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凌平と来客者

今回は、凌平の話。

遅くなりました(_ _)

 それは、ある日の休日のことだった──


         *


 ──ピンポーン


 平太(へいた)の家のチャイムが鳴った。

 生憎、両親はお出掛け中。平太も出掛けている。

 そうなると、久しぶりにテレビを観てくつろいでいた兄の凌平(りょうへい)が出るしかない。

 仕方なく、テレビを消して重い腰を上げた──


「はい──?」


 インターホンに出て確認すると、初枝(はつえ)が映し出された。


「こんにちは。梅田(うめだ)です」

「……少々お待ちください」


 凌平は、梅田さんって誰だ? と頭で考えながら、玄関に向かった。


 外から初枝の声とは別に、違う声が聞こえてくる。


「……ん? はい──」


 ドアを開ける。

 目の前に初枝。

 下に視線を移すと、辰(たつ)たちが凌平を見上げていた。


「……」

「あら?」

「……え?」


 しばしの沈黙。

 辰たちは首を傾げる。


「平太じゃないぞ?」

「そっくりさん?」

「いえちがう?」

「まちがった?」


 凌平は初枝と四人を見比べて、思考を働かせる。

 ……平太の友達なのか? そう判断した凌平はニコリと笑って、中に促す。


「平太の兄の凌平です。弟がお世話になってます。まだ平太は出掛けているので、中に入って待っててください」

「あら、いいの?」

「はい。両親も出掛けてるんで──」


 と入ってもらって、ドアを閉める。


「平太んちだ!」

「辰、はしゃいじゃだめだよ」

「わかってるよ!」


 辰と薫(かおる)が話す。

 凌平は五人をリビングに通して、飲み物を取りに行った。


「……梅田さんは、麦茶でいいですか? それとも、コーヒーとか?」

「まあまあ。お気遣いありがとね。麦茶でお願い──」


 初枝がふんわり微笑む。


「はい──子どもたちは、オレンジでいいか?」


 と凌平が訊く。


「おう! おれオレンジでいいぞ!」

「おねがいします」

「うん!」

「うん……!」


 凌平はそれを聞いて、コップに麦茶とオレンジジュースを注いで、テーブルに持っていく。


「どうぞ──」

「ありがとう」


 初枝が一口飲む。

 凌平は子どもたちを見てから、小さなテーブルを出してジュースを置いた。

 これで取れるよな──


「あいよ」

『ありがとー!』

「お、おう。溢すなよ──」


 と前置きして、初枝の前に座る。


「突然ごめんなさいね」

「え? あ、大丈夫ですよ。全然。平太がいないのがあれですけど……」

「ごめんね。迷惑だったでしょう?」


 初枝は困った顔で麦茶を飲む。


「いやいや……」


 と凌平は手を振る。


「あ。そうそう──お菓子、この前平太くんが持ってきてくれたの。休んですいませんって。とても美味しかったわ」


 と初枝は笑う。

 凌平は、だからあの時電話してきたのか、と理解した。


「……あの、平太はどうですか? ちゃんとしてます?」

「してるわよ。保育ルームに毎日放課後来てくれるし、調理実習で作ったクッキーも持ってきてくれたり。とても助かってるの」

「そうですか……」


 凌平は子どもたちに目を向ける。

 四人は楽しそうに会話をしていた。


「皆、平太くんのことすごい好きなのよ? ね、皆──」


 初枝が四人に声をかけると、四人はパッと凌平を見る。


「……平太のこと、好きか?」

「平太?」


 辰が三人と顔を見合わせる。

 そして、皆でニコッと笑うと、


『平太だいすき!!』


 と答えた。


「ほらね」

「……そうですね──」


 凌平は少しだけ微笑んだ──


         *


「……ただいま──え?」


 帰って来た平太は、リビングに入って驚いた。

 テーブルで凌平と笑って話す初枝。

 その近くで、オレンジジュースを飲みながら話す四人。

 なぜいるのかわからず、平太は立ち尽くす。


「あ。お帰り平太──」


 凌平が手を軽く上げる。


「平太だあ!」

「平太ー」

「おかえりー!」

「おかえりなさい」


 と四人が平太に集まる。


「え? なんでいんの? 兄ちゃん──?」

「ごめんね、平太くん。子どもたちが来たいって言ったから……」


 と代わりに初枝が答える。


「あいにきてやった!」


 と辰が笑う。


「はは──てか兄ちゃん、何で電話とかしてくれないんだよ!」

「いや、梅田さんと話してたし?」

「……はぁ──」


 平太は、してくれたら早く帰って来たのに……と呟く。


「そろそろおいとましなきゃね。それじゃあ凌平くん、ありがとね」

「いえ。気をつけて」

「皆も行くわよ」

『はーい』

「近くまで見送ってくる──」

「ああ」


 平太は四人をまとめながら、出ていった。

 凌平は、少しだけ笑いながらコップを片し始めた──


         *


「ただいま……」

「帰りー」

「疲れた……」

「よかったな、皆に好かれてて──」


 と凌平はコーヒーを飲みながら平太を見る。


「……まぁ//」

「てか、保育ルームの手伝いしてんだな」

「え……? 言わなかったっけ?」

「聞いてないけど──?」

「……お手伝いしてます」

「今かよ……楽しいか?」

「もち──!」


 平太はニコリと笑った。

 そんな平太を見て、凌平はまあいいかとコーヒーを飲み干すのだった──



彩と杏の出番が少なかったかもしれません。

投稿は休日になります(_ _)

お知らせまで。

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