↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
純粋無垢を護らねば!〜リン×ラン×キッチンカー日常〜  作者: おりみみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
29/42

第29話 水族館を護らねば!後編(リン)

 ペンギンショーを見終わり、ペンギンロードへ行くペンギンちゃんを見送った後、私達は水族館内にある熱帯魚コーナーに来ているわ。


 キピキピなランちゃんも見れたことだし、今度は一体どんなランちゃんが……


「ぷぷぷー名前がチンチンみたいなの!」


 あああああああああああああぁぁぁ!!!

 ラ、ラララ、ランちゃんがッランちゃんにそぐわない発言を!


 このニョロニョロは何なの?

 って答えに、これはチンアナゴって言う魚ねって言った私が悪いのかしら。


 チンアナゴのチンは犬の名前由来なのだけど、確かにそう受け取る気持ちも分かるわ。

 それに無垢な故の発言なのでしょうけども……もうもう。


 水族館の室内、水槽を見ていた人達の目線がこちらに向けられてる気がするわ。

 は、恥ずかしいよお。


「何顔赤くしてるなの? あ、リンもこのニョロっとした魚チンチンみたいだなって思ってたなの?」


「思ってないわ!」


 この流れはマズイわ。

 うん、ここはなんかそれっぽいこと言って誤魔化すのよ!


「知ってる? チンアナゴって長さが三十五センチもあるのよ?」


「ふーん、長いチンアナゴなの。略して長チンなの」


 もうもうもう!

 なんで略すのランちゃん!!

 どこからか笑い声も聞こえるし、限界だわ!!!


 ……冷静になるのよリン。

 一回ここは別の場所に移るべきね。


 私はランちゃんの手を引き、チンアナゴの水槽を後にするわ。


 ここの水族館にはクラゲコーナーもあるのよね。

 シンプルな青いライトアップやカラフルなものもあって居心地最高よ!


「リン、何か焦ってるなの」


 冷や汗ダラダラだけど、涼しげに言うわ。


「気にしなくていいのよ、にしてもクラゲ、綺麗ね~」


「ふわふわしてて、なんだかリンみたいなの」


 これとか特にそうなのーと指さしているクラゲはアカクラゲね。

 へへ、ランちゃんにクラゲみたいって言われるのも悪くないわ。


「あの小さな可愛いクラゲはランちゃんかしら?」


「私はあの提灯みたいなクラゲがいいなの」


 円柱状で触手の無いクラゲ、ウリウラゲがランちゃんのお気に入りなのね。キラキラ反射で光ってて綺麗よね。


 ただこの種は……あ、ちょうど食事みたいよ。


 お世話係の人が水槽の中に別種のクラゲを投入したわ。

 ウリクラゲ同様、反射で虹色に光ってるカブトクラゲね。


 そんなカブトちゃんにウリちゃんが近づいて……


「わわっクラゲがクラゲを食べちゃってるなの! 丸呑みなの!」


 そう、ウリクラゲのご飯はカブトクラゲ、捕食者なのよ!


「可哀想なの」


 同情と恐怖の入り交じった目をしてそう言っているわ。


「これが弱肉強食よ。面白いものが見れたわね」


 メガネをかけていたら、ここでクイッとして格好つけたいわね。

 私の視力が両目1.6なのが残念だわ。


「面白くないなの、悲しくなったなの。それに、クラゲがクラゲを食べるなんて初めて知ったなの」


「クラゲはプランクトン食だから基本無いわ。あと、カブトクラゲは厳密にはクラゲじゃないしね」


 カブトクラゲをを丸呑みして、ぷくぷく浮かぶウリクラゲを二度見するランちゃん。

 私に向き直って、ムスッとした顔をしながら言うわ。


「え……クラゲって言ってるのにクラゲじゃないとか詐欺なの。情報量でパンクしそうなの」


「ちなみに共食いしない生物はいないとか、どこかの研究者が言ってたわ。


「うう……知識の圧で押しつぶされそうなの」


 ランちゃんが頭から煙をあげているわ。

 思わずたくさん喋っちゃった。ごめんなさいね、後でお土産コーナーでランちゃんの好きなぬいぐるみを買いましょ!


 煙を払いながら、プスプスしている頭を撫でていると。


「共食いって人間もしちゃうなの?」


 ってランちゃんが聞いてきたわ。今はもう無いけど、昔は人食文化のある国もあったらしいのよね。

 うーんまあ軽く答えて置けばいいかな。


「今は共食いしないわ、大丈夫よ!」


「今って……いつかしちゃうかもみたいな感じが怖いなの」


「えと、昔はちょっとあったみたいなんだけど、今後は絶対に起こらないわ! 安心安全!」


 手を大の字にして広げて、ランちゃんを説得するわ。

 怖い思いをさせてはならない、ランちゃんには笑顔で居てもらいたいもの!


 ランちゃんはいつものキョトンとした顔に戻り、なんだぁ~と呟くわ。

 ふう、一件落着よ。


 淡い青いライトが照らす、巨大な水槽の前。


 クラゲを眺めるランちゃんは、何気ない感じでポツリと言うわ。


「もし食べられちゃうなら、リンに食べて貰いたいなの」


 ……え?


「食べられちゃうって、私が、ランちゃんを?」


 水槽からのライトが反射する、綺麗な瞳をこちらに向けられる。


「そうなの。怖い知らない人より、優しいリンに食べて貰う方が幸せなの。まあ、もしかしたらの話なの」


「ふうん、そ、そうなんだ……」


 さっきはさっきで恥ずかしかったけど、今度は別方向で恥ずかしいわ。

 身体がムズムズしちゃうし、ランちゃんの顔を見てられないわ。


 念の為だけど、食べちゃうってちゃんと食べちゃうってことよね?

 ……私は何考えているの!

 私とランちゃんはそんなっ。


「恥ずかしがってるリンは可愛いなの」


 無垢な笑顔に思わず怯んじゃうわ。


「ッ! か、可愛いを言うのは私の仕事よ! それに恥ずかしいなんて」


「リンは恥ずかしがる時、その長い髪を手でバサァする癖があるなの。私にはお見通しなの」


 なな、そんな癖があったなんて……ますます恥ずかしい……


 今日はランちゃんの可愛いデーのはずなのに、私にまでスポットライト当たらなくていいの!


 顔を赤くする私に、ランちゃんは悪巧みしてそうな笑みを浮かべるわ。


「ところで、リンはもし食べられちゃう時は、誰に食べて貰いたいなの?」


「その話を掘り返さないでよ~……それはまあ、もちろん答えは決まってるわ」


「え~誰なの~」


 ニマニマするランちゃんに、やり返しよ!


「マコちゃんよ!」


 残念でした!

 ランちゃんと言いたいところだけど、思い通りにはさせないわ、ふーんだ!


「マコ……?」


 ぴたっと硬直して、私の方をただただ見つめるランちゃん。あれ、私、やりすぎちゃったかな?


「ごめんなさいランちゃん、あのね、マコちゃんももちろんなんだけど……」


「マコを食べれば良かったんだなの!」


「……え?」


 その手があったかな感じで目を輝かせているわ。

 落ち込まなくてホッとしたけど、これでいいのかしら?


「そうよね、やっぱりマコちゃんよね!」


 ま、マコちゃんだしいっか!

 だってあっさりしてて美味しそうだもの!


 ……あれ、誰に食べて貰うかっていう受動態の話だったのに、いつの間にか誰を食べるかって話になってない?


 ん~けどマコちゃんに食べられちゃう想像は出来ないけど、食べちゃう想像は出来るわね。

 お腹真っ白だし。


 狂気じみた話をする私達二人に、近づくひょっこりあっさりした人影。


「あ、やっぱりリンさんとランさんじゃないですか」


 この声は!


「へへ、またまた偶然会っちゃいましたね」


「マコちゃん! こんにちは~」


 お約束ひょっこりマコちゃんよ!

 もしかして、私達に会いたすぎてGPSを付けて追って来てるのかしら?


 そう言ってくれればいつでも居場所を教えるのにな~。


 しいたけ目のままなランちゃんは。


「美味しそうなマコが来たなの」


 と、じゅるりとして言うわ。

 ランちゃん、本気で食べようとしちゃダメよ?


 もう本題の食べれもらうじゃなくて食べる方に完全シフトしてるわ。


 そういえばお昼を過ぎていたのに、朝ごはんから何も食べてなかったわね。

 うん、きっとそのせいだわ。


「え、わたしって美味しそうに見えますか?」


「餅つき大会の時、マコちゃんのお腹がお餅よりいい音鳴ってたわよね」


 なんか面白そうだし、ランちゃんに乗っかっちゃうわ。

 ランちゃんがしいたけ目を長時間続けて、活お腹が空いてる状態はレアなのよ。

 この機会を逃してはならないわ!


「あーお餅マコなの、懐かしいなの。こんがり焼いて餡子付けて、餡子春巻きマコも美味しそうなの。1/2マコの試食コーナーの始まりなの」


 大分物騒なこと言ってるけど、もう私は気にしないわ。

 チンアナゴの時よりはマシだし!


「ふん、なるほどですよ。あの時みたいに、わたしのことを言ってる風で、実はマコガレイの美味しさを語ってるんですよね? もう騙されませんよ!」


 エッヘンするマコちゃんに、ランちゃんが即答するわ。


「人間の方のマコなの」


「………………え?」


「食べられちゃうとしたら誰に食べられるか……あれ? ま、マコを食べることに決定したなの。非常食マコなの」


 話を飛ばしまくって非常食認定されたマコちゃん。非常食ちゃんは足を一歩二歩後ずさりするわ。


 オイラは非常食じゃないぞ~ってところかしら?


 そんなマコちゃんが私に、本当なんですかな視線を送っていたから。


「マコちゃん美味しそうだから……ね?」


 とウインクして言ってあげたわ。


 美味しそうって思わせる素質はそうそう人間持って生まれて来ないわ。

 これは非常食マコちゃんの特殊能力と言っても過言じゃないのよ。


 にしても、非常食であっさりなカルパス好きお餅警察……なんててんこ盛り属性なのかしら。


 ただただ虚無虚無だった頃と比べて、見違えたわ!

 しかもそれでいて今も尚虚無を極めているのだから、隙がない……尊敬に値するわ。


「ま、またまたご冗談を」


 ちょっと前の私以上の冷や汗ダラダラなマコちゃん。


「冗談じゃないなの。マコはあっさりカルパス味なはずなの。リンが犠牲になる前に、まずはマコが犠牲になるなの」


 青ざめ非常食ちゃんは、さらに身体をぷるぷるさせ、腰が抜けたように地面に尻もちするわ。


「そんな、ミキサーとか氷漬けが現実に……? ご、ごめんなさい! なんでもしますからああぁぁ!! お腹、また撫で撫でしていいですからああああああああああああぁぁぁ!!!」


 懐かしの服従ポーズを決め込む犬マコちゃん。


 ランちゃんと一緒に、美味しそうな……いや、真っ白なお腹を十分に堪能。

 仰向けになったワンちゃんはとっても満足そう!

 しかも周りの観客も面白がってワンちゃんなマコちゃんを記念撮影してたから人気者ね!

 良かったね~マコちゃん、お~よしよしよしよし。


 マコちゃんはイルカショーの予約チケットを取っていたらしく、腕時計を確認し、水族館楽しんでくださいねーと言って去って行ったわ。


 私達もイルカショーのチケット持っていたら一緒に見れたのだけれど……残念ね。


「そういえば、マコちゃんの服装可愛いかったわね~白いブラウスが似合ってたわ!」


「え、まあ似合って当然なの」


 目を逸らしながら腕組し、何か納得しているランちゃん。

 私が照れてる時にする癖が長髪を手で靡かせることだとしたら、ランちゃんの照れ動作はそっぷを向くことなんだよね。腕組してたら尚更よ!


 もしかしたら、あの白いブラウスはランちゃんのプレゼントだったりしてね~。


 そんな照れランちゃんを連れて、ナマコを見たりタカアシガニ見たりと楽しい時間を過ごし、お土産コーナーでチンアナゴのぬいぐるみを購入。


 疲れて寝てしまったランちゃんをおぶり、満足気分で帰る中、スマホに一通のメールが届いていたわ。


 私達は節約の為、ひとつのスマホを共有しているの。


 時間を確認しようとスマホを手に取り開く。

 共有スマホの画面に、ランちゃん用Googleメールからの着信文がバナーで表示さるわ。


 読むつもりは無かったんだけど、私の目に飛び込んだ文に思わず声に出して驚いてしまったわ。


「オンラインゲーム、グルメ・バトル・ロイヤル《Cookring》全国大会への招待状……?」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。