第18話 誕生日プレゼントを護らねば!前編(ラン視点)
「おかえりなさいませご主人様」
「はい、こちら"おかえりなさいませご主人様"なの~」
新発売したココアクッキー、チョコチップ、マショマロを加えた白黒シェイクを頼んだお客さん。
SNSにアップするのか、女の子二人でわきゃわきゃポーズしながらシェイクとツーショットしてるなの。
二人で一つのシェイクを食べる……仲睦まじいなの。
ストローが二本交差したハートストローを作ればよかったなの。
「ふぅ、午後三時半回ったし休憩しましょ?」
「するなの~」
今日のキッチンカー営業場所はショッピングモールの広場。
お昼時は人がたくさんわじゃっと居たけど、この時間帯になると人数が減るなの。夜に向けて体力を温存するなの。
ただ、今日私は用事があるから温存出来ないなの。
「リン、ちょっとお店寄ってくるなの」
「いいわね~じゃあ私も一緒に」
「ダメなの」
「……え?」
リンは連れて行けないなの。
とっても大事な用事があるからなの。
「私一人で行ってくるから、リンはゆっくりしてるなの」
「……そうね、ゆっくりしてるわね!」
私は手を振ってショッピングモールにすたこらさっさなの。
そう、今日はリンの誕生日、リンへの誕生日プレゼントを買いに行くからリンには内緒で行動しなくちゃいけないなの。
◇◇◇
プレゼント、中々決まらないなの。
リンとの生活の大半はキッチンカーの中と周辺な上、そもそもリンは何かを欲しがるタイプじゃないから余計になの。
寧ろ自分の身を削って他の人に幸せを分かち合う、アンパンマンみたいなやつなの。なんなら顔が濡れても顔をちぎりそうなの。
そんなアンパンウーマンが貰って嬉しいもの……泥団子をプレゼントしても満面の笑みで受け取りそうで困るなの。
泥団子を食べるフリをするオママゴトが始まっちゃうなの。
私はてくてく店内を徘徊しては長椅子で休憩し、またプレゼントを考えに歩くを繰り返してるなの。
ショッピングモールの一階は飲食店とデザート屋ばかりで、薬局と本屋くらいしか物系がないなの。
団子にクレープにたい焼き……普段キッチンカー営業の残り物を食べてる私達に、甘い食べ物はNGなの。
一階からじゃなくて二階から探せばと後悔しながら、エレベーターのボタンをポチッと押してお待ちするなの。
エレベーターはいつも不機嫌で、私が一階にいる時は二階より上で上下運動してるなの。早く降りろなの。
暇な待ち時間で、泥団子とたい焼きを交互に食べるリンを連想していたら、後ろから声をかけられたなの。
「あ、もしかしてランさんですか? 奇遇ですね~」
「……誰なの?」
「鰈崎マコですよ!」
野生のひょっこりカルパスかなの。
激レアバーションなの。
警察服着てないと、あっさりモブB顔すぎて背景に溶け込んじゃうなの。流石虚無の中の虚無なの。九割警察一割あっさりだからさっさと警察服になって欲しいところなの。
それにしても……
「服がクソダサなの」
「な……!?」
おばさん……というより、服に興味が無い中学生男子みたいな格好してるなの。
その上着の意味も無いようなスペルの羅列は何なの?
マコは少し気恥しそうに言うなの。
「いや~スカートって慣れないので、ズボンじゃないと」
「そんな次元じゃないなの、オシャレな人はズボンも着こなすなの」
あ、ランの誕生日プレゼントが決まってない今、こいつを連れ回してお手伝いしてもらうなの。
ご満悦で着いてくるに決まってるなの。
「マコ、誕生日プレゼントを探しに服屋に行くなの、着いてこいなの」
「えええ!? いいんですか!? やったあ! ありがとうございますランさん、へへえっ生きてて良かったですー」
え?
そこまで喜ぶことなの?
まあリンにプレゼントを一緒に渡せば、マコも頭とお腹をいいこいいこして貰えそうだし、ご褒美目当てかもしれないなの。
また犬になりたいんだなの。変態さんなの。
───私はこの時は知らなかったなの。
マコがリンと誕生日が同じということを!
自分自身の誕生日プレゼントを選んで貰えるとウキウキな勘違いマコと私は、エレベーターでチンして二階に到着。
服屋で誕生日プレゼント探しスタートなの。




