秋の発見
秋ですね。
今日は外で遊んでいた。
初枝は何か準備があるというので、平太と子どもたちだけで校庭の隅に来ている。
「はっぱいっぱーい!」
と彩が言って、落ち葉を踏んできゃっきゃと遊ぶ。
辰も近くで葉っぱを踏みながら、どすーんどすーん、と怪獣のマネをして遊んでいた。
「すっかり秋だな──」
と平太は紅葉している木を見上げて言う。
すると、ワイシャツを引っ張られて平太は下に顔を向けた。
「おお、杏か。どうした?」
「これ。きれいなのみつけたよ──」
と両手に一枚ずつ、もみじとイチョウの葉を持って平太に見せた。
「ほんとだ。きれいだな」
「うん!」
と杏は嬉しそうに笑って頷く。
「平太ー、みて」
「お?」
声のする方を見ると、薫が人差し指にトンボを乗せていた。
「トンボじゃん。捕まえたのか?」
「ううん。て、のばしてたらとまった」
と薫は自分の人差し指に留まっているトンボを見る。
トンボも動く気がないらしく、大人しくしている。
「そっか──」
「平太お兄ちゃーん、きてー」
今度は彩が、少し離れた所で平太を呼んだ。
平太と杏、トンボが飛んでいった薫は、彩の所に向かった。
「何してるんだ?」
と平太が訊くと、彩はしゃがんだまま手招きしながら言う。
「スズムシさんの声がするよ。あと、コオロギさんがいる──」
どれどれ。と三人は彩の隣に並んでしゃがむ。
確かに、小さいながらもリンリンリンリン……と、継続的に音が聞こえてくる。
「ほんとだ。鳴いてるな」
「きれいだね」
「きれい──」
と三人は頷く。彩も目を閉じて音に聴き入っている。
すると、草陰からぴょこん、とコオロギが出てきた。
「「あ」」
平太と薫の声が重なって、その後、
「「いやあああっ──」」
という彩と杏の声が重なった。
そしてサッとその場から二人は逃げた。
薫は出てきたコオロギに、
「おどろかせてごめんね」
と謝る。
平太はそんな薫を見て、ぷぷっと小さく噴き出した──。
「あれ? 辰は?」
と平太が訊くと、三人が一斉に指をさした。
指差した先を見てみると、辰がトンボを追っていた。
「何やってんだー?」
「トンボお、つかまえる! まてー!」
平太が訊くと、辰は答えながら不規則な動きを見せるトンボを追っていた。
「やめとけよ、捕まえらんないから」
「つかまえるもんね!」
と辰は諦めずに追う。
トンボは追われているのに気づいているのかいないのか、意地悪な動きをして辰を翻弄した。
「あーっ、まてよお!」
「辰、諦めろって──」
少し離れた所で、平太が辰に言う。
さすがに疲れたのか、辰はしょんぼりしながら平太たちの所に戻ってきた。
「あいつ、にげあしはやい」
「あはは。逃げ足って──」
と平太は逃げるも何もないだろ。と笑った。
「皆ー、やきいも出来たわよー」
と初枝が保育ルームの窓から手を振って言った。
「やきいもー!」
とさっきしょんぼりしていた辰は、ぱあっと笑顔になって走っていく。
「準備って、やきいものことだったのか……」
と平太は呟いて、辰のわかりやすい変わりようを見て笑いつつ、
「よし、俺たちも行こう」
と薫と彩、杏の背中を押して軽く走り出す。
三人も頷くと、笑って保育ルームに向かって走り出した。
保育ルームに近づくと、ほんのりとやきいもの匂いがした──
明良「やきいもいいな」
秋乃「うまかったぞ!」
休日投稿です。




