てるてるぼうず
梅雨ですね。
てるてるぼうず作ります。
今日も雨。
最近雨が続いて、保育ルームも少しじめじめしている。
「あーめあーめ、ふーれふーれ、かーあさんが〜、じゃーのめで、おーむかえ、たーのしーいな〜。ぴっちぴっち、ちゃっぷちゃっぷ、ラン、ラン、ラン──」
辰が、窓の外を見ながら歌っている。
薫はその隣で、頭を左右に揺らしてリズムに乗っていた。
「最近、よく雨降るわよね」
「そうですね──」
テーブルに向かい合って座る初枝と平太は、窓の外を見ながら話す。
「洗濯物乾かないし……嫌ねぇ」
とため息混じりに初枝は呟く。
「ああ、母さんも言ってました。部屋干しになっちゃうわ……って」
平太は相槌を打つ。
相変わらず、辰は同じ歌を繰り返し歌っている。たまに薫も加わりながら。
「あめとめるおまじない、しってるよ!」
「わたしも……!」
と彩と杏が、平太の横に来て言った。
「てるてるぼうずのことかしら」
と初枝が首を傾げる。
「そう! てるてるぼうず! いっぱいつくって、あめさんにさよならする!」
「てるてるぼうずかぁ。懐かしいな──」
「平太お兄ちゃん、つくろ!」
「つくろ!」
「…………」
彩と杏のやる気に溢れた目を真に受けて、平太は断ることができなかった──
*
そして、てるてるぼうず作成が始まった。
「なにしてんのー」
と辰と薫がやってくる。
「てるてるぼうず、つくるの」
「てるてるぼうず?」
と辰が彩の言ったことに首を傾げる。
「あめさんを、さよならしてくれるんだよ」
「さよなら?」
と今度は薫が杏の言ったことに首を傾げる。
「そ。で、たいようさんをよんでくれるの」
「「へー」」
そんな四人のやりとりを見ながら、平太はティッシュとゴム、マジックペンを持ってくる。
「……よし。辰たちも作るか?」
「つくる!」
「うん!」
彩と杏の説明に、胸を打つものがあったのか、辰と薫もやる気に溢れた目をしていた。
「じゃ、作り方な──」
四人に見えるように、床に座って見せていく。
「まず、ティッシュを一枚。これは、最後に使うから、横に置いとく。で、ティッシュを二、三枚丸めて……。さっき置いといたティッシュの真ん中らへんに置いて、これを包むように──」
と丸く形を整えて、ゴムで結ぶ。
「……顔描いて──ほい。完成」
四人が、おー! と口を丸く開ける。
「ゴムはやってやるから、やってみ──」
四人は一斉に作り始めた。
「まるめて、まるめて」
「つつんで……」
彩と杏、薫は上手に作っていく。
だが、辰だけは少し苦戦していた。
細かい作業は苦手なのだろう。
「平太、ゴム」
「お。上手くできてんな──ほれ」
「ありがと」
と薫は笑って、マジックペンで顔を描く。
「あたしも!」
「わたしも!」
「はいはい──」
ゴムで結んで、彩と杏に渡す。
「かわいいのにするんだ!」
「うん!」
「そっか──」
彩と杏も顔を描く。
「平太ぁ、できないー」
と辰がじたばたする。
「できるよ。丁寧にやってみ」
「……ぶぅ──」
辰は頬を膨らましながら、作る。
「出来てんじゃん。ほれ。ゴム付けるから──」
「……うまい?」
「上手い上手い」
「ほんと?」
「ほんとほんと──じゃ、顔描いて完成だぞ」
「……うん//」
*
「よし。完璧──」
窓の縁に、五つのてるてるぼうずがぶら下がった。
「じゃ、私のも──」
と初枝もいつ作ったのか、てるてるぼうずをぶら下げた。
計六つのてるてるぼうずが、窓の縁に並んでいる。
「はれるかなー」
「はれるよ」
「うん!」
「ね!」
四人は並んで外を見ている。
平太は、晴れるな、きっと。と根拠もなく思った──
初枝「てるてるぼうず、てるぼうず、あーした天気にしておくれ~♪」
休日投稿です。




