今度は皆で
久しぶりに司書さん投稿。
「図書室、行ってもいいかしら」
初枝が、子どもたちと本を読んでいた平太に声をかけた。
「はい、大丈夫ですよ」
「ぼくもいきたい!」
と薫がきらきらした目で平太を見る。
すると辰や彩、杏も、薫が行くなら……という目で平太に訴える。
「……俺たちも行きますよ」
と平太は子どもたちの視線を受けて初枝に言う。
すると子どもたちがひそひそと、やった! としょしついける! と喜び、それを見た初枝は笑って、
「じゃあ皆で行きましょうか」
と本を入れる袋を掲げて見せた。
子どもたちは笑って、わーい! と立ち上がり、初枝についていく。
すると薫が振り向いて、
「平太、はやく!」
と本を片している平太に向かって呼びかける。
平太は今行く、と言って薫に追いつくと、一緒に図書室に向かった──
*
「あ。こんにちは──」
司書さんが初枝と平太を見て、笑顔で挨拶する。
初枝と平太も笑顔で挨拶を交わした。
「こんにちは!」
「あ、こんにちは。また借りに来たのかな?」
と司書さんは少し屈んで薫を見た。
「うん! きょうは、みんなできたよ」
と薫は辰たちを見て、司書さんに言った。
「そっかそっか。大切に扱ってあげてね」
「うん!」
薫は辰たちを手招くと、そのまま絵本のコーナーに歩いていった。
「大丈夫かしら……ちょっと騒がしくなっちゃうかもしれないけど……」
と初枝が心配そうな顔で司書さんに言う。
司書さんは笑って、
「大丈夫ですよ。誰もいませんし、少しくらいなら騒がしくなっても」
と手をひらひら振る。
「そうですか? ならいいんですけど……」
「はい。大丈夫です」
「それじゃあ……本、借りますね」
「はい──」
初枝は司書さんに頭を下げて、本棚に向かった。
平太は返した本の題名に斜線をいれながら、司書さんに言う。
「本、全部返しましたよね」
「うん。返ってきてるよ。折れたりも汚れたりもしてないし、大切に扱ってくれたのが一目でわかったよ」
と司書さんは嬉しそうに笑った。
「そうですか」
「うん──あと、大変そうだね。今日は前回より多いんじゃない?」
と本を選んでいる子どもたちを見て司書さんは苦笑いする。
平太は子どもたちがテーブルに本を乗せていくのを見て、げっ──と声を発した。
「すいません、ちょっとその辺にしとけって言ってきます──」
と平太は子どもたちの所に向かった。
「ちょいちょい、そんなに借りんのか?」
『かりる!』
と子どもたちは頷いた。
「さすがに、多くね? 持って戻れないぞ?」
「ぼくがもつから、だいじょうぶ」
「おれももってくぞ!」
「あたしも!」
「わたしも!」
と薫を初めに、辰たちが平太を見上げて言う。
「いや、でも……」
「大丈夫でしょ。私もいるし」
と初枝が借りる本を手にしてやって来た。
「でも、結構ありますよ?」
「大丈夫よ。私と平太くんで、二袋ずつ持てば」
と初枝が腕を曲げて、ぐっと拳を作って見せる。
「いや……でも──」
梅田さんにそんな持たせられないだろ……と平太は悩む。
「いいよ──。僕も手伝うよ」
と司書さんがいつの間にか紙袋を持って来ていた。
「いいんですか?」
「いいよ。本だって、読まれたいに決まってる──」
と司書さんは紙に題名を書いていきながら、紙袋に詰めていく。
「それに、子どもたちにそんな嬉しそうな顔で見られたら、貸さないわけにはいかないだろ?」
と司書さんは苦笑いで言った。
「ははっ……ですね」
と平太と初枝も苦笑いする。
「おにいさん──!」
すると、薫が司書さんを見て口を開いた。
「ありがとう!」
「あぁ……いや、どういたしまして……」
少し照れながら、司書さんは笑った。
薫に続いて、辰たちも口々にお礼を言った。
「ありがとな!」
「ありがとう!」
「ありがとう、ございます!」
「あはは、いいよいいよ。照れるだろう……?」
と司書さんは頬をぽりぽりと掻く。
「……じゃ、保育ルームまで行こうか──」
司書さんが紙袋に本を詰め終えてから言った。
平太と司書さんが二つずつ紙袋を持ち、初枝は小さめの紙袋一つを持って、図書室を出た。
子どもたちはわいわいと先を歩いている。
「司書さん、すいません……。重いですよね……」
「ん? いやいや、軽い軽い──それに、また借りてくれて嬉しいんだよ」
と司書さんは笑う。
「また、借りにおいで。持ちきれなくなったら、こうやって運ぶの手伝うからさ」
「司書さん──」
良い人だなぁ……と平太は司書さんを見る。
「じゃあ、私の分も持ってもらおうかしら」
「「え……?」」
司書さんと平太の声が重なった。
初枝は笑って、
「冗談よ、冗談──」
と手を振った。
やっぱり、手伝うのどうしようかな……と司書さんは少しだけ思った──
明良「平太は本読むのか?」
平太「マンガなら……」
休日投稿ですが、諸事情により今月は出来ても一回、来月の第二週目からになります。第三週目からかもしれません……。




