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純粋無垢を護らねば!〜リン×ラン×キッチンカー日常〜  作者: おりみみ


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第24話 試食コーナーを護らねば!中編(リン視点)

 1/2にカットした試食用いちご春巻きを複数貰った関西ちゃんは、ありがとさんと言って遠く向かい側のキッチンカーに歩いて行ったわ。


 マコちゃんはそんな関西ちゃんについて行き、ミニクレープを貰って帰ってくる予定よ。


 クレープまだかな~早く関西クレープ見てみたいなあ~。


「リン、試食用のクレープ来ても食べちゃダメなの。なんかつまみ食いするように食べちゃいそうなの」


「ひとつくらいダメ?」


「ダメなの」


 ちぇ、食べちゃダメか~。

 私達も試食して美味しい→買いに行くってすればいいと思ったんだけど。


「千手観音も食べたいって言ってるわ」


「何でもかんでも仏像ねじ込むのはやめるなの、そろそろバチが当たってもおかしくないなの。諦めるなの」


 仕方ないから、クレープの代わりに生春巻きの皮をランちゃんみたくモグモグするわ。


 もちっとしてて美味しいわね。クレープの生地も美味しいだろうな……ジーーー。


「ジーってしてもどうしようもないなの。私もジー仕返しするなの」


 お互いにジーってしながら笑いあってると、遠くからマコちゃんが真っ白なお皿を手にしてやって来たわ。

 ミニクレープと大きなクレープを盛り付けたお皿を手にした関西ちゃんも、マコちゃんに張り付いているわね。


 あれ、あの綺麗になったお皿、私達の1/2春巻きのお皿だわ。


 急ぎで作って少量だったとはいえ無くなるの早いわね、ま、美味しいから無くなっちゃうのも必然だわ!

 もっと試食用も作るわよ!


「おかえりなさい~さあ、マコちゃん試食始め」


「「ごめんなさい!!!」」


「……え、どうしたの二人とも、顔あげて?」


 深々と頭を下げて謝るマコちゃんと関西ちゃんは、目に涙を浮かべながら必死に謝罪するわ。


「春巻きに目をキラキラさせるお巡りさん見てたら、ひとつくらいつまみ食いしてもええんちゃう? って言ってしまったんや」


「で、食べたら凄く美味しくて、関西さんにもひとつどうぞって謎配慮であげちゃったんですよ」


「オール春馬きーズに無かった試作の春巻きもめちゃウマで、その、手が止まんなくなってな? 気づいたらあとひとつになってしもうたんや」


「美味しさと勢いで、試食のことを完全に忘れてて……最後のひとつを食べるのはジャンケンで決めようって雰囲気でなっちゃって」


「我に返ったら皿が真っ白やったんや……ほんまにその……」


「「すみませんでしたあああ!!!」」


 クレープのお皿と真っ白お皿を差し出しながら、つむじが見えるくらいぐわっと頭を下げる二人。


 つまみ食いして全部平らげてしまったのね……私もさっきつまみ食いしようとしてた身だし、美味しく食べてくれたみたいだから責められないわ。


「全然良いのよ? また作れば大丈夫だし、頭下げる必要ないわ!」


「リンが許すなら私も許すなの。地面眺めても楽しくないなの、眺めるのはアリの行列だけにするなの」


 ありがどうございまず~と濁点混じりに泣きながら言う二人を、私達は頭を撫でておーよしよしーとするわ。


 昨日もこんな感じの展開あったわね。あ、二人してクゥーンと泣き止んだわ。


「あと、お詫びにミニじゃないクレープもって来たんや。これ良かったら二人で後で食べてな?」


 渡されたクレープはフルーツと生クリームがマシマシトッピングな豪華クレープよ!


 今すぐかぶりつきたいところだけど、お客さんもいることだしここはグッと我慢。

 ラップで包んで生地の乾燥を防ぎ、冷蔵庫に移しておくわ。


「よし、マコちゃんは試食コーナーにいるおばさん枠でミニクレープをお配りよ!」


 そう、都合よく来たマコちゃんを、試食お配り人に認定したのよ。

 もちろんお給料もあるわ。


 ラジャですと言うマコちゃんを真似して、ランちゃんも敬礼ポーズを取っているわ。


「じゃうちはこの辺で撤収や。後でお客さんの試食の反応伝えに来るから、楽しみにしといてや~!」


 新たに1/2カットしたお皿を大事に抱えて去る関西ちゃん。

 ランちゃんに、もう食べないでなのとしつこく言われたから大丈夫なはずよ。


 ぐぎゅ~。


 ミニクレープ見てたから、お腹の虫の音が止まらなくなっちゃったわ。


 この前のやり返しなの~ってランちゃんが私のお腹に耳を立ててるわ。

 こんなに恥ずかしい思いをランちゃんもしていたなんて……あ、また鳴っちゃうからランちゃん離れて!


 画板を持つようにクレープ皿を手元に抱えるマコちゃんが、私に悪魔の囁きを繰り出すわ。


「わたし達もつまみ食いしてしまったことですし、ここは共犯になってミニクレープつまみ食いしませんか?」


 ぐぎゅぅぅぅぅ~~~~~!!!


 お腹が鳴いて喜んでいるわ!


 ダメよ、いくらマコちゃん達みたく完食することはしないとしても、少しでも食べてしまえば罪は罪よ。


 大きなクレープも冷蔵庫で待っているのだし、お客さんの前で食べながらなんて、決してしてはいけないのよ!


「ランちゃんこの餡子クレープとても美味しいわよ!」


「抹茶味も中々なの」


 食欲に負けてしまったわ。

 ごめんなさいね関西ちゃん、私も頭を地面に向けて対話することになったみたい。


 ミニクレープの餡子に、丸ごと入った大きないちごがとても美味しいわ。

 甘酸っぱさと餡子のしとやかな甘み……いちご大福のクレープ版のようね。


「あーあーひとつだけって言ったのに二つ目のミニクレープ食べてるなのー、リンは悪い子なのー」


「マシュマロクッキークレープって聞いただけでつい……私って気が弱いのね。ランちゃん、気を張るためにお尻を叩いてちょうだい!」


「おらあなの! 悪い子にはおしおきなのー!」


 お尻をバシィと叩かれて、ひゃうっと身体を震わせるわ。疲れた腰にも少し効いたわね。

 十八歳で腰が痛いなんて先が思いやられるわ。


 ああごめんなさいお客さん、叩かれて変な声出ちゃったから心配そうな目を向けてくるわ。全然気にしなくていいのよ?


「あ、そうだ。お客さんにせっかく試食してもらうんだから、あーんして貰うサービスするのはどうかしら?」


「本気で言ってるなの? 純粋も程々にするなの、リンはもっと自分を大切にするなの」


「あーんするのはマコちゃんよ」


「え、わたしですか?」


 と驚くセリフなはずが、案外そこまで驚いていないマコちゃん。

 私達の会話ペースに追いついて来たようね!

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