第30話 ゲーム大会を護らねば!前編(ラン視点)
オンラインゲーム、《Cookring》は若者を中心に人気が広がった、グルメと銃で戦うバトルロイヤルなスマホアプリゲームなの。
パソコンでも出来るみたいだけど、操作が分からないし、パソコン持ってないからスマホ派なの。
ところで、バトルロイヤルって人を殺しまくるゲームなのに、高級感あるロイヤルってどういう意味なの?
違う意味があるなの?
そんなことは置いといて。
休憩時間でチマチマプレイしてたこのゲーム。適当にしてるだけで対戦相手がお豆腐が砕けるように散って、アイスみたいに溶けていくなの。
リアルな血しぶきがブシャーって飛んでくるけど、ケチャップだと思えばなんてことないなの。
きっとケチャップ好きには堪らないゲームなの。
そんなある日、ゲーム内で全国大会に進めるオンライン大戦イベントが開催されたなの。
いつも通りペチペチ銃で溶かしていたら、なんか上位層にくい込んでたなの。
とんだ奇跡もあるんだな~って感じなの。
こんなところで運を使わないで、宝くじとかに運を使いたかったなの。
……あ、そういえば去年の大晦日、クジで大吉引いてたなの。ちなみにリンも大吉、マコは大凶だったなの。
「続いては~ッラン選手の入場です!」
あ、色々考えてたら呼ばれたなの。
今は全国大会の会場にいるなの。
薄暗い感じが少し不気味で肌寒いなの。
ステージ裏の黒いカーテンを捲って、いざ参戦なの。
湧き上がる歓声、赤と青の照明ライトが私を照らしたり照らさなかったりして、無駄に豪華な演出をするなの。
正直こう言うのに慣れてないなの。
ただ、不安だった当日も、イレギュラーがあって寧ろ安心になったなの。
そのイレギュラーとは。
「十七歳にしてキッチンカー営業をこなすラン選手。今回解説ゲストで招かれたリンさんとのお友達のようで?」
「はい! ランちゃんは私のお友達、いや親友を超えし何かってところですよ~」
リンが司会者の隣に座って解説役することになったなの。なんでなの。
水族館の帰り、リンが偶然メールに目を止めて、断る予定だった全国大会を申し込んじゃったなの。なんでなの。
リンは私が人を殺しまくるゲームをしていることを知ると、体調を崩して一日寝込んじゃったのに、何で申し込んだのか永遠の謎なの。
で、関係者が何を思ったのか、リンを解説役の一人に抜擢。リンは三日間ゲームを趣味感覚で楽しんだ後、あそこに座ってるなの。
本当になんでなの。
ゲームのプロプレイヤーに失礼になっちゃうなの。
堂々と座ってられる勇気は一体どこから湧いてくるなの。
司会者がグイッとマイクをリンに向けて。
「ところでリンさん、キッチンカーで販売された標識チョコが命を救ったり、ジャンケンで無双して100連勝したって本当なのでしょうか?」
「前者は本当ですよ。これはランちゃんのおかげね!」
ふへっ照れちゃうなの。
「あ~後者は流石に……ジャンケンで100連勝って難しいですよね~」
ショボンと残念がる司会者に、リンは笑顔で対応するなの。
「途中で関西弁の女の子ちゃんに連勝を止められたんです。そのあとは勝ち続けて、連勝70くらいで終わっちゃったの」
「え? じゃ合計の勝負数は?」
「ん~100は超えてたと思うわ!」
観客が何故か、わーって言って興奮してるなの。
人間ってそんなジャンケンに熱くなれるなの?
リンだけじゃなく皆脳みそお花畑だったりするなの?
急いで除草剤撒かなきゃなの。
リンが、厨二病ちゃん見てるー? とか言ってるなの。
ちゅうにびょうってどう言った病か知らないけど、多分煽りになってるなの。
やめてあげてなの。
はあ、ジャンケンなんて興味無いし、早くゲームしようなの。
私の次に呼ばれた選手達もこんな感じで雑談混じりで登場するなの。
「今回の大会ステージはアルテシマ廃墟! 植物と廃墟が連なる、傾斜と段差が多いステージです! リングを取り合っていざバトル!」
「植物は毒性あるのもや無いものの見分けが鍵になるわね。逆に毒物グルメを作って相手に食らわせることも可能よ」
リンが司会者に混ざってそれっぽいこと言うなの。
何故かマシに見えるなの。
対戦が始まる前に、イベント告知とか広告とか色々挟まれるなの。
細かいイベントとかよく分からないし退屈なの。
皆盛り上がっているし、なんとなく両手を上に挙げて、わーいって棒読みしてあげたなの。必殺空気読みなの。
ただ、特別ゲストのリンに合わせてなのか、リン×ラン×キッチンカーのちょっとした紹介もしてたのは嬉しかったなの。
両手を挙げるだけじゃなくて、ブンブン振ってあげたの。
必殺ブンブン空気切りなの。
「選手の方々、料理家を選択をしてください」
このチューシーっていうものは、このゲームを動かすキャラクターのことなの。第一予選で予習してきたので覚えてるなの。ドヤなの。
私がボタンを押したりすると、選んだ料理家が代わりに銃を打ったり料理するなの。操り人形みたいで、悪者になった気分になれる凄いゲームなの。ふふふなの。
早速選ぶなの、ポチー。
「な!? ラン選手、なんと初期キャラである《パフィオペ》を使用するようですね……環境ではあまり見かけない料理家ですが、これは何か策があるのでしょうか?」
環境?
パフェパフェ?
「最初からいるこの人しか使ったことないなの。ふーん、この人パフェパフェって言うなの、中々面白い名前なの」
私の言葉に、会場がサッと沈黙し、次第にザワザワし始めるなの。
どうかしたなの?
「ええ? こ、え? パフィオペの名を知らずに……さらには他の料理家を使わずにここまで登り詰めたのですか!?」
驚く司会者に、私は頷いてあげるなの。
頭を抱える司会者は、これは歴史上に残る伝説の試合になりそうです……と言うなの。
皮肉はよすなの、リンがまともに受けとって、伝説の試合……凄い楽しみね! なんて言っちゃってるなの。
司会者はコホンッとして。
「お待たせ致しました、間もなく全国大会の決勝戦が始まります!」
ようやく来たなの。
さっさとペチって賞金貰って帰るなの~。




