ぶんかさい! 2
お久しぶりです。
お化け屋敷に入った平太たち。しかし、出てから少し歩くと、辰と杏がいなくなっていた──?!
また、初枝に新たな遭遇も──?
「どこだ──?」
平太は初枝に薫と彩を任せ、いなくなった辰と杏を探しに廊下を小走りしていた。
『周りをよく見て──』
「見てないのはどっちだよ……」
初枝の言っていた言葉を思いだし、平太はぐっと拳に力を込めるのだった──
*
「ほー。いっぱい人いんじゃん──」
平太が二人を探している頃、平太の兄、凌平は文化祭に来ていた。
大学が休みなので、覗きに来たのだった。
「平太どこにいんだろ──」
適当に歩いてれば見つかるか。と凌平は周りを見ながら歩く。
少し歩くと、平太のクラスを見つけた。
「お。伊川くん──どうも」
「あ、平太のお兄さん。どうしたんですか?」
と明良はお菓子を出しながら訊く。
「平太いる?」
「平太なら、今日は子どもたちと回るって言ってましたよ」
「そうか。ありがとう──ついでに、何か買おうかな」
と凌平はポケットからお財布を取り出して、お菓子をいくつか選ぶ。
「じゃ、これで──」
「ありがとうございます」
「平太、楽しめてるかね?」
お金を払いながら凌平は言う。
明良はお菓子を袋に入れながら、
「楽しんでますよ。きっと」
と答える。
「そうだな──」
と凌平は頷いて、袋を受け取り、頑張ってな。と一言残して歩き出した──
*
「……あれ? 平太お兄ちゃんたちは?」
杏が周りをきょろきょろと見渡して、辰に訊く。
「ん? あれ? いない……まいご?」
と辰もきょろきょろと周りを見渡す。
「ど、どうしよう……! 平太お兄ちゃんたちとはぐれちゃった……っ」
と杏が泣きそうな顔になる。
辰はそんな杏を見て、
「だいじょうぶ。がっこうのなかだぞ」
と言う。
「で、でも……っ──」
「だいじょうぶだって! 平太たちまいごでも、おれらがさがせばいいんだから」
と辰は胸を張る。
「辰くん……まいごなのは、わたしたちだよ?」
「ちげーよ。平太たちがまいごなんだよ! さがしてやらなきゃ、平太たちないちゃうぞ」
「……うん──」
杏は、ちがうんだけどなぁ……と思いながらも頷く。
「とりあえず、あるくぞ」
「うん……」
二人は周りを見ながら歩き出した──
*
「明良! 辰と杏見なかったか?」
「うお。どうした?」
とクラスに来て、焦っている平太を見て明良は訊く。
「……はぐれた」
「マジかよ──悪いけど見てない」
「そうか……見たらメールして──」
と行こうとする平太を、明良は呼び止める。
「平太、さっきお兄さん来たぞ」
「え?」
「もしかしたら、会ってるかもよ」
「そっか! サンキュ!」
平太は携帯を取り出しながら、また探し始めるのだった──
*
「ん?」
ふと凌平は、誰かに呼ばれた気がして振り返った。
もちろん、知らない人ばかりだ。
「気のせいか……」
「凌平!」
「は──?」
凌平はもう一度振り返って、よく見る。
すると、辰と杏が人を避けながらやってきた。
「あれ? 平太は?」
「はぐれちゃったの……」
と杏が答える。
「ちかうだろ! 平太たちが、はぐれちゃったんだよ」
「……ぷっ。とりあえず、はぐれたのね──」
と凌平は苦笑いする。
「じゃあ、一緒に探すか」
「ほんと?」
「ああ。きっと平太も探してるだろうし──」
すると、凌平の携帯が鳴った。
「ちょっと待ってな──もしもし?」
と携帯を取り出して耳にあてる。
『あ、兄ちゃん? あのさ、明良から聞いたんだけど──』
「はぐれたんだろ? 今二人といるよ」
『ホントに?! はあ〜……よかった……』
と平太は安堵したように息を吐いた。
「どこ行けばいい?」
『保育ルームで……』
「わかった。じゃ、後でな」
『うん──』
携帯をしまって、
「保育ルーム──戻れば、平太たちに会えるぞ」
と凌平は二人に言う。
二人はパアッと明るい顔になって、
「「もどる!」」
と言った。
「じゃ、行くか──」
凌平はそんな二人の後ろについて、保育ルームに向かった──
*
「いたー!」
「彩ちゃん!」
と辰と杏が、保育ルーム前に揃っている四人のもとに駆けていく。
凌平はその後ろから歩いていく。
「杏ちゃん! だいじょうぶだった?」
「うん! 凌平お兄ちゃんが、ついててくれたから」
と杏が笑顔で彩に言う。
「平太、はぐれちゃダメだろ!」
「はぐれたのは、辰だよ」
と平太に向かって言う辰に薫が言う。
「ちげーもん! ね、せんせー」
「うふふ……どうかしらね」
と初枝は笑ってごまかした。
「もっと、俺がちゃんとしとけば……」
「……ま、そういう時もあるわな。でも、いんじゃね? 泣いてなかったし──」
と凌平は笑顔で話している二人を見る。
「……けど……」
平太は腑に落ちないのか、複雑な顔をしていた。
「じゃあ、何か言うことあるんじゃねえの?」
「え……?」
「自分が悪いと思うなら、言うことは一つだろ」
と凌平は平太を見る。
平太はわかったのか、二人の所に行き、視線を合わせるようにしゃがんだ。
「……あのな」
「ごめんなさい──」
「え……?」
「はぐれちゃって、ごめんなさい……」
と杏が頭を下げる。
平太はそれが申し訳なくて、
「俺こそ悪かった……。ごめん──」
と頭を下げる。
すると、
「おあいこだな!」
と辰がニッと笑って平太を見る。
「……そうだな、おあいこだ」
と平太も笑った。
「……じゃ、気を取り直して行きますか」
『おー!』
「じゃ、俺も一緒に行くわ──」
と子どもたちが笑って、平太たちは歩いていく。
「あの……、梅田さんですか?」
歩き出そうとして、ふいに初枝は後ろから声をかけられた。
「はい……?」
「どうも、平太の母です」
と女性と父親であろう男性が頭を下げる。
「まあ。平太くんたちの──」
初枝も、どうも。と頭を下げる。
「あ、今平太くんたち行っちゃいましたけど……呼びましょうか」
「いいです、いいです。今ぐらいの歳の子は、あんまり親とかに来てもらいたくないと思うし、それも男子だから」
と母は苦笑いで手を振る。
「ただ、この前保育ルームの話を聞いたものですから……。大丈夫ですか? うちの子」
母は窺うように初枝を見る。
「大丈夫ですよ。とても助かってます」
微笑んで初枝は続ける。
「それに、凌平くんにも子どもたちが懐いてるみたいで──大丈夫ですよ。心配することは、何もないです」
「……そうですか。よかった──梅田さん、これからも、平太をよろしくしてやってください」
と今まで聞いていた父が頭を下げる。
「はい、こちらこそ。よろしくお願いしますね──」
と初枝は笑って二人を見た。
「はあ……。安心した。じゃあ、私たちはそろそろおいとまします。平太には、ここに来たことは内緒でお願いします」
と母は苦笑いして、口元に人差し指を持ってくると言った。
「はい、わかりました」
「それでは──」
母と父は、また頭を下げて歩いていった。
「ふふ。やっぱり親子ね」
凌平くんも前来たとき訊いてきたし──と初枝は思いながら、平太たちが歩いていった方向に歩き出すのだった──
初枝を見ての感想
母「優しそうな人だったわ(微笑み)」
父「そうだな──」
休日投稿です。




