表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
8/10

花の幽霊

 とある日、樹玄は蜜秀の家に遊びに来ていた。


 預けてある小型人魚ベニーレの『ことぶき』にかまっている。


 無邪気なその人魚はきゃっきゃと笑っていて楽しそうだったが、突然何かを察知して樹玄の手の中から鉢に飛び戻り飛沫が散った。


 そこに現れたのは、泣いている女の子を連れて来た蜜秀の妻「茶瑠」だ。


 蜜秀は「その子、どうして泣いている?」と聞く。


「それが・・・相談があるって」


「ん?何であろう?」


「かわいそうだよーー!!」


 いきなり大声でそう言ってますます泣き始める女児に、面々は困惑した。


 樹玄が「どうして泣いているんだい?」と聞く。


「花のオバケが、可哀想なんだよーー!!」


「「花のオバケ・・・?」」


 樹玄が「霊?」とぼやくと、蜜秀が「分からん」と返す。


 茶瑠が「名前はスイカって言うらしいです」と女児を示すと女児がうなずいた。


「どんな字でスイカと言う?」


「水の花で水花だよ」


「意味は?」


「父様と母様が、わたしがお腹に来た日に同じ夢を見たの。水中花」


「ほう」


「水中花、って名前は響きが悪いから「スイカ」って名前になったよ」


「分かった、分かった・・・それで、何を相談したいんだい?」


「砂漠地帯があるでしょう?」


「ああ、あるな」


「そこの近くに住んでるんだけど、砂漠に花のオバケが出てくるんだよ」


「・・・うーん。オバケ?」


「そう。難しい言い方は知らないけど、幽霊みたいなの」


「花の?」


「そう。いっぱい」


「・・・うーん・・・可哀想なのは何故?」


「何て言って良いのか分からないよ」


「うんうん。いつ頃聞えるんだ?」


「時々、起きてるのに夢が見える」


「「白昼夢」」


「ん?」


「いい、いい。気にするな。樹玄、どう思う?」


「少し興味がある。花のオバケ。霊だろうか」


「見てみたい、と?」


「うんうん」


「・・・仕方ない。水花、今度、砂漠地帯を見に行くよ」


「退治しないで!!」


「ん?」


「護ってあげて!」


「うんうん。目の当たりにしたら、何か分かるかもしれんからな」


「・・・うん。お話聞いてくれてありがとう」


「うんうん。ベニーレを知っているか?」


「瓦版のやつ?いないと思う」


「ほれ」


 金魚鉢の中にいたベニーレを見つけて、水花は大喜び。

 ことぶきも水花を気に入ったようで、樹玄と親しく話を盛り上げた。


 家に帰ると言って靴を履いた水花は、砂漠地帯で何かあったら水花を呼んでと言った。


 分かったよ、と蜜秀が言うと、水花は少し明るい表情になって帰って行った。



 ――

 ――――・・・


 数日後、蜜秀と樹玄は砂漠地帯に来ていた。


 予想はしていたが、熱い。


 しばらく砂漠地帯の様子を見ていたが、特に何も見当たらない。


 仕方なく街に戻って店で食事をする。


 サソリ料理をおすすめされたが、断った。


 結局、辛く味付けされた豆スープと蒸し鶏野菜を食べた。


「これからどうする?」


「水花に会いに行ってみるか」


「それもそうだな」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ