晴れたので
遅くなりました(^^;)
四つ葉のクローバー。
「はれた!」
その日外は晴れていて、サッカー部も練習をしていた。
「はれたぞ! そといこ! そと!」
と辰が平太の腕を引っ張る。
そんな平太は、めんどくさそうに言う。
「外? 一人で行ってこい」
「やだやだ! みんなでいく!」
「じゃあ誘ってこいよ。皆行くって言ったら行ってやるよ」
と平太は賭けに出た。
薫は相変わらず本を読んでいるし、彩は鏡の前でポーズを決めている。杏は初枝とお喋り中だ。きっと皆行くとは言わないだろうと平太は思っていた。
「わかった! 薫──」
と辰は本を読んでいる薫の所にまず向かう。
「薫、薫」
「なに?」
「そと。そといこ! はれたぞ」
「なにするの?」
「うーん……いったらきめる!」
「……あつくない?」
「かぜふいてるから、だいじょうぶ!」
「じゃあいく──」
「やった!」
と薫のお誘い成功。
次は、彩の所に行く。
「彩──」
「なに? いまポーズのれんしゅうちゅう」
「それより、そと! そといこうぜ!」
「なんで?」
「はれたから!」
「ひやけしちゃうよ」
「せんせーがもってるから、だいじょうぶ」
「……わかった」
渋々、彩も承諾した。
あとは、杏と初枝だけだ。
「杏、せんせー」
「なに?」
「どうしたの? 辰くん」
「みんなで、そといこう!」
「みんなで?」
「そう! 薫も彩も。だから、あと杏とせんせーがいいっていったら、そといけるんだ」
と辰は意気込んで話す。
「はれてるし、かぜもふいてるし、はなだってみられるかもしれないし、明良にもあえるかもしれない! ね、おねがいします──」
あまりにも熱心に言うので、初枝と杏は小さく笑った。
「いいよ」
「じゃあ、日焼け止め塗らなきゃね」
「ありがとー!」
辰はにこにこしながら、平太のもとに戻る。
「平太平太!」
「おう。どうだったよ」
「みんないいって!」
「……マジで?」
「マジで!」
平太は少しの間後悔しながらも、約束は約束だ……と、重い腰を上げるのだった──
*
「ふう! そと!」
と辰はキャッキャと校庭を走り始める。
よく走るなぁ。と思いながら、平太はぼんやり歩く。
彩と杏は、初枝と一緒にいる。
「……ん?」
平太は、草の上にしゃがみ込んでいる薫を見つけた。
「何してんだ」
と隣にしゃがみ込む。
薫は、もそもそと手を動かしている。
「よつばのクローバー。さがしてる」
「ああ──」
と平太は頷く。
確かに、三つ葉に紛れてあるかもしれない。
だが、見つけるのは大変だ。だから見つけると、幸せになれると言われるのかもしれない──
「みつかるかな」
「どうだろうな」
「おかあさんと、おとうさんにみせたい」
「……」
無理じゃないか? と平太は言いかけたが、薫は真剣な眼差しで三つ葉とにらめっこしているので、口を閉じた。
代わりに、違う言葉を平太は言った。
「……もしかしたら、あるかもな」
「うお。がんばる──」
一瞬平太を見た薫の目に、輝きが宿った。
平太は、ちょっとだけ離れて手伝うことにした。
小さい頃、探したなぁ。見つけられなかったけど……と思いながら、平太は手を動かす。
周りから見れば、コンタクトレンズを落として探しているように見えるかもしれない──
「危ない──!!」
後ろから声がして、それと同時に平太の背中にボールがヒットした。
「ってえ!?!」
「悪い悪い」
と明良がやってくる。
「いやあ、先輩の蹴りが強くて」
「訊いてねえ……つ〜」
と背中をさする。
「悪い悪い。てか何してんの? そんなとこで」
「……四つ葉探し」
「…………子どもか」
「うるせえ//! 早く戻れよ。先輩に叱られんぞ」
「はいはい。ま、頑張って、平太くん」
「黙れ──//」
明良は笑いながら戻っていった。
少しすると、辰がやってきた。
「セミいねえ」
「もうちょい先だな」
「なにしてんの?」
「四つ葉探し。見つけると幸せになれるぞ」
「へえ! おれもやる──」
と平太の隣にしゃがみ込んで、探し始めた。
ふと薫を見ると、まだ探しているようだった。
「……見つかるか──?」
「平太くん。ちょっと先戻るわね。彩ちゃんと杏ちゃん、もう戻りたいって」
「そうですか……」
初枝がやってきて、平太に言った。
二人はもう、つまらなそうにしている。
「ええ──。辰くんどうする? 戻る?」
「んー……平太は?」
「あとちょっとだけ」
「じゃあおれも」
「わかった。じゃ、後でね──」
と初枝は歩いていった──
*
結構時間が経ち、辰もつまらなくなってきていた。
「もどろうぜー」
「……うーん」
どうしても、薫を見るとまだ戻りたくないと思ってしまう。
でも、そろそろ戻らないといけない。
「薫、戻るぞ」
「まだ、みつかってない──」
見つけるまで戻らないつもりらしい。
「平太あ、もどる〜」
「……薫」
「…………」
黙々と両手を動かしている。
きっと、汚れてるだろうな──
「薫、時間切れ──」
「……った──あった!」
と薫が勢いよく振り向いた。
右手には、四つ葉のクローバーが摘ままれていた。
やっぱり手は、汚れていた。
「よし。戻るぞ」
「うん!」
薫の目は、きらきらと輝いていた。
よっぽど嬉しかったのだろう。四つ葉のクローバーを顔の前に掲げて、にこにこと見つめていた。
平太はそんな薫見て、あの時見つけられていたら、自分もこんな顔をしただろうかと、少しだけ思った──
明良「見つけられた?」
平太「いや……」
明良「──ドンマイ(肩ぽん)」
平太「……」
休日投稿です(7月になります)。




