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第10話 2人のパーティメンバー

==========

<パーティマッチングが完了しました!>


≪キョウスケ≫     主専攻:【錬金魔術】

≪ひさきちゃんねる≫  主専攻:【流動魔術】

≪アストレア≫     主専攻:【物質魔術】

≪ツキト≫       主専攻:【数学魔術】


集合地点:

第2層≪始まりの平原≫北西部 イーシュ村

===========


「物質魔術師来たな!」


「このアストレアって子誘うのをメインプランでいくよっ!」


「オッケー! これ、イーシュ村には徒歩でいくのか?」


「このゲームは各層、村とか都市とかにワープポータルがあるのが基本なの! 2層に上がったらとりあえずどこかの村に着けば、イーシュ村にいける!」


「なるほどな」


 マップが広すぎると思ったが、そんなカラクリがあったとは。


 それから俺と火咲は急いで学生寮を出て、近くの2層に向かう昇降機に乗った。


 2層についた俺たちは、だだっ広い平原を見つめながら、移動プランを決めた。


「移動は、これを使うよ!【契約:ホースカー】」


 火咲はいつの間にか、≪ホースカー≫なる馬にサイドカーが左右にくっついたような便利そうな魔物をテイムしていたらしい。


「どこにいるんだ、こんな魔物?」


「1層のテイム教習所でイベントをクリアすると貰えるんだ! 契約魔術のキャンパスにあるから、さっき取りにいってた」


 どうやら俺が気絶している間にも火咲は着々とゲームを進めていたようだ。


「これだけマップが広いゲームだし、移動手段は充実してて当然か」


 流動魔術でサーフィンするのは、おそらく魔力効率が悪い部類に入るんだろうな。ベルの魔力25という充実した資源に甘えてしまったようだ。


「さっさと乗っちゃって! 出発するよ!」


 それから俺たちは平原を快適に移動し、村の一つに到着する。


 中世ヨーロッパ風ファンタジー世界を具現化したような村の光景に見惚れる暇もなく、村の中央のワープポータルまでそのままホースカーで突っ込む。


 村の中央にはたくさんのワープポータルが置かれていて、そのうちイーシュ村行きと案内されているポータルに乗った俺たちは、無事目的地に到着した。


「さて、パーティメンバーはマップに映るはずだから、合流しよっか」


「オッケー」


 マップを見ると、メンバー2人はすでに村の外で合流して待機しているようだ。


「そうそう、このゲーム、固有スキルはあまり明かさない文化が基本だから、よろしくね」


「まあ、【魅了】なんて言って引かれても支障が出るし、ちょうどいいな」


 イーシュ村の中をホースカーで突っ切った俺たちは、無事パーティメンバーらしき2人組を見つける。


「キミの占い通り、2人で来たみたいだよ、ツキト」


「だね」


 どうやら待っている間に軽く2人は会話していたようで、それなりに打ち解けていたらしい。


 俺と火咲は ≪ホースカー≫を降りて、そのまま2人のもとへと挨拶する。


「≪ひさきちゃんねる≫です! 日本人で、専攻は、流動、契約、式理! よろしくお願いするねっ!」


 陽キャらしさを遺憾なく発揮して堂々と挨拶した火咲に遅れて、俺も名乗っていく。


「≪キョウスケ≫だ。日本人で、主専攻は錬金魔術、副専攻が生命魔術と妖精魔術。よろしく頼む」


 俺たちの視線は、まず明らかに外国人といった容貌をした、物質魔術師のアストレアに向かった。ちなみにこのアストレア、武器として槍を装備している。初日なのに準備がいい。


「わお、丁寧にどうも。≪アストレア≫だよ。アメリカ人で、専攻は、物質、生命、流動。よろしくね。しかし、3人とも日本人とはびっくりだね~」


 自動翻訳が、金髪青眼の少女の言葉をスムーズに変換し、少女の声で日本語を伝えてくる。


「≪ツキト≫です。日本人で、専攻は、数学、卜占、物質。固有スキルはレアスキル【一人芝居】。よろしく。≪ひさきちゃんねる≫ちゃんは、配信者かな?」


「うん、今は配信切ってるけどね~。そうそう、固有スキルはあんまり言わない文化みたいだよ」


「そうなんだ。まあ困るスキルでもないから、いいんだけどね」


 一応、このツキトも物質魔術を副専攻で選んでいるようだ。とはいえ、あの掲示板の書き込みを見る限り、数学と卜占という残り2つのチョイスは最弱に近い可能性がある。錬金を主専攻にしている俺も人のことは言えないが、あまり戦力としては期待できないかもしれない。ということで、強そうな魔術系統のアストレアをいったんパーティに誘う本筋とするのがいいだろう。

 アメリカ人とはいえ言葉は通じるわけだし、雰囲気も気さくそうな感じだ。比較的誘いやすい方と言える。


 ひとまず挨拶も済み、俺たちは早速本題に入る事にする。


「これからベビーグリフォンを狩るわけだけど、基本戦術はどうしよっか?」


 火咲がそんな問いを投げかけると、アストレアが堂々と作戦を述べ始める。


「専攻を見た感じ、火力になりそうなのは物質魔術を覚えているわたしと≪ツキト≫だと思う。≪ひさきちゃんねる≫はどれも支援が得意そうな系統だし、≪キョウスケ≫は……まあ生命魔術でバフしてもらう感じかな? 合ってる?」


「大体合ってるけど、わたしも火力は結構出せると思う! そういうビルドを組んであるんだ!」


「俺は≪ベルフェアリーガール≫をテイムしてるから、流動魔術と卜占魔術、妖精魔術がテイムモンスターから使える。支援はできる気がする」


「なるほどね。モンスターの名前からして空を飛びそうだから、【流動空気】が使えるのが2人いるのは助かりそうだね」


「さっき【卜占未来】で占ったんだけど、ベビーグリフォンはここから北に300メートル進んだ地点で会えるみたいだ」


「いいね。早速向かおうか」


 実際にこうしてクエストに挑んでみると、思った以上にこのゲームの多彩な魔術が考え抜かれていることに気付かされる。


 初級研究実習で見かけた時にはネタにも思えた【卜占魔術】も、立派に役割を果たしている。数学魔術が何に使えるのかはあまり分からないが、≪ツキト≫もそこそこ有能そうな雰囲気だし、全体として、順調にいきそうな雰囲気を感じる。

 このクエストはきっとうまくいくだろう――


 ちなみにこの予想は、このあと完膚無きまでに外れることになるのだが、この時の俺たちには知る由もなかった――

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