「小説の中から」
友人たちと旅行に行った時の話。
私が大の怖い話好きということもあり、移動中の車内では「怖い話を聞かせて!」と大盛り上がり。急遽、怪談大会が始まりました。
ホテルに着き、各自の部屋へ分かれる際、友人から
「今回の旅行中、もし何か怖いことが起こったら教えてね」
と言われました。私は「そんな簡単に怪奇現象なんて起きるわけないじゃん」と、半ばあきれながら自分の部屋へ入りました。
夕食まで少し時間があったので、持参していた小説でも読もうと栞のページを開いた、その時です。
――ぼとり。
本の間から、長い髪の毛の束が落ちてきました。
「さっそく起きちゃったよ…」と思い、すぐに友人の部屋をノック。「どうしたの?」と出てきた友人に「いま小説からこの髪の毛の束が出てきたんだけど、欲しいならあげるよ」と差し出しました。
友んは「こんな長さと量の髪が、こんな小さな本から出てくるわけないでしょ!」と笑って取り合いませんでしたが、「本当だって!」と真顔で伝えると、ようやく事態を把握した様子。
「……怖い話は聞きたいけど、現物は要らない」
と断られてしまいました。
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