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隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~  作者: 空気人形


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「渦」

会社の後輩であるYくんが、小学六年生のときの話。


家族で祖母の家に遊びに行った際、家族全員が買い物へ出かけることになり、Yくんは一人で留守番をすることになった。

暇を持て余した彼は、何か観るものはないかと室内を探し、見つけたホラー映画『リング』のDVDを再生した。


一人でテレビ画面に見入っていたが、しばらくすると、背後の廊下側に妙な違和感を覚えた。


祖母の家は古い造りで、居間と廊下を隔てるドアには、すりガラスが嵌め込まれていた。

ふとそちらに目を向けると、すりガラスの向こう側に、グレーと黒が混ざり合った直径五十センチほどの「渦」がぐるぐると巻いていた。


……なんだ、あれ?


不気味な光景に目を奪われ、映画どころではなくなってしまった。

恐怖と好奇心が混ざった感覚のままじっと見つめていると、その渦は「シュー……」と音を立てるように静かに縮んでいき、そのまま消えてしまったという。


意を決してドアを開けてみたが、誰もいない暗い廊下が伸びているだけだった。


「なんであの時、渦が巻いているうちにドアを開けなかったんだろう」


大人になった今でも、Yくんはそう悔やんでいるそうだ。

『隙間奇談 ~日常の「すきま」に潜む、奇妙な短編集~』をお読みいただきありがとうございます!

毎日20時に更新しておりますので、明日もぜひお越しください。



また、別作品の中編ホラー『群青の嘘 ~港の廃屋と消えた少女~』も掲載中です。


『隙間奇談』とは一味違う、じっくり魅せるホラーとなっておりますので、こちらもあわせてお楽しみいただけたら幸いです!


▼『群青の嘘』はこちらから

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