番外編 ベルトルドの心境
※現代語が頻発していますが、ベルトルドは転生者ではありません。
全て彼が作った造語です。
コメディなので軽ーく読んでいただけたらと思います。
私、ベルトルドはカイゼル様にお仕えするようになってからとても充実した毎日を送っている。
なぜならそれは、私が聖女・英雄愛好家だからだ。
「…………カイゼル様が……聖女?ですか??」
セイラン様とやっと出会い、ドミニクと共に皇宮で再会したカイゼル様はそうおっしゃった。
「いや、何というか聖女の力が偶々俺に移ってしまった様なものらしい。何にしても、セイランが元気になってよかった」
ふわりとはにかむカイゼル様は言われてみれば純粋だし、人を巻き込むのが上手い。
性格面でみればまさに聖女だ。
聖女が……男……。
「ごめん、聖女とか英雄が好きなベルトルドからするとちょっと微妙かもしれないな」
ハハッと笑うカイゼル様に私は努めて冷静に返す。
「いえいえ、そんなことはございません。むしろ、カイゼル様の様に純粋な方であれば納得です」
「そういってもらえると助かるよ。これからもよろしく」
「はい、よろしくお願い致します」
傍から見たらまともな護衛と主人の会話。
だが私の心境は……。
ヤッベェェェェェェェェェ‼‼‼
歴史的瞬間キタァァァァァァァァアアアアア‼‼\(゜ロ\)(/ロ゜)/
聖女が男とかマ・ジ・デ☆
グァァァ‼‼
サイン欲しいいいいいい‼‼てかこんなスゲェ人の護衛⁉マジヤバくねぇ⁉
お母ちゃん‼産んでくれてありがとう‼
今、すっげぇ幸せダヨ‼‼
「ベルトルド?どうしたんだ、ぼーっとして」
「あ、いえ。少し驚いていただけです。ところでカイゼル様が聖女ということはケビン皇太子とセイラン様が英雄ということですね」
元々治癒の力を持つ聖女は一人だが、英雄は歴史上でも多くて3人居た時代もあった。
特に珍しいことではない。
「あぁ、そうなるな。せイランもケビン皇太子もまだ何も成し遂げていないから、そう言われるのは嫌みたいだけどね」
「そうなんですか、気をつけます」
ケ・ン・キョ☆
やっぱ英雄になる人達パネェェェェ‼‼
もう好き‼マジで好き‼‼
ハァ、同じ空気を吸っているのマジで幸せ♡
「ベルトルド?疲れているならドミニクと調整して」
「いえ、大丈夫です‼」
キリッ‼‼
私は冷静な護衛の仮面をかぶりなおした。
実は私、ケビン皇太子は何度もお見かけしてずっと尊敬していたのだが、騎士団の亡霊と名高いセイラン様には会ったことが無かった。
なぜならそれは、剣技の天才美女なんて私にとって最高過ぎるから。
入団してからちらほら聞くようになった騎士団の亡霊の噂。
どうしても‼‼本気で‼会いたい‼‼
と、熱意が強すぎて
『……もう少し、落ち着いたら紹介しような?その……今の様子だと変態っぽいぞ。鼻息とか……』
ガチで先輩騎士達に引かれた。
ムッチャ悲しかった。
そうこうしているうちに私が外周りの時に夜会の事件は起きて、騎士団の亡霊がセイラン様だと知り、彼女はそのまま処刑されてしまった。
推しを殺すは万死に値する。
実際は陛下を殺せないが、想像では100回殺した
会ったことも無い推しを処刑され、私は全てがどうでもよくなり騎士を辞めた。
そんな経緯があり、セイラン様が応援に行っていた西から戻って来た翌日、頭を下げて手合わせを願い出た。
セイラン様は推しだ。
でも、この前の血だらけの様子と言い、もしかしたら噂が一人歩きしているのかもしれない。
私はそれなりに冷静になっていた。
初めて見た彼女は想像よりも綺麗で小さかった。
そして血だらけで意識が危うい。
次に見た時は元気になっていたが、戦っているところを見ていないので何とも言えない。
実際に戦ってみた結果。
マジヤバかった。
ドミニクが審判を務め、試合形式で寸止め、剣が弾かれても戦えればそのまま試合続行の規則を設けた。
ドミニクの号令と共に私は勢いよく踏み込みこんだ。先手必勝。これで入団試験も受かったのだ。
セイラン様に向かって剣を振りあげようと一歩足を出そうとすると、その足の脛を軽く押され、思った場所に足を置けず、そのまま重心が崩れたところを蹴られて私は呆気なく転んだ。
何をされたのか、一瞬マジで分からなかった。
「フフフ!意気込み過ぎでしてよ。もっと力を抜いて臨機応変に戦わなければ、わたくしには勝てなくってよ??」
転んだまま見上げるとそこには、さっきまで小さいと感じていた純白の美女が遥か上に見えた。
通常の淑女よりも偉そうに笑いながら私を見下している。
グササ‼‼
心臓に剣を突き刺された感触と共に世界が色づく。
ワタシ、コノヒト、スキ。
……ヤッベ‼‼一瞬人語を忘れかけてた‼‼‼
「あら?いつまでも地べたに居てはわたくしには勝てなくってよ?あまりに無様な姿を晒すようならカイゼルの護衛も変えるわ」
「し、失礼しました。次は……勝ちます‼‼」
「フフフ!いらっしゃいな!遊んであげましてよ‼‼」
私はその後も努めて平静を保って話ながら、真剣にセイラン様から一本を取ろうとした。
結果は無残なものだったが幸せな時間だった。
先に言っておく。
私のセイラン様への感情は異性的な恋愛感情ではない。
もっと神聖で崇高な何かである。
セイラン様、そして第二の推しであるカイゼル様はいわば生きる力。
幸せそのもの!
出会ったことも無い推しが処刑され、悲しみに打ちひしがれていたが、現在私は大変幸せな毎日を送っている。
そして次なる幸せの野望は、推し×推しの子供が見たい‼‼
と、いうわけで二人になれるようにドミニクと画策している毎日である。
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