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隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~  作者: 空気人形


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「足音」

ホテルに泊まった時のこと。夜の11時を過ぎた頃、部屋の外で子供が裸足で走るような「ペタペタ」という音が聞こえてきた。


こんな時間に……とは思ったが、旅行先で興奮した子供が部屋を抜け出したのかもしれない。そう思って最初は気にも留めなかった。


だが、しばらくするとまた「ペタペタ……」と走る音。

別に騒ぐわけでもなく、ただ走り去るだけ。


しかし、またしばらくすると「ペタペタ……」。


流石に何かがおかしい。

今度聞こえたら確かめてやろうとドアの前に立ち、音が聞こえた瞬間に勢いよくドアを開けた。


——誰もいない。


隣の部屋に入ったのかとも考えたが、ドアが開閉する音はしなかった。

部屋に戻ると、再び「ペタペタ……」と走る音。


そこで、ようやくその違和感の正体に気がついた。

その足音は、毎回「右から左」へしか走っていかないのだ。

行きっぱなしで、戻ってこない。


(あ、これ人間じゃないな……)

諦めて気にせず寝ることにした。


翌朝のチェックアウトの時に廊下に出て、足元を見て固まった。


ホテルの廊下は、厚手の絨毯敷きだった。

そもそも、裸足で走ったところで音など鳴るはずがないのだ。

『隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~』をお読みいただきありがとうございます!

毎日20時に更新しておりますので、明日もぜひお越しください。


また、別作品の中編ホラー『群青の嘘 ~港の廃屋と消えた少女~』も連載中です。

『隙間奇談』とは一味違う、じっくり魅せるホラーとなっておりますので、こちらもあわせてお楽しみいただけたら幸いです!


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