子どもでしょ?
クリスマスに向けて。
遅くなりました(_ _)
「そういえばさ、そろそろクリスマスだな──」
昼休み。教室でご飯を食べていた明良が、平太に言った。
「そうだな……」
と平太もパンを食べながら考える。
「……プレゼントとか、したら喜ぶよな」
「そりゃ喜ぶだろうよ。何か買うのか?」
「うーん、何となくなら考えてるけど……お金がな──」
と平太は唸る。
辰は恐竜関係ので、薫は絵本。彩にはおもちゃのお化粧セットで、杏には人形かぬいぐるみ。
でも、それを買うとなるとそれなりの金額になるだろう。
「……でもさ、両親からもプレゼントとかもらうわけだろ? それで平太とのプレゼントと被ったらどうすんの?」
「あ……」
忘れてた。と平太はパンをかじる。
明良は弁当箱を片しながら、言った。
「やっぱり……そういうの考えたら、お菓子とかがいいんじゃないの? 金銭的にもさ」
「うーん……」
でも、形に残らないよなぁ──と最後の一口を食べて、袋を丸める。
「ま、納得するプレゼントでも贈れば」
「……ん──」
明良に言われて、余計に迷う平太だった──
*
放課後保育ルームに行くと、何やら楽しそうに子どもたちと初枝が話していた。
「こんにちは──」
「あ、平太くん。ちょっと来て」
と初枝が手招きする。
平太はリュックを背負ったまま、初枝たちのいるテーブルに向かう。
「はい?」
「今ね、サンタさんに手紙書いてるのよ──」
と初枝は便箋を平太に見せる。
子どもたちは熱心に言葉を紡いでいた。
「…………」
「どうかした?」
「あの、ちょっといいですか──?」
平太は初枝を連れ立ち、給湯室に入った。
「……あの、子どもたちにプレゼントあげたいんですけど……」
「どうして?」
「え? だって……クリスマスですし、プレゼントとか……」
あげるもんじゃないですか? と平太は初枝を見る。
初枝は少し考えたあと、口を開いた。
「あげなくていいんじゃないの? だって、平太くんはサンタさんじゃないもの──」
そうですけど……と平太は口ごもる。
喜ぶ顔、見たいじゃないですか──
「それに、平太くんはまだ子どもでしょ? 辰くんたちと楽しみに待ってるのが、本来の姿じゃない。だから、プレゼントなんていらないわ。皆とサンタさんの話でわくわくしてればいいの」
ね? と初枝は平太を見る。
それに、喜ばせるのは大人の仕事よ。と笑う。
「だから、クリスマスは平太くんも楽しみにしててね」
「……はい──」
と平太は小さく笑った。
それから初枝が先に戻り、平太は給湯室で一人考える。
「……子どもか──そりゃそうだ」
そして口に出して納得してから、平太も初枝たちがいる部屋に戻った。
部屋に戻ると、まだ子どもたちは手紙と向き合っていた。
「平太、みてみて!」
と平太に気づいた辰がきらきらと輝かせた目で、便箋を見せる。
「おう──」
と平太は便箋を受け取り、目をとおす。
そこには、サンタさんへのお礼が綴られていた。
「平太もかこう」
と薫が鉛筆と便箋を平太に差し出す。
平太は便箋を辰に返して、鉛筆と便箋を受け取る。
「サンタさん、うけとってくれるかな?」
「受け取ってくれるよ──杏はいい子だからな」
と子どもたちに紛れて、平太は杏に言う。
「あたしは?」
「彩も大丈夫だろ、きっと──」
そう言ってから、何を書こうかと鉛筆を回す。
「ぼくも?」
「ん? 当たり前だろ。いい子にサンタさんは来るんだからな」
と平太は薫に笑う。
すると辰が、はいはーい! と口を開く。
「じゃあじゃあ、おれは? くるよね!」
「辰は……どうだろうな〜」
と平太は首を傾げて言う。
「なんで?! みんなくるのに、おれにはこないの!?」
「いい子にしてれば、来るって言ったろ?」
「じゃあ、いいこになる! それでプレゼントもらう!」
と辰は散らかっていたゴミを集めて、ゴミ箱に捨てる。
平太はそれを見て、ぷぷっと噴き出す。
「よし! これで、サンタさんくるな!」
「っ……そうだな、来るな」
と笑いを堪えながら、平太は頷く。
「ほんとに、サンタさんくるといいなぁ……」
ふいに杏が、ぽそりと言った。
それを聞いて、辰たちもうんうん! と大きく頷く。
「来るだろ──なんだかんだ言っても、皆いい子だからな」
と平太が笑って言う。
それを聞いて、初枝が口を挟んだ。
「そうね──だから、平太くんにも来るわよ」
「え?」
『くるよ!』
と子どもたちも笑顔で言った。
「……はは、そっか──クリスマス、楽しみだな……」
『うん!』
少し恥ずかしそうに平太は笑って、子どもたちは嬉しそうに笑った。
初枝はそんな五人を見て、ふふっと微笑んだ──
明良「お前、サンタさん信じてんの?」
平太「…………(ノーコメント)」
休日投稿です。




