表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
44/88

トリックオアトリート

平太、ちょっとだけ後悔。

ハロウィンでしたね。

 文化祭も一段落し、平太(へいた)たちも普段の授業に戻った。

 もちろん、保育ルームに行くことも変わらない──


『トリックオアトリート!』


 平太が保育ルームに入って、子どもたちの一言目がそれだった。


「……ハロウィンか──」


 すっかり忘れてた……というように平太は手を顔の前で合わせて、


「悪い、お菓子ない……」


 と言う。


「ないのー?」

「おかしー」


 と(たつ)(あや)が口を尖らせる。

 (あん)(かおる)も口には出さないが、若干残念な顔をしている。


「ごめんって──てか梅田(うめだ)さんは?」


 と平太は初枝(はつえ)がいないのを確認して訊く。


「ちょっと、しょくいんしついってくるって」

「わすれもの? とりにいった」


 と杏と薫が答える。


「そっか──じゃ、戻ってくるまで何する?」

「かぞくごっこ!」


 と彩が手を挙げる。


「ヒーローごっこだろ!」


 と辰も手を挙げて言う。


「きのうやったから、きょうはかぞくごっこって、やくそくしたでしょ」


 と彩が辰に向かって抗議する。


「でも〜……」

「しかたないよ、やくそくだもん。あしたヒーローごっこやろう?」


 と杏が辰に言う。


「……わかった。あした、ヒーローごっこやる」


 辰は頷いて、ニカッと笑った。


「じゃ、家族ごっこやるか──」


 そして平太の一言により、家族ごっこが始まった。


         *


 家族ごっこをやり始めて、数十分。

 初枝が、ビニール袋を持って保育ルームに戻ってきた。


「ごめんね〜、遅くなっちゃった──」


 と初枝は持っていたビニール袋を、テーブルに置いた。


「大丈夫ですけど──何ですかこれ」


 と平太が近づいて訊く。


「ほら、今日アレでしょ? だから──学校に来る前に買っておいたの」


 ふふっと笑って、初枝が言う。


「……アレ? ああ、ハロウィン」

「おかしー?」

「そうそう──そうよ」


 と平太と辰の質問に答えて、初枝は笑う。


「たべるー!」

「わたしもー」

「ぼくもー」


 と彩たちも近寄ってくる。


「じゃ、皆席着いてね」

『はーい!』

「俺手伝いますよ」

「ありがとう──」


 子どもたちは席に着き、初枝と平太はジュースやお菓子の準備を始めた。


「……はい、じゃあ皆。言うことわかるわよね?」


 と席に着いて初枝が五人を見渡す。


「いただきます!」

「そうだけど、ちょっと違うわね」


 と初枝が辰に言う。


「ありがとうございます」

「杏ちゃん。偉いけどそれじゃないわ」


 と初枝は笑顔で首を振る。

 すると、薫がわかったのか、ハッと初枝を見た。


「薫くんわかった?」

「うん!」


 と言いたそうに頷く。


「あっ! わかった!」


 と彩も笑って初枝を見る。

 そして、薫と彩はこそこそっと辰と杏に言うと、平太を見る。


「……どうした?」

「平太もいってね」


 と薫が言う。

 平太は納得して、わかった。と頷いた。


「……わかった? じゃ、言ったら食べましょうか」


 と初枝が微笑んで五人を見る。


『トリックオアトリート!』

「めしあがれ──」


 初枝の一言で、皆でお菓子を食べ始める。

 ふと気になって、平太は初枝に訊いた。


「今俺食べてますけど、よかったんですか? ハロウィンって、子どもたちがお菓子をもらいに回るんですよね」

「いいのいいの。私からしたら、平太くんだって子どもだもの」


 と初枝はジュースを一口飲んで笑う。


「それに……こうやって皆が喜んで食べてると、嬉しいでしょ──?」


 と初枝が子どもたちを見た。

 平太もつられて子どもたちを見ると、確かに喜んで食べていた。


「……そうですね」


 俺もお菓子忘れなきゃよかったな……と平太は少しだけ後悔するのだった──




平太「トリックオアトリート」

凌平「母さんに言えばもらえるぞ?(お菓子を見せる)」

平太「マジか!(驚)」


休日投稿です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ