窓の先の風景
倉庫な西側にあるその食堂は食堂と呼ばれているが、厨房はなく、あるのは自販機と長机と椅子である。その事務的なデザインに似合わずにあるのは食品系の自販機くらいで、中身は菓子パンやらスナック菓子程度である。
倉庫には複数の企業が利用しているが、彼とは別のパートで雇われているのは女性ばかりで、人妻ばかりなのであろうが、熟女ばかりというわけではなく、中にはその群れから外れた若い女の人がいる。彼はその人に気づかれない程度にしかしはっきり彼女を見ていた。
まず彼は彼女の裸を想像した。身長は高めで細身なので足や手も棒のようなイメージであった。しかしその所々に少しばかり女性的な膨らみを感じられるような柔らかさをイメージし、陰部を触ると体はどのように波打つのだろうかと想像した。胸は平均的だ。イジるとなにか感じ取るだろうか、それともマグロだろうか。髪は赤茶けている乾燥して不摂生な感じを思わせる。しかしながらその見た目から少しばかり不幸を感じ取ることのできる場合、彼の妄想にはとても都合が良かった。匂いは乳臭さを感じられない夏の干し草のような匂いがその女の人のイメージとともに湧いて出た。
窓は西側にあり、どうしてこんな作りをしているのだろうかと彼は思わなければならなかった。それというのも、丹沢山系へ沈む夕日が部屋の全てをギラギラと照らすからに他ならない。倉庫の仕事は朝四時までに、その日注文があった冷凍食品の仕分け作業であるのだが、配送されるトラック最終便が午後4時であるがために、出勤はその頃からとなり、22:00までの準夜勤の体制が布かれている。
出勤すると更衣室で作業着に着替え、食堂で夕食を取るのだが、この夕陽がとても厄介である。眩しい目をしながら、コンビニのちょっとしたパンやらサンドウィッチを頬張らなければならない。
彼は西陽の強烈にやってくるその窓から厳しい顔を出して、敷地の沿道の向こうにある墓地を眺めた。




