表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
31/88

似合う似合う(笑)

彩のお話。

お化粧。

 次の日。

 今日は、(たつ)(あん)がいなくて、(あや)(かおる)がいる。


「……何か、不思議だ」


 と並んで本を読んでいる二人を見て、平太(へいた)は呟く。

 それもそのはず。彩と薫が、並んで本を読んでいることは滅多にないからだ。


「……つまんない」

「え? いま、いいとこだよ?」


 と薫は飽きてしまった彩に、困ったように言う。


「もうあきた。よまない」

「……そう」


 とシュンと薫は本を抱き寄せて、隣の部屋に行く。


「平太お兄ちゃんあそぼ」

「薫はいいのか?」

「うん。もういい──だってあれ、にかいめなんだもん」


 と彩がふぅ、と息を吐く。


「そうなの……」

「それより、おけしょうごっこ、いっしょにやってくれるんでしょ」

「え……?」


 と平太はいつぞやの約束を思い出す。


「あれだろ? 彩がお化粧してるのを見てるだけでいいんだろ。なら楽……」

「ちがうよ。いっしょに、やるんだよ──」


 と彩はおもちゃのお化粧箱を持ってきて見せる。


「ええっ!?」

「やくそくでしょ。はやくはやく」


 と平太を下に座らせる。


「いやいや、俺はいいよ──薫ー! 薫来ーい!」


 平太はとりあえず薫に助けを求める。

 薫は隣の部屋から出てきて、平太の隣に座った。


「なに?」

「薫は、俺が女になったら嫌だよな」


 と薫に訊く。

 薫はよくわからないのか、首を傾げる。


「じゃあ、薫もいっしょにやろ! あたしがかわいくしてあげる!」


 と彩がお化粧箱を開けて、セッティングを始める。


「えっ、待て、それ落ちるよな? 大丈夫だよな?」


 と平太は確認する。


「みずとかおゆで、あらいながせるよ」


 と彩が笑って親指を立てる。


「……う……わかった」


 断ることも出来たが、ここで断って約束破ったなどと言われるのもあれなので、平太は従うことにした……。


         *


「かんせーい!」


 数分後、彩が満足げに手を叩いた。

 平太とまきぞえになった薫は、鏡を見ている。


「うわぁ……スッゴく、ステキ……」


 と真っ赤な口紅と真っ赤な頬を見て、平太は苦笑いで言葉にする。


「…………」


 薫は言葉に出来ず、鏡を見つめていた。


「これでふたりも、リッパなレディーよ!」

「……そうね」


 と平太が相槌をうつ。


「……うん」


 と薫もとりあえず頷く。

 そこに、用事がありちょっと部屋を出ていた初枝(はつえ)が戻ってくる。


「ごめんね、ちょっと遅くなっちゃったわ」

「せんせー! みてみて! これあたしがやったの!」


 と彩が初枝を引っ張り、平太と薫を見せる。


「かわいくなったでしょ!」


 彩に言われて、初枝は二人を見る。


「ぷっ──に、似合ってるわ……」


 と初枝は口元を隠しながら言う。

 それでも肩を小刻みに震わせているので、笑いを堪えているのが見てとれる。


梅田(うめだ)さん笑ってるじゃないですか!」

「仕方ないわよ。似合ってるんだから──」


 となおも笑いを堪えている。


「いいですよ! 薫、流しに行くぞ」

「うん……ぷっ」

「お前も俺の顔見て笑ってんじゃねえよ。薫だって似たようなもんだからな──」


 と笑う薫を連れて、平太は流しに向かった。

 二人が流しに行っている間。初枝が彩に提案をした。


「二人が戻ってくるまでに、彩ちゃんも可愛くなってみる?」

「ほんと?!」

「うん。とっても可愛くしてあげる──」


         *


「すっきりしたー」

「うん」


 と平太と薫が戻ってくる。

 すると初枝が、笑顔で二人に言う。


「はいはい、二人とも。彩ちゃんが可愛くなりました──ほら、彩ちゃん」


 彩は少し恥ずかしそうに、初枝の後ろから出てくる。

 彩は、薄ピンクの口紅に、それと同じ色で頬を少し塗っていた。


「どう?」


 と初枝が微笑む。

 平太と薫は、彩を見てから言った。


「おお。似合ってるぞ」

「うん! かわいい」


 と二人が頷く。


「ふふ……ありがと」


 彩は嬉しそうに笑って、


「こんどは、杏ちゃんといっしょにしてもらいたいな」


 と初枝に向かって言う。


「もちろんよ。可愛い子がもっと可愛くなっちゃうわね」


 と初枝は笑って彩の頭を撫でた。

 彩はえへへへと笑って初枝を見上げるのだった──



次回、薫のお話。


お化粧されてる平太を見た。

明良「……そんな願望あったのか──」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ