると、逃げられてしまうことが目に見えているからしないけど。

俺は深く深く溜め息を吐いた。


本当なら、俺が彼女を守って、俺の隣は一番安心できるところでありたい。

それなのに護衛を頼むしかないなんて自分で自分が嫌になる。

コーディが居てもずっとは出しておけないから、仕方が無いこととは分かっているがやるせない。





翌朝、セイランは満面の笑みで迎えに来てくれた。


「おはようセイラン」

「フフフ!おはようカイゼル!」


上機嫌にクスクスと笑う彼女を見て、また胸がドキドキしてくる。

やっぱりすごく可愛い。


今すぐに抱きしめたい衝動に駆られつつ、セイランに手を引かれていく。


「おはようございます!悪女様‼」

「悪女様見て‼ココこんなに綺麗になったの!」

「悪女様、今日も美人だねぇ。若先生とお出かけかい??」


「フフフ!そうなの、羨ましいでしょう??」


セイランは貧民街に来て数日でこの街を変えつつあった。


ゴロツキ達は彼女の言うことに逆らわないし、グレンという常識人らしきゴロツキの元頭領とライナスが統率しているおかげで目立った問題も起きていない。


ちなみに若先生というのは俺のこと。

治癒のことを言いたくなくて、医者だと言ったところ、若先生とあだ名がついた。


強くて真っすぐで、真っ白な彼女が街を瞬く間に変えていくことに、俺は内心胸がチクチクしていた。

敗北感の様な、変な感覚。


「カイゼル、どうかしら??」

「ん?どうって?」


セイランは町の反対側の見晴らしが良いところまで来ると、クルリと回り、俺を覗き込んだ。


「この街も綺麗になってきたでしょう??ブレントに聞いたわ、少し前はもっと活気も無かったって」


「うん、すごく綺麗になった。見た目もそうだけど、セイランのおかげで皆怯えて暮らすことが無くなったから、とても生きることが楽しそうに見えるよ」


「あら!わたくしのおかげではなくってよ??」

「ん?いや、だって」


俺が言いかけた途端、セイランは俺の胸に拳を突き立てた。


「わたくし達のおかげ、でしてよ。わたくしはゴロツキを従えただけ」

「俺は、ただ治癒をしただけで」


「フフフ!だから、わたくし達のおかげ、でしてよ‼‼カイゼル、わたくしは力で押すことしか出来なかった。


本当の意味で力無き者達に寄り添い、救っているのは貴方でしてよ。だから、自信をもって頂戴な。目に見える脅威はわたくしが排除するわ、だから貴方は」


「目に見えない脅威を排除する??」


俺が言葉を予想して引き継ぐと、彼女はフワリと笑った。

その表情が凛々しくて、とても、言い表せない程に綺麗で、思わず気がついた時には彼女を腕の中に閉じ込めていた。


サラサラの髪が引き寄せた手に、腕に当たり心地いい。


「ありがとうセイラン、愛してる」


耳元で囁いて、目元にキスをすると、セイランはビクッと跳ねて、いつもなら俺のことを抱きしめ返してくれるのに、今回はただ赤くなって固まっている。


多分、今の彼女の頭の中では大混乱が起きている。


その可愛い姿にちょっと笑いつつも俺はまだ抱きしめ続けた。

俺は知らず知らずのうちに傲慢になっていた。


セイランの様な真っすぐな傲慢さではなくて、まるで自分が何でも出来るようになった様な卑屈な傲慢さ。


でも、役割分担と考えれば良いのかもしれない。

まだセイランを危険にさらすことに納得は出来ない、出来る限り安全で居て欲しいと思うけれど、もう嫉妬の様な敗北感の様な感覚は無い。


俺達はどちらも完璧ではないのだから。



「その……カイゼル??わたくし、実は貴方にお願いがあるの」

「ん?何?」


セイランが離して欲しそうなことは理解しつつぎゅっと抱きしめたまま、ちょっと意地悪く聞くと、彼女は俺の腕の中でもぞもぞと動いて真っ赤な顔で下から睨みつけてきた。


ちょっとまずいかも。


流石に危機感を感じてセイランを離し、距離を置くと彼女はおもむろに剣を抜いた。


「ちょ、ちょっと待って‼そこまで怒らなくても‼」

「……持って頂戴な」

「え?」


セイランに言われたまま剣を持つと彼女は俺の前に跪いた。


これって……。


「わたくし、帝国では騎士の誓いを立てていないの。機会が無かったし、誓いを立てたいのはカイゼルだったから……お願い出来るかしら?」


俺はこくりと頷き、セイランの肩に軽く剣の腹を当てた。


「騎士セイラン・マルティネス。謙虚であれ、誠実であれ、礼儀を守れ、裏切ることなく、欺くことなく、力無き者には常に優しく、強者には常に勇ましく、己の品位を高め、堂々と振る舞い、民を守る盾となれ、主の敵を討つ矛となれ…………真っすぐに己を信じ、傲慢であれ、騎士である身を忘れるな」


セイランは俺の言葉に少し驚きつつも微笑み、剣にキスをした。

そして、ゆっくりと彼女は立ち上がり、俺から剣を返却される。


「ありがとう。フフフ!ちょっと内容は違ったのではないかしら??」

「でも、嫌じゃないだろ?」

「そうね!」


ニヤッと笑うと彼女も笑った。

あぁ、幸せだな。


これで魔物のこと、なければ本当に良いのに。


「セイラン、じゃあ明後日から護衛を頼んだよ」

「えぇ!任せなさいな‼」


俺はこれから学園に復学する。

そうすれば、聖女も国王も動き出すはず‼


一抹の不安と共に、俺はセイランと残りのデートを楽しんだ。


面白い!続きが気になる!と思っていただけたらやる気につながるためブックマークや評価をお願いします‼<(_ _)>


既にしていただいた方、ありがとうございます‼


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ