無人の一言2
実体のない不安感と蒸し暑さの
私には3歳と1歳の子供がいる。男の子と女の子である。どちらも玉のように生まれて健やかに育っている。小さなころ外に出ることのできなかった私に比べればずっと丈夫に育ってくれている。休みがあれば子供と遊び、家族と買い物に出かけ、こどもに食事をさせたり、お風呂に入れたり、寝かせたりすることもする。
嫁とはここのところ揉めるようになった。下の娘が生まれた時からぶくぶく太り厚かましくなった。子育ては大変なのだろうが、適当な仕事で保育園に預けて定時で帰ることができるのだから、どこがつらいのだろうか――。平日は私一人で子供の世話を全部見ている。などと言われて、私が何もしていないことを強調したがるが、休日に子供と遊び、買い物に行き、食事もさせて、お風呂にも入れ、寝るまでの世話をすることもある。それだけでは不十分であるというのだろうか、それではまるで一人ですべてこの家を切り盛りしなければいけないということだろうか? 子育てと仕事を両立して世の中まともに人世帯を運用できるのだろうか? 私に死ねということなのだろうか?
そういった怒りで我を忘れたといえば本当のことだ。けれどもそこに自覚症状があるように、怒りで我を忘れたと自分に言い訳をして、彼女らに答えるつもりになったというほうが正しい。
けれども――。
「ご連絡ありがとうございます。わたしとこれから大人の関係を続けていただける方を探していました☆」
などという誘いに乗って、駅前のカラオケ店の前で小一時間待っている。真夏のムッとする風を浴びながら、胸あたりにジワリとにじむ嫌な汗が服に浸み込んでペタリと肌に張り付く感覚が、いらだちとは逆に表に現れているどうでもいいといった感情を余計に嫌なものにしていた。
けだるくていらだちも悪態も浮かばず、これはただそういうものかと自ら勝手に納得するだけのことだ。




