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隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~  作者: 空気人形


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「ファン心理」

友人が、大好きなアイドルのライブに行き、終演後のチェキ撮影会に参加したときのこと。


「ねえ、これ見てよ」


そう言われて見せられたチェキには、お目当てのアイドルと、嬉しそうに並ぶ友人のツーショットが写っていた。


「すごくいいじゃん!」


そう褒めると、友人は複雑な表情で「ううん、よく見て」と指を差した。


言われた通り写真を凝視すると、二人の背景、画面の端の方にぼんやりと知らない女性の顔が見切れて写り込んでいる。


「あー……せっかくのツーショットなのに、他のファンが入っちゃったんだね」


「まあ、何枚か撮ったからそれは良いんだけどさ……問題はそこじゃないんだよね」


友人は少し声を落として言葉を続けた。


「この写真、背景がすぐ壁でしょ? 人が入る隙間なんてどこにもないんだよ。そもそも今回のチェキ会、アイドル側が壁を背にして立って、手前にカメラマン、その後にファンが並ぶ配置だったの。だから、二人の後ろに人が立ち入るなんて物理的に絶対に無理なんだよね」


そこまで一気に捲し立てると、友んは顔を引きつらせながら、ぽつりと呟いた。


「女の執念って、本当に怖いよね……」

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