第14話 餅つき大会を護らねば!後編(リン視点)
私の好きなの発言を受けたミキちゃんは、顔がみるみる赤く染まり蒸気が立ち上る!
「わああああああああああ!!! そんな訳ないでしょうがあああああああああああ!!!」
「リン、直球は良くないなの。せめて変化球にするなの」
私の背中をポンと手を置くランちゃん。
なるほど変化球、ガッテン承知よ!
「好きなの? マコちゃん」
「言い換えても変化球にならないなの」
倒置法でもダメか~。
「わたしはミキさん好きですよ」
あっさり笑顔をミキちゃんに向ける無自覚マコちゃん。さり気ないそのセリフがなんともカッコイイわね!
「ぇぇえ!? へ、へぇそう、ああの、実はわたしも」
「私もミキちゃん大好きよ」
「ハハッー! もちろんボクも皆大好きさッ!」
私とモカちゃんが好きだよコールに参戦。
「へへっ良かったですねミキさん、皆ミキさんの事好きみたいですよ」
ため息をつくランちゃんと目に薄く涙を浮かべながらわーいと喜ぶミキちゃん。
泣くほど喜んでくれるなんて、今日は嬉しいことがいっぱいね。
「ウチも混ぜてー」
「おばさんは黙れなの」
マコちゃんと鮭川ちゃんはパトカーを駐車し私達のところに集合。
マコちゃんはぜんざいを渡して美味しそうに食べながら。
「このお餅皆で叩いて作ったんですよね、わたしもぺったんこしたいです」
「確かにマコちゃんのお腹は叩きがいがありそうね」
「何の話ですか?」
「マコ、腹を出すなの」
「え、ええ? これ何かの通過儀礼なんですか?」
真っ白なお腹を見せたマコちゃんに顔を赤くするミキちゃん。
私とランちゃんはそんなミキちゃんを、どうぞご自由にぺったんこしてくださいと言わんばかりに背中を押す。
「ええと、口に何も入れて無い?」
「お餅食べ終わりましたよ、え、それがどうしたんですか?」
よろしくお願いしますと礼儀正しく一礼。
握りこぶしを作ったミキちゃんが構えを取り。
「ふぅぅぅぅおらぁ!」
「フガッ!」
ミキちゃんの会心の一撃炸裂!
容赦ないわね、これが恋の力……!
「ミキちゃん、そこはぺったんこよ!」
「ぺったんこおおお!!」
「グフォァ!!」
「威力じゃなくて愛を込めるなの!」
「ぺぺぺったんこッ!!!」
「ゲハッ!!!」
愛のぺったんこが重かったのか、マコちゃんはお腹を抱えて悶えてるわ。
我に返ったミキちゃんは謝りながら大慌てでマコちゃんを起こす。
「ぺったんこしたくなる真っ白なお腹だったらつい」
「わたしのお腹はお餅じゃないですよ?」
「マコの腹は食べられるなの」
「お餅じゃないですって」
「いいんですか!?」
「良くないですよ!」
「お腹の撫で心地も最高よ!」
「あの件は忘れてください!」
少し赤くなったマコちゃんのお腹を、目を輝かせながら撫でるミキちゃん。
それを羨ましいと思ったのか、ぺったんこの光景を見ていたモカちゃんと鮭川ちゃんも撫で撫でタイムに突入。
私も参加しようかしら。
「ウチのお腹も」
「おばさんの腹触っても誰も喜ばないなの」
マコちゃんのお腹をつんつこしてたランちゃんは腕を捲って。
「マコ、ぺったんこするなの」
「もうわたしのお腹をイジメないでくださいよお」
「腹じゃなくて餅つきするなの」
鮭川ちゃんから杵を受け取ったマコちゃんは未だに撫で撫でするミキちゃんを引き連れて餅つき体制に入ったわ。
少し申し訳なさそうにしながら撫で撫でを払い除け、いざ餅つき開始よ!
「はい」
「ぺったんこ」
「なの」
「ぺったんこ」
「マコのお胸は」
「ぺったんこ」
プンスカ怒るマコちゃんから逃げ回るランちゃん、とても仲が良くて微笑ましいわね。
モジモジしながらミキちゃんがお願いの眼差しをマコちゃんに向ける。
「あの、お姉さんと餅つきしたいんだけど」
「ボクじゃ満足出来ないのかい」
「出来るわけないでしょ」
すかさず横から入る姉はあえなく撃沈。
「良いですよ、あとお姉さんじゃなくて、マコって呼んで大丈夫です」
「呼ぶ! マッママ……マコ」
「いいからさっさと餅つきするなの」
「ウチの名前は」
「知りたくもないなの、おばさんで十分なの」
マコ……と小さく呟きながら餅に手を添えるミキちゃんは、杵を構えたマコちゃんをジーッと見つめてるわ。
もはや乙女の塊、ファンサうちわで応援したいくらいよ。
「ミキーそんな警察姉ちゃんの顔見つめても何も出ないぞッ!」
「うッ、うるさいわね! あっさり顔が落ち着くだけよ!」
「……もうあっさりとか虚無とか言われても何も感じませんよ、うん……」
暇を持て余した鮭川ちゃんがマコちゃんの分のぜんざいに手を付け始めたわ。
後でまたマコちゃんの分持ってくれば、万事オッケーね。
私とランちゃんはぜんざいをもちもち食べながら、カップルの餅つきを今か今かと眺める。
「はい」
「ぺったんこ」
「あの」
「ぺったんこ」
「す、好きな食べ物は?」
「ぺっえ、カルパス」
「趣味とか」
「ぺ、カ、カルパス」
「好きなタイプは?」
「カルパ、ええ? 優しい人?」
「好きなお菓子は?」
「カルパ、カルパスッ!」
乙女の幸せな時間を壊さないよう、お客さん含む誰もがお見合いかとツッコミたい衝動を抑え見護っているわ。
「お見合いなの、マコのぼっちを護る為邪魔したいなの」
ランちゃんを除いて。
掛け声がカルパスになってきたマコちゃんはどこか嬉しそうね。餅にカルパスを加えたメニューを作ってみようかしら。
ちょっかいを出したいランちゃんはニヤつきながら横槍を投げ入る。
「マコのお胸はー」
「カルパスッ!」
「乳酸菌ー」
「カルピスッ!」
「鰈崎ーそろそろ仕事だぞー」
「嫌ですううう!!!」
鮭川ちゃんの仕事槍をくらったマコちゃんはとぼとぼと解散するわ。
なんだか可哀想ね……そうだ、出来たてのぜんざいトーストをマコちゃんに咥えさせ手を振って送ってあげましょ。
そう思って持ってきた一枚のトーストは、鮭川ちゃんがすかさずかぶりつき。
「運転するの鰈崎だからしゃーなし」
そう言い残し二人は仕事に出ていっちゃったわ。
……感想聞けなかったしぜんざいトーストも皆に配っちゃおうかな。
「リンこれとっても美味しいなの! 新しくメニューに加えるなのー!」
「ハッこれは美味ッ!」
「マコもトースト食べれば良かったのに」
「ふふっ後でマコちゃんに試食も兼ねて食べさせるわ、色々バリエーションを考えてあるの」
マコちゃんを除く皆でぜんざいトーストを美味しくぺろりした後、再び轟音を響かせる姉妹、そして私とランちゃんで餅つきぺったんこ。
二グループの勢いが凄いと何故か話題になってたわ。
そして餅つき大会後に新しくメニューに加わったぜんざいトースト(贅沢三昧ざむらい)は絶大な人気を得ることに。
この流れで三色団子も売り出すわよ!




