平太の忘れ物
遅くなりました(_ _)
今回は、四人が平太の忘れ物を届けに行きます。
「あら……平太くん、携帯忘れちゃったみたい──」
朝、いつもなら放課後しか来ない平太が、珍しく保育ルームに来ていたのだ。
そして、戻るときに携帯をテーブルに置きっぱなしで行ってしまった。
「どうしましょう……」
初枝が困ったわねえ、と頬に手を当てる。
そこに、四人が集まってくる。
「せんせーどうしたの?」
「なやみごと?」
「つかれてるの?」
「げんきない?」
「ううん。違うの。平太くんがね、携帯忘れてっちゃったみたいなの」
すると辰が、初枝に訊く。
「平太こまる?」
「そうねぇ。困ってるかもしれないわね」
「じゃあ、平太にとどける!」
「ぼくも」
「あたしも!」
「わたしも」
薫と彩、杏も初枝を見上げて言う。
初枝は少し考えてから笑って、
「そうね。そうしましょう。でも、もう授業始まっちゃうから、お昼食べてからね──」
と提案した。
四人はパアッと笑顔になって、うん! と頷いた──
*
その頃の平太は、明良と話していた。
「この前、梅田さんに電話番号渡してもらったろ?」
「ああ。それで?」
「それで、それからアドレスもあった方がいいってなって、アドレスも交換したんだよ」
「へぇ──メール来た?」
と明良がからかうように笑う。
「ああ、きたきた。辰たちの寝顔の写真と、可愛いわね。っていう本文と一緒に」
「マジで?!」
「見せてやるよ──ん?」
鞄をガサガサと漁る。が、保育ルームに忘れているので、入っていない。
「あ……忘れた」
「保育ルーム?」
「たぶん……くそ〜、寝顔見せたかったのに──」
それを聞いて、明良は好きだなぁ、子ども。と思うのだった──
*
そして、昼休み。
初枝が、平太の携帯を小さなバックに入れて、辰に渡す。
「はい。気を付けて行くのよ」
「うん。だいじょうぶ」
「皆もね」
「うん」
「はい」
「はい」
初枝は四人を見渡して、うん。と頷く。
「平太くんのクラスは、二階の上がって三番目。わかった?」
「にかいの」
「あがって」
「さんばんめ!」
「わかった!」
「うふふ。いい返事ね。じゃあ、行ってらっしゃい──」
行ってきます! と四人は意気込んで保育ルームを出発した──
*
「にかい」
「さんばんめ」
辰と薫が前を歩き、後ろに彩と杏が続く。
「とどけたら、ほめてくれるかな?」
「ほめてくれるよ。平太は、たんじゅんだもん」
「たんじゅん?」
薫が言った言葉に辰が聞き返す。
「そ。いいことしたら、ほめてくれるし、わるいことしたら、おこられる」
「そうなのか──」
「平太はそんなやつだ」
と薫は一人頷く。
「そんなとこが、平太お兄ちゃんのいいとこだよ。ね、杏ちゃん」
「うん! あとやさしい」
彩と杏が笑って言う。
「でもくちわるいぞ?」
「それは、辰がいつもわるいことするから」
「薫はいつも平太のミカタするんだもんな」
「そんなこと……!」
と薫はうろたえる。
そうこうするうちに、階段前にたどり着いた。
「のぼる?」
「にかいに平太お兄ちゃんいるもん! がんばろ!」
彩の一声で皆で並んで、一歩ずつ登っていく。
半分登ると、踊場。
そこに、三人の男子がたむろしていた。
「授業たりー」
「サボっちゃおっかな〜」
「単位足りなくなったらどうすんだよ──お?」
ふと、一人の男子が四人に気づいた。
「子どもいるんだけど」
「は? ホントだ。ちっちぇー」
「あ。保育ルームあるって言ってたしな。どうした? 保育ルームは上にはないぞ」
「た、たのまれた!」
「にかい」
「さんばんめ」
「けいたい……!」
四人が口々に言う。
「二階の三番目? 携帯?」
「あ。届けに来たの?」
「そう! 平太!」
と辰が言う。
「平太? 知ってるか?」
「わかんね」
「オレも」
「俺もわかんねえ……ごめんな。とりあえず、上がって右に行けばクラスあるから──」
四人は頷いて、歩いていく。が、杏が気づいて、
「待って──」
と辰たちを呼び止めた。
「せんせーにいつもいわれてること、いわないと……! よくしてくれたら、って」
「あ。わかった。おれー、だな!」
「おれい、だよ」
「とりあえず、まえいこう──」
彩が言って、四人は男子たちの前に行く。
男子たちは何だ? と四人に顔を向けた。
「おしえてくれて──」
『ありがとう』
ぺこりと頭を下げて、お礼を言う。
男子たちは小さい子にお礼を言われて、少しこそばゆくなる。
「いいよ別に//」
「早く届けてやれよ//」
「待ってるだろうし//」
男子たちは顔をそらしながら、この子ら可愛い! と内心思った。
そして四人はさようならをして、階段を上がった──
*
「さんばんめ……」
「いっこ……」
「にこ……」
「さんこ──」
開いているドアから中を覗き込むと、席に座っている平太を見つけた。
「平太!」
「え……?」
平太はドアに目を向けた。
そこに、四人が立っていて、平太は驚く。
「は? なんで──」
「平太ー!」
「平太!」
「平太お兄ちゃん!」
「けいたい、もってきたよ……!」
四人がわっと平太の席に駆け寄る。
「えらい? おれえらい?」
「平太こまるから、みんなで、きた」
「うれしい?」
「これでだいじょうぶ?」
平太は携帯を受け取り、四人を見る。
皆にこにこ笑っている。
「……ありがとな//! 辰、薫、彩に杏。助かったよ!」
「つぎは、わすれんなよ!」
「忘れねえよ」
「わすれたら、ぼくがとどけるから……//わすれても、いいぞ」
「相変わらず薫は薫だな」
「えらいでしょ?」
「ああ、えらいえらい」
「平太お兄ちゃん、べんきょうがんばってね……!」
「ぅ……おぉ──」
ちなみに、届けられた携帯で写真を撮り、それを待ち受け画面にしようとしたのは、平太だけの秘密──
この子好き!とかあったら、教えてくださると嬉しいです(^^)




