第19話 誕生日プレゼントを護らねば!中編(ラン視点)
「ランさんどこ回りますか? わたしはこういったお店に疎い人間なので、ランさんの好きな場所とかどうですか?」
「片っ端から全部見て回るのが楽しいなの。お喋りしながら、気に入った服を手に取って試着して回るなの」
私の横でニコニコ歩くダサいマコ。
ファッションが終わってる人間と一緒に回るのは、正直恥ずかしいなの。
もしかして、リンよりマコの方が服を必要としてるなの?
私達は、30%セールの看板がドンと置いてあるお店に入るなの。
私はセールものには騙されないなの、よく知らないけど、買ったらきっと何かに騙されちゃうなの。
そんなセール品にホイホイ騙されるダサ警察官が一人。
「あ、このセール品のワンピースなんかどうでしょうか。へへっ(わたしには)似合わないですかね?」
「似合わないなの」
「そ、即答……」
リンは胸がボンだから、着ると太って見えるなの。
基本リンは上下が繋がってるタイプの服は全てワンピース理論で似合わないなの。
諦めるのが早いなの。
残念がるダサマコは、元にあった場所にワンピースをかけるなの。
やっぱりファッションセンスの毛も生えてないやつには、リンの服を選ばせるのは無理かもなの。試着係に任命するなの。
私は白いブラウスを手に取り、値札を確認してからマコに渡すなの。
二月はまだ寒いけど、春が近いから薄めで軽い服をチョイスなの。
「試着お願いするなの」
「へ~可愛いですね、着てみます!」
試着室に入って脱ぎ脱ぎ中のマコ。
待ってる間に次試着する服を探しておくなの。
あ、下着コーナーがあるなの。
リンの胸は今も成長期まっしぐらだし、ブラジャーもプレゼントにいいかもなの。
どうせまたパツパツになるから、予め大きめのサイズを選ぶなの。
あ、プールのスライダーでいつも水着ブラが取れるのってパツパツだからなの?
ピキーン、線と線が繋がったなの。
そんなことよりも。
……リンの胸のサイズはいくつなの?
知らなかったなの、胸をしっかり触ってから来れば良かったなの。
試着室のカーテンが空いて、マコが照れ顔でご登場なの。
ふん、リンには負けるけどマコも似合ってるなの。
モブっぽい感じがファッション雑誌の端っこに写ってる人とピッタリ一致なの。
「どうですかランさん」
「次これ着ろなの」
「……仕方ないですねもう」
なんだかんだ笑顔なマコは試着室に向かうなの。そんなマコの手を引くなの。
「ん、なんですか?」
「聞き忘れたなの、誕生日プレゼントでブラジャーも買うからサイズ教えろなの」
念の為聞いておくなの。
カップ数までは分からずとも、なんとなくは知ってるかもなの。
「い、言えませんよお!」
顔を真っ赤にしてそう言い退けるマコは、さっき私から受け取ったスウェットで寂しい胸部をお守りしてるなの。
……言えないって、なんか知ってるニュアンスなの。
マジ怖なの。いつどこで知ったなの。
「知ってるなの?」
「それはそうですよ、バッチリと……それにその、見ればわかるじゃないですか(寂しい胸部をさすりながら)」
ええ……見れば分かるってとんだ変態なの。
流石プールでぼっちで流されながらカルパスを食ってる化け物なだけあるなの。
ここまで来ると哀れで可哀想なの。
身長差的にも、毎日でかいのが視界に入ってる私でさえ分からないのに……犯罪予備軍なの。
あ、そういえば最近リンに胸ビンタされてないなの。
キッチンカー始めたばかりは、狭い空間に慣れてなくて、よくたわわな胸が事故って私の顔面に衝突してたなの。
あれは反発力があるから地味に危険だったなの。
「私は下着は足りてるので大丈夫ですよ。じゃ試着室で着替えて来ますので」
下着宣言してカーテン裏に消えてったなの。
マコの下着事情なんて聞いてないなの、どこ需要なの。
マコが試着室に入ってる間に会計済ませておくなの。
レジの人に現金を渡して完了なの。
服を買った時に入れられる白い紙袋、大きな買い物をしたって感じで満足するなの。
普段ケチケチな生活してるから、服にあまりお金を使いたくはないけど、リンの誕生日なら関係ないなの。
それにこれは……あ、時間が押してるなの、さっさとマコを連れ戻して次回るなの。
「どうですかランさ……あれ、ランさ~ん?」
「ここにいるなの」
「あ、いましたいました、どうですかラ」
「時間ないから脱いで戻してどんどん回るなの」
「ええ……」
とぼとぼ試着室に戻るマコ。
試着にも慣れていないポンコツマコは、脱ぐのが遅いから手伝ってやるなの。
試着室に突入したらアワアワうるさくて困ったさんなの。
アワってる暇があるなら試着しっぱなしのジーンズも脱ぐなの。
仕方ない、よ~いしょなの。
脱がせて探して大忙しなの。
マコはあれやこれやと試着しては脱いでで目が回っていたなの。
リンと一緒の時はこれの倍動くなの、早く地獄を見て慣れておいた方がいいなの。
結局下着はサイズが分からない以上買わない選択肢になったけど、リンに似合いそうなドレスシャツとベストのセットを購入出来たからオッケーなの。
時計の短針が五に近づいて来た頃。
「ふぅ、大変でしたぁ」
長椅子に座り込んで脱力するマコ。この体力の無さ、本当に警察官なの?
あの鮭おばさんもマコの面倒を見るのに大変そうなの。初めて鮭おばと共感したなの。
おばさんを頭に過ぎらせていたら。
「あれ、鰈崎とキッチンカーの小さい方じゃ~ん。お久~」
「うわぁ警視長、こんにちは」
噂をすれば、歓迎されない悲しき生命体の鮭おば参戦なの。うわぁなの。




