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純粋無垢を護らねば!〜リン×ラン×キッチンカー日常〜  作者: おりみみ


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第39話 ビーチを護らねば!(リン視点)【夏の特別番外 前編】

「夏だ! 海だ! カレー焼きそばパンだ!」


「はい、こちら"夏だ! 海だ! カレー焼きそばパンだ!"ですよ~」


 酷暑で熱々になった砂浜を踏みしめ、ビーチに長い行列を成すお客さんの前には、向日葵の如く輝く黄色いキッチンカー。


 そう、今日は海辺での楽しい楽しいキッチンカー営業よ!


「暑くて溶けちゃいそうなの……」


 私の横でせっせとカレー焼きそばパンを作っていたランちゃんは、そう弱音を吐いたあと水分補給にペットボトルのお茶をグビっと飲むわ。


 首に汗ふき用のタオルを巻いて、水分補給のお茶も大量に用意、両サイドに配置した保冷剤兼ね備え扇風機から来るひんやりした風までがあっても……この酷暑には勝てない! ほんと、私も溶けちゃいそう。


「ランちゃん、追加で焼きそばパン五つお願いね~」


「ふぃ……が、頑張るなの……」


 そんな中、お客さんと焼きそばパンを向かい受けるランちゃんの姿は正しく職人。

 目にも止まらぬ速さでパンが出来上がっていく。さっすがランちゃんね。


 ちなみに、夏限定イチオシメニューである"夏だ! 海だ! カレー焼きそばパンだ!"は、今回も職人ランちゃん考案のメニューよ。


 一般的な焼きそばパンの焼きそばよりもソースは濃いめ、そして何より、目玉は焼きそばパンの中央に注がれたカレー!


 海ではしゃぎにはしゃぎまくったお客さん達は、汗水垂らしてカロリーもガンガン消費。塩分とエネルギーを欲した身体にはバッチリなスタミナメニューになっているわ。


「ランちゃん隙あり!」


 両手が塞がっている焼きそばパン職人の口に、えいやと放り込んだもの。


「むっ、丸いスイカなの! ひんやりして美味しいなのー」


 満足そうに笑顔を咲かせるランちゃん。

 ふふっ、小さめのアイスクリームディッシャーで一口サイズにくり抜いたスイカは中々便利ね。

 ランちゃんの小さなお口に、運動会の玉入れの要領で楽しくホイホイ入れられるわ。


 もうひとスイカを、ホイとランちゃん玉入れしていた時。


「お疲れ様です。リンさん、ランさん」


 お客さんとしてやって来た、普段中々お目にかかれない水着姿の───


「え、どこの誰さんなの?」


「鰈崎マコですよ! 警察服来てないからってひどいです!」


 あっさり×ひょっこりでおなじみ、マコちゃんが満を持して登場よ!


 ヒラヒラの装飾のある水着がとってもキュートね!


「こんにちはマコちゃん~」


「流石に冗談なの。よく暑い中ぼっちで来たなの」


「いや~ホントに暑くて……ってぼっち前提で語らないでください。あ、あと……はい、これ差し入れです」


 よいしょと持ち上げた緑色の果物。


 マコちゃんの手には真ん丸なスイカ!

 これでおかわりスイカ玉入れゲームが出来るわ。やったねランちゃん。


 私は「ありがとう~」と受け取って、ランちゃんは、「カルパスもよこすなの」と休養中の水着警察官にカツアゲするわ。


 ぴょんぴょんジャンプして、カルパスをチャリンと落とす羽目になりかけたマコちゃんの前に、


「ちょっと、マコが可哀想じゃないの! やめなさいよ!」


 マコちゃんの後ろに身を潜めるようにしていた女の子が、両手を広げてカツアゲからマコちゃんを必死にガーディアンするわ。


 マコちゃん大好きな乙女ちゃんこと、ミキちゃんね!


「あ、ミキちゃん久しぶりね~。もしかして、マコちゃんとデート??」


「デデっデートな訳ないでしょう!? 勘違いしないで、私はマコに泳ぎを教わりに来ただけだから」


 相変わらず赤面しちゃって~。


「そっかぁ。マコちゃんと海、楽しんでねっ」


 結局マコちゃんからカルパスを一本手に入れた勝者ランちゃん。

 煙管を吹かすようにしてカルパスを咥えた後、マコ×ミキカップルにカレー焼きそばパンを渡したわ。


「リンさんランさん、キッチンカー営業を終えたら一緒にビーチバレーしましょうよ! 向こうの方で待ってますからー!」


「むごー!」


 ブンブンと風を切るようにして手を振るマコちゃんと、カレー焼きそばパンにすかさずかぶりついているミキちゃんが海に走って行く。


「ランちゃん、ビーチバレーだって! 営業終わりの四時まで、後二時間ちょいだから頑張っちゃお!」


「ええ? ふざけてるなの?? そんな体力残ってないなの。有り余ったその体力を今この時間に1000%発揮するなの」


 珍しくガチギレなご様子に汗汗としちゃうわ。

 ま、まあ、そろそろピークも過ぎるし大丈夫よ。大丈夫だから、ね? 1000%出すからお願い!


「……もう、仕方ないなのー」


 頬を膨らませていたランちゃんは、ニカっと笑って作業を再開するわ。


 私の無茶を、何だかんだいつも笑顔で受け入れてくれるランちゃん。

 胸が暖かくなる喜びを、スイカボールにのせて、ヒョイと小さなお口に入れる。そしてお返しとばかりに、また笑顔を見せてくれた。


 心温まる微笑みを、毎日返してくれるこの日々を、これから護って行かなくちゃ。

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