第23話 試食コーナーを護らねば!前編(リン視点)
今日はキッチンカーフェス二日目!
後半もいちご春巻きは売れ行き絶好調、いちごを大量買いしておいて良かったわね。
「リン、皮くれなの」
隣でいちご春巻きを作るランちゃんに、春巻きの皮を口にもごっとつめてあげるわ。
皮が食べたいだなんて変わってるわね。
今回出してるいちご春巻きは、焼くタイプじゃなくて生で食べられる皮も用意していて、生春巻きの皮は名の通り生で食べれる画期的食材よ!
ランちゃんは春巻きの皮をモグモグしながら。
「食べたいじゃなくて、いちご春巻きに使う皮を欲しかっただけなの。あ、けど美味しかったから、お口用の皮をもう一枚欲しいなの」
ランちゃんの小さな口にあーんして、生春巻きの皮をモグられるわ。とっても笑顔に食べるランちゃんは可愛いわね。
よーし、ランちゃんチャージしたところで(腕まくり)
ポンポンポンポンポンッ。
私も次いでに生春巻きの皮をつまみながら、今日も今日とてお客さんとジャンケンよ!
ふふーん、昨日に続いて今日も連勝しまくりね。
昨日会ったライバル厨二病ちゃんに、お互いの戦歴を比べて戦いたいわ。
ポンポン兵器になった私の前に、顎に手を置いてどれにするか決めかねている女性のお客さんが一人。
「ん~このずんだ春巻きってのも気になるな~……ま、全部買えばええや。このオール春巻きーズを一つ」
オール春巻きーズ!
フェス看板メニューのいちご春巻き、同列人気のバナナ春巻きに加えて、餡子餅春巻き、ずんだ春巻き、チーズ春巻き、チョコアイス春巻きの豪華六種セットよ!
「オール春巻きーズを一つですね、さあお客さんっこの待ち時間にジャンケンポンよ!」
「ジャンケンするといちご春巻きが付いてくるなのー」
補足ランちゃんは春巻きイラストが描かれた袋にせっせとつめつめ。
腕まくりする私を鏡合わせに、お客さんも腕まくりして。
「ジャンケンの連勝が凄いとか聞いとったんや、私がその連勝止めたるで!」
覚悟を決めあった私達に、何十回目かの雷エフェクトが掛かるわ。
この感覚、何度味わってもゾクゾクしてたまらないわね。
ジャンケンを互いに構えた時、ふと関西弁ちゃんは手を待ての状態にして出して言うわ。
「あ、せっかく連勝にかかった大事な試合をするんや。握手してジャンケンしよ~」
「ふふっお客さんの握手会みたいでいいわね」
私はにへ~としながら握手を交わそうと右手を前に。
「ジャンケンポンッ!!!」
「……え?」
握手を交わそうとした手の前に、関西弁ちゃんのチョキの手が。
私……負けちゃった?
うそ~~。
「残念やったね~握手は握手でも《《悪手》》の方や。嘘は付いてないから文句無し! 有言実行達成や!」
私の連勝を止めて意気揚々なお客さん。
まんまとはめられたけどお見事ね……これが関西パワーなのかしら。
ジャンケンの勝敗に満足げなランちゃん。
オール春馬きーズの袋に、戦利品のいちご春巻きをひとつ入れたものをお客さんに渡しながら。
「関西、よくリンを分からせてくれたなの、褒めてやるなの」
「うちは関西やない、ちゃんとした名前が」
「ありがとうございましたなの関西」
「関西ちゃんまた今度リベンジジャンケンしましょ~」
お客さんはやれやれと大袈裟な動作をするわ。
反論ないし関西ちゃんで決定ね!
きっと心の中では喜んでいるに違いないわ!
横に避けてから、取り出したいちご春巻きをそのままパクリ。
「めちゃウマでええなこれ……せや、うちのキッチンカーの前で春巻き試食コーナー開いてみるのはどう?」
「キッチンカー……?」
「言ってなかったなあ~うちもこのフェスに参加してる営業側の人間や! 休憩がてらに視察という名の視察してたってことやね。あ、春巻き試食させる代わりに、こっちでうちのミニクレープ試食をさせて貰いたいんや」
なるほどー。
関西ちゃんのキッチンカーで春巻き試食、私達のキッチンカーでミニクレープ試食をしようという訳ね。
クレープ気になる!
お好み焼きとかたこ焼きとかじゃないのは驚きね、クレープの中に焼きそばでも入っているのかしら?
面白そうだしやってみようかな~。
「私達二人で忙しいのに試食コーナー開くのはキツいなの、他をあたって欲しいなの」
ランちゃんが並ぶお客さんに春巻きを渡してから、横で二個目の春巻き、ずんだ春巻きを完食した関西ちゃんにそう言うわ。
確かにこれ以上仕事が増えたらジャンケンしてる余裕が無くなっちゃうし困るわね。なんか試食コーナーをして貰えるような人居ないかなぁ。
人材募集を望む私達に、警察服を着た人物が列からふらり。
「お疲れ様ですリンさんランさん、休日なので食べに来ましたよ。あ、鮭川警視長に言われたとおりに警察服着てるんですね~私よりも似合ってて可愛いですよ」
いつでもひょっこりマコちゃんよ!
120%似合ってるマコちゃんに褒めて貰えると嬉しいわね。いやそれよりも。
私とランちゃんは、マコちゃんの両手を掴んで言うわ。
「「いいところに来たわ!」」
「なな、一体何ですか!?」




