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純粋無垢を護らねば!〜リン×ラン×キッチンカー日常〜  作者: おりみみ


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第27話 水族館を護らねば!前編(リン視点)

「ランちゃん、とうとう来たわね!」


「来ちゃったなの」


 水族館!

 私達は休日、キッチンカーで遥々都会にある大きな水族館に来ているわ。


「よし、早速営業の準備に取り掛かるわよ!」


 ま、休日でも働くんだけどね。


「休みなのに休めないってどう言うことなの」


「ふふっまさか水族館の方から依頼があるとは思わなかったわ」


 そう、今回は水族館の方からの頼みで、ペンギンロードの前で営業することになったのよ。


 ペンギンロードとは、飼育場所とペンギンショーの会場を繋ぐ道のことで、ペンギン達が自らヨチヨチ歩いて移動するのが見どころね。


「ランちゃんもペンギン達と一緒にヨチヨチ歩いたら可愛いだろうな~」


「ヨチヨチしないなの」


 いつも通りの支度を終えた私達。

 でも今回は一味違うわよ。

 この前のキッチンカーフェスで試食コーナーに味をしめた私達は、人が多く集まる場所限定でゲリラ試食コーナーをすることにしたの。


 私はキッチンカーの奥底にしまってあった箱を取り出し、ペカ~~。


「ランちゃんっこのペンギン着ぐるみを着てちょうだい!」


 待ちに待ったペンギンランちゃん計画!


 いつかはランちゃんに着させたかったペンギン着ぐるみよ。


 着ぐるみと言っても、顔出しパネルとか、お遊戯会の木の役みたく、顔だけ出てる状態になる特別衣装。

 完全なるペンギン着ぐるみにならないのも逆に良しね。

 可愛いランちゃんの顔は皆みたいもの!


 さあさあ、サンタ衣装なり警察服なりコスプレ慣れして来たランちゃんにはステップアップしてもらいましょうね~。


「着る意味があるなの?」


 顔を曇らせ気味にそう聞いて来るわ。


「私が泣いて喜ぶわ」


「……もうもうなの」


 仕方なく着ぐるみに着替えるランちゃん。

 なんだかんだ私のお願いを聞いてくれるのは、ランちゃんの優しさね!


 私もお手伝いお手伝い~。

 チャックも後ろからキューと閉めてあげるわ。


 ペンギン着ぐるみになったランちゃんがこちらに振り返り。


「ヨ、ヨチヨチなの」


「キャーッ! 最高に可愛いわ!」


 スマホを掲げて、連写でパシャシャシャ撮る、撮る!


 この可愛さは国宝レベルよ!

 写真集として出したら国立国会図書館に寄贈してもらいましょう。


「恥ずかしいからもうやめるなの。結構枚数撮ったはずなの」


 ペンギン姿で恥ずかしがる要素もまた良いわね、、、パシャリ、と。


「ふぃ~まだまだ撮り足りないけど、試食お配りランちゃんもみたいから営業始めますか!」


 いちごとバナナの在庫は切れたから、試食コーナーは餡子春巻きをメイン。


 1/2にした餡子春巻きをお皿に乗せて、ランちゃんの傍にある折りたたみ式のテーブルの上にお皿を乗せるわ。


 着ぐるみランちゃんがお皿を持つと、着ぐるみの不安定さで落っことしちゃうかもしれないから、便利なセリフ式よ。


「着ぐるみでお客さんをお迎えするのは恥ずかしいなの。上手く話せるか心配なの」


「プラカードで喋る?」


「なんでプラカードなの。どこからプラカード持って来たなの」


 そんなこんなで営業を開始した私達。

 お客さんは餡子春巻きを試食してからいくつか購入、最後にランちゃんと記念撮影の流れで進んで行くわ。


 記念撮影は別に強制しゃないなのーと困り気味に言うランちゃんを他所に、お客さんは毎度毎度きっちり一枚は撮って行くわ。

 天使なランちゃんに思わず記念撮影したがるのも、とても共感よ!


 試食コーナーもキッチンカーフェスの時と同様好評だし、ペンギンランちゃんも人気だし、この調子でお昼は頑張っちゃうわよ!



 ◇



 営業開始から二時間。お客さんがピークのお昼頃を過ぎて三時になったわ。


「今日はこの辺で切り上げちゃいましょ!」


「やたーなの。もうヘトヘトなの……」


 ペンギン着ぐるみを脱ぐランちゃん。

 冬場でも着ぐるみは暑かったみたいで、珍しく汗を流しているわ。


「少し無理させちゃったかしら? ごめんねランちゃん、私のワガママに付き合ってもらっちゃって」


「まあ、ペンギンに成れたのも楽しかったし良きなの」


 白タイルで私にふきふきされるランちゃんは、満更でもない感じで笑顔を見せるわ。


 急に見せる表情もまた魅力的ね。

 少しドキッとしちゃった。滴る汗も相乗効果で大変よ!


 ───パシャ


「なんで写真撮るなの」


「なんとなくよ」


 スマホの容量がランちゃんの写真で埋まりきりそうね。

 この大量の写真からも写真集を作れば、ペンギン編と日常編で二部構成の完成よ。


 あ~でも私だけに見せるランちゃんの姿を、写真集にして出しちゃうのも勿体ない気がするわ。どうしよう。


「何一人で悶々としてるなの。少し水分取って休憩したら水族館にゴーなの。早く飲むなの」


 ジト目で私を見上げるランちゃんは、オレンジジュースを片手に押し付けて来るわ。

 待ちきれない様子もまた可愛いわ。


「またハートストローで一緒にどうかしら?」


「な……あれ毎回するのもどうかと思うなの。あの時は特別サービスなの」


 ちぇ、残念ね。

 チューと普通ストローで美味しくジュースを飲んでから、身支度を整えるわ。


「サメが居たら食べられちゃうかもね~」


「流石にそんな脅しは効かないなの……サメってちゃんと水槽の中で大人しくしてるなの?」


「どうかしらね~ランちゃん可愛いからサメも思わず舌なめずりしちゃったり」


 私のベストに軽くしがみつくランちゃん。へへ~ちょいと怯えるランちゃんも写真案件よ。今日は写真データの収穫祭ね!


 ちなみに今日着てるニットベストとオーバードレスシャツはランちゃんから貰った誕生日プレゼントよ。


「あ、サメの前にまずはペンギンショーね。開始時三十分前だから、いい席はまだ空いてるはず! さあランちゃん急いで席取りに行くわよ!」


「リン、走らなくてもペンギンは逃げないなの」


「席は逃げちゃうわ!」


「さっきまで悶々してた人がうるさくなっちゃったの。全く困ったリンなの」


 ランちゃんの手を引き早歩きで急ぐわ。

 待っててねペンギンちゃん達、ペンギンを超えし可愛さ、ランちゃんを連れて行くわよ!

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