ひさしぶり
明良と子どもたちのお話です。
「今日は、部活ないんだ」
「へえ。じゃあ保育ルーム来るか?」
昼休み。教室で話をしていた平太と明良。
ひさしぶりに部活がない明良を、平太が誘う。
「じゃあ行こうかな」
「よし。決まりな──」
平太は、辰たち喜ぶな。と思いながら笑った。
*
「こんにちはー」
「こんにちは。平太くん」
「どうも」
「久しぶりね、明良くん──」
保育ルームに入ると、初枝はタオルをしまっていた。
「子どもたちいなくね?」
「違う違う。寝てんだよ。隣の部屋で」
と平太が先を歩く。
明良は平太の後をついていく。
初枝は、まあまあ。と笑顔で見送った。
「ほら」
「ほんとだ。気持ちよさそうに寝てんな」
「写真撮りたくなるだろ?」
「うーん……」
別に……と思ったが、明良は言うのをやめた。
平太が携帯を構えていたから。
そしてパシャパシャと無音で撮っていく。
「……」
「どうした?」
「いや、ぞっこんだなと思って」
「は? ないない──」
と言いつつ、まだ写真を撮る平太には、説得力というものは見てとれない。
「ふう。んじゃ、起きるまで待ってようぜ」
「おう──」
携帯をポケットにしまって、平太は戻る。
明良はチラッと子どもたちを見てから戻った。
「さて、課題やるか」
「終わんの?」
「大丈夫大丈夫──」
と平太はイスに座って、テーブルに課題を広げる。
明良も目の前に座って、周りを改めて見渡す。
前来たのはクッキーを届けに来た時で、よく見ていなかった。
テーブルはクッキーを食べた時のテーブルだ。
人形が入った箱とブロックが入った箱がロッカーに置いてある。その近くにタオルがしまってある。初枝がしまった物だ。
ロッカーの上に窓があり白いカーテンが掛かっている。その隙間から、校庭が見える。
隣の部屋は、布団が敷かれていて子どもたちが寝ている。本棚もあるらしい。
入ってきてすぐ横の奥は、給湯室みたいになっている。
するとそこから初枝が出てくる。
「明良くんは今日部活ないの?」
「はい。ないです」
「そう。平太くんは部活やらないの?」
「へ? あぁ、はい。特には……」
と答えながらシャーペンを動かす。
「今は、保育ルームの手伝いが部活、みたいな」
「まあ。嬉しいこと言ってくれるわね」
と初枝が微笑む。
明良は少し照れる平太を見て、満喫してるなぁと思った。
「子どもも、可愛いって思えるようになってきました──」
と平太は笑って言う。初めて辰たちと会った頃には考えられなかっただろう。
「ふぁ〜……」
「おはよー、ございます……」
「……ん?」
「……はえ?」
四人が隣の部屋から起きてくる。
皆目をこすって、ふらふら歩いてくる。
「二人とも、ちょっと私、呼ばれたから行ってくるわね」
「え? あ、はい──」
部屋の外に、初枝を呼んでいるらしい人がいた。
初枝は、じゃあよろしくね。と出て行った。
「明良、相手頼んだ」
「お前は?」
「課題終わったら加わる」
「……わかった──」
内心、マジか……と思いつつ、明良は席を立った。
「お。明良だ」
「明良だ」
「明良お兄ちゃんだ!」
「ひさしぶり……!」
「どうもどうも。久しぶり……」
えっと……と明良は考える。
「辰くん、薫くん、彩ちゃん、杏ちゃん……?」
「おう!」
「うん!」
「そうだよ!」
「はい……!」
あってたので、明良はホッと息を吐く。
「じゃあ、何する?」
「ヒーローごっこ!」
「ほん、よんで!」
「かぞくごっこ!」
「にんぎょう、あそび!」
わっと明良の周りに集まる。
「ちょ、ちょっと待って! 平太! ちょ──」
と助けを求めて見ると、課題をしまって寝ていた。
「っのやろ……!」
「平太、ねてる」
「おつかれ?」
「タオルかける?」
「しんでる?」
「いや、辰くん。それはないよ……」
ふと明良の頭に、小さないたずら心が生まれた。
「落書き、したくないか──?」
明良が不適な笑みを浮かべて言った……
*
「……よし。こんな感じだな」
「平太ブサイク〜」
「ぷぷっ//」
「おこられるよ……!?」
「ふっ//」
ヒソヒソ声に気づいて、平太は起きた。
「ん〜……よく寝た──」
五人は笑いを堪えながら平太を見つめる。
「ん?」
「平太、ブサイク」
「は? …………?!」
平太は何かに気づいたのか、鏡のある給湯室みたいな所に向かった。
そして、少ししてから平太の叫び声が響いた。
「落書きしたの誰だあああああ!!」
「ぶははははは──」
それを聞いて、明良大爆笑。
それにつられて、四人も笑い出す。
少しだけ、四人との距離が縮まった明良だった。
ちなみに、油性じゃ落ちないから、という明良のはからいで、水性のマジックで落書きしました──
また、休日投稿になります(_ _)/




