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隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~  作者: 空気人形


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「親心」

友人が、知人のお母様が亡くなった際の葬儀に参列したときのこと。


式場の入り口近くで、親しい友人が人目もはばからず泣き崩れていた。

そのあまりの悲しみように、胸を締め付けられる思いで見守っていたときだという。


ふと気配を感じ、会場の奥へと視線を向けた。


式の準備が進む奥の物陰から、一人の女性がこちらの様子を心配そうにじっと覗き込んでいた。


(あれ……?)


違和感を覚えて会場内へ足を進め、遺影と女性の顔を見比べた友人は息をのんだ。


間違いなかった。

物陰から悲しげに友人の姿を見つめていたのは、本日見送られるはずの、亡くなったお母さん本人だったのだ。


自分が死んだことよりも、残された子供が泣き叫ぶ姿を誰よりも心配していたのだろう。


友人はそっと泣き崩れる友人の肩を抱き、耳元でこう囁いたという。


「あんまり泣いていると、心配してお母さん成仏できないよ」

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