無人の一言
自暴自棄になっていた。金はたくさんあった。けれどいろんなものを失くした気がしていた
大都会の一駅で、私はいらだっていた。
疲れていた。仕事をしていていいことなど一つもない。金が欲しいからするだけである。
しかし今日の目的もそれと同じである。私は楽になりたい。彼女は金が欲しいから頑張るのである。金が欲しいのは私ではない。彼女である。
スマートフォンを開けば彼女の言葉が連なっている。
「まずは2~3万円が欲しいのですが。よろしければメールします」
何分犯罪めいた言葉だ。世の中そうクリーンではない。
結局のところ、ばれなければなんでもありを合言葉に、有象無象がこの大都会にはびこっている。金の流れにはびこる蠅か蛆か――。私もそのひとりである。
数週間前、私は某サイトに私自身のことを書き込んでいた。少し脚色を加えて――。
HNを三毛猫とした。私の小さい時の渾名である。
年齢と性別はうそをつかないことにする。――出身もだ。
職業は会社員――。
煙草は吸う質である。しかしプライベートでは吸わない――。
飲酒はたしなむ程度とする。たしなみ方は人それぞれだが――。
暇な時間? 深夜、いつも退屈で仕方ない。
出会うまでのプロセス? 不思議と思うがこのサイトはそういうサイトである。いずれにしても連絡がとりあえればそこでうまく話をつければいい話である。
利用目的はもちろん――、恋人探しである。
誰ともわからない人相手に私は夢を見る。




